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オピニオン


グローバルフォーラム2015 心をあわせ、グローバルな討論の場へ



Bruno Kaufmann




Bruno Kaufmann

5月中旬にチュニジアの首都チュニスで開かれた「現代直接民主制グローバルフォーラム2015」。この世界会議で、チュニジアはアラブ諸国で初の民主主義国家として歴史的な前進を遂げた。

 それは偏見だ!パルチザンだ!納得できない!5月14日から17日までチュニスで開催された「現代直接民主制グローバルフォーラム2015」に先駆け、実に明瞭で語気鋭い多くの意見が、さまざまな国から集まった推進者の元へと寄せられた。5回目の開催となるこのフォーラムは、主体的な市民の政治参加と参加型民主主義がテーマの世界会議としては最大規模だ。過去にはスイスのアーラウや韓国のソウル、米国のサンフランシスコ、ウルグアイのモンテビデオで開催されている。

 開催に向け、ある一つの陣営がプレゼンやワークショップのスピーカーとして論争を醸し出しそうな名前を挙げるたびに、他の陣営もまたそれに向け一連の代表者を動員し議論の準備を行った。そのため同フォーラムが始まる頃には、日程表はありとあらゆる政党や団体、役人、市民活動グループ、そしてメディアの名前によって埋め尽くされていた。多くの場合、参加者はこれまで面識がない者同士だった。また何人かは、以前まで「悪魔」だと思っていた人物がパネル会場でパネラーとして隣に座っているという事実に、衝撃を受けていることもあった。

尊重される橋渡し役たち

 フォーラムでは意外な出会いがあった。例えばイスラム穏健派の「ナハダ運動」指導者ラーシド・ガンヌーシ氏が、公立カルタゴ大学農学研究所での同フォーラムに初めて出席した。厳重なボディーガードによる警護の元にフォーラムのスピーチの中で、自身がカイロで学生として農学を学んでいた過去を思い起こし、また民主主義がイスラム教と平和共存できる社会を目指すという考えを再確認したことは、非常に大きな出来事だった。

 このようなガンヌーシ氏のフォーラムへの出席とスピーチは、チュニジアが現代的な民主化をリードする上で重要な役割を果たしている事実をはっきりと示していた。大切なのは、対話が必要とされたときにはお互いに話し合うことなのだ。事実、とても興味深いことに、ガンヌーシ氏は(まるで私の祖国のカトリック司祭による説教を彷彿とさせる)長いスピーチのあと退席はせず、その後数時間に渡り、ナハダ党と同等の力を持つ世俗派勢力のスピーカーたちの主張に耳を傾けていた。スピーカーには、哲学者で人類学者のヨーセフ・セデック氏も含まれていた。そしてガンヌーシ氏とセデック氏は、政治における宗教の役割という点においては政治的見解が対立するものの、お互いが社会の橋渡し的存在であることをたたえあったのだ。

 そして4日間に渡り行われた同フォーラムの終わりには、参加者の450人以上がアラブ諸国にとって大切な扉を開くことになる、以下のような共同宣言を採択した。

 「アラブ諸国で民主主義を確立することは不可能だという人がいる。しかし我々は今、ここチュニジアというアラブ諸国で初の民主主義の中にいる。民主主義とイスラム教の共存は不可能だという人がいる。しかしもう一度言おう。我々は今、ここチュニジアにいる。そしてイスラム教の原理と民主主義は必ずしも矛盾するとは限らないという声を聞いた。その逆もまた然りだ」

我々は皆、民主主義の推進者となるべき

 今回チュニジアで開催された同フォーラムで再び証明されたのは、たとえ見解が対立しているようであっても、現代直接民主制の元において手を取り合うことが可能だということだ。また同フォーラムは(独裁政権から引き継がれた)国の官僚と、2011年のジャスミン革命後に生まれた若く活動的な地方のリーダーたちの対話をも後押しした。そしてスタート時点から市民を巻き込んで権力の分散を行っていくことが必要だという点において、両者は同意したのだ。こうした「同意」は市民主導のメディアによるワークショップなどでもみられ、ジャーナリスト自身がもっと「市民になる」必要性がある一方、市民もジャーナリズムをもっと積極的に取り入れていく必要性があることがはっきりした。そうすることで不信感が打ち消され、小さなコミュニティーレベルで情報伝達やコミュニケーションがさらに行われるようになる。

 今回のフォーラムで、何が学べたのか?いつものように、過去のフォーラムと同じ成果が見られた!包括的な市民参加へと導く民主主義は、その他の政治制度にはないグローバルな対話への機会を与えてくれる。このような参加型民主主義は、古代ギリシアの広場アゴラ(市民が政治や哲学などを論じた広場かつ市場)や諮問評議会(シューラ)、中世の個々のアプローチによって行われていた集会や、さらにはITソリューション、そして国家を越えたダイナミズムを全て調和させる。

 それに加えて、フォーラムでは市民一人ひとりがただ参加者として話したり、聞いたりするだけでなく、何よりもまず自ら積極的に集まりを開き、議論を行っていくことが必要だということもはっきりとした。毎日の生活や家庭での暮らし、また友人との時間の中でも、そして「現代直接民主制グローバルフォーラム2015」のような討論の場でも、我々一人ひとりが民主主義の推進者となっていかなければならない。


(英語からの翻訳・編集 大野瑠衣子), swissinfo.ch

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