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デモクラシー・ウィーク


「若者の声なしでは、明日の課題に挑めない」







連邦議会議事堂で開会した青年議会に出席するパンク風の髪形をした青年(2001年11月1日) (Keystone)

連邦議会議事堂で開会した青年議会に出席するパンク風の髪形をした青年(2001年11月1日)

(Keystone)

国民の投票回数が世界で最も多いスイス。そのスイスが今年初めて、国連が定めた9月15日の「国際民主主義デー」に参加する。直接民主制を誇るこの国だが、全てが完璧だというわけではない。ジュネーブ州のアニヤ・ウィデン・ゲルパ総務局長は、若者には特に発言する機会が少ないと指摘する。

 討論会や会議、ショー、展示会、仮想投票、州議員との懇談会。ジュネーブ州では9月15~19日のデモクラシー・ウィークの1週間、こうした様々なイベントを開催し、民主主義のプロセスには国民のあらゆる層を巻き込んでいくことが重要だと訴える。青年層の政治参加を州の優先事項に掲げる同州のウィデン・ゲルパ総務局長に聞いた。

swissinfo.ch: 「市民社会のための空間」。これが国連の、今年の「国際民主主義デー」のテーマですが、スイスの直接民主制は市民社会に十分な場を与えていると思いますか?

アニヤ・ウィデン・ゲルパ: おそらく世界でもスイスは、市民社会を政治に取り込もうと、最も働きかけている国だ。直接民主制の形態をとる他の国の中でもスイスは、国民投票の回数が多い。私たちには、まずイニシアチブ(国民発議)と、議会が承認した法律の是非を国民投票で問うレファレンダムという二つの手段がある。また、連邦議会議員が6割を政治に4割を各自の仕事に割いていることや(つまり職業政治家ではないこと)、さまざまな諮問手続きや連邦議会の外で組織される委員会などの存在も、国民の広い層の政治参加を意味している。この点から見れば、スイスは優等生だが、これだけでは十分ではない。

民主主義では、あらゆる階層の国民が意思表示できなくてはならない。だが今のところそれは実現していない。若者の投票率は、全体投票率よりもかなり低い。一番投票所に足を運ぶのは70~75歳の人たちだ。高齢者の意見が、若者の意見よりも価値が低いというつもりは全くない。だが、「明日の課題」に挑むには、若者の声を取り入れる必要があると思う。(そうしなければ)新製品の開発をしたい企業が、高齢者にアンケート調査を行っているようなものだ。

swissinfo.ch: 教師が市民教育の重要性をもっと認識することが解決への道では?

ウィデン・ゲルパ: 市民教育だけが重要だとは思わない。政治参加への情熱を、若者に伝えることが特に大事だ。例えばロールプレイングなどを通して、若者が民主主義を試し、実体験できることが必要だ。もし、教師にやる気があれば、若い世代に政治参加への情熱をかき立てる「ウイルス」を感染させることができる。それを実現させるためにジュネーブ州では、教師を支援している。

swissinfo.ch: デモクラシー・ウィークのようなイベントによって、若者の参加が促される可能性がありますか?

ウィデン・ゲルパ: 可能性はある。政治参加を好むようになる「ウイルス」を若者に広めるのは私たちの責任だ。だがそれは容易ではない。州総務局にはさまざまな任務があり、その中には、権力を具現化しなければならない分野もあるからだ。だが重要なのは、青年層を「大人扱い」し、彼らの意見にきちんと耳を傾けること。パターナリズム(温情主義)に徹し、一方で、若者は投票しないと批判するだけではだめだ。

swissinfo.ch: ではそのような考えに従って、ジュネーブ州はプロジェクトなどに若者を参加させていると…?

ウィデン・ゲルパ: そうした考えが取り組みの基本をなしている。私たちはすぐに年をとり、多くの分野で力が及ばないことも出てくる。デジタルな世界や今どきの言葉など、私たちがすぐに時代遅れになりかねない分野もある。実際に若者と協力して進めているプロジェクトがあるのは、そのためだ。これは間違いたくないという思いから生まれた一つの戦略だ。若者に聞かずに若者の考えを具体化すれば悲惨なことになる。そのような失敗例は、若者向けのテレビ広告などにもよく見られる。

だが、物事を若者たちとともに進めれば、間違うことはない。特に、ソーシャルネットワーク戦略の構築に協力してもらっている。デモクラシー・ウィークでは、「スピード・ディベーティング」(スピード・デーティングと従来型の討論会をミックスした企画)の共同主催者でもあるジュネーブ州青年議会と協力している。

swissinfo.ch: ジュネーブには多くの国際機関本部があるため、ジュネーブは民主主義のプロセスを考察するための一種の「研究所」になり得ると思いますか?

ウィデン・ゲルパ: 私たちのコンセプトは今年、列国議会同盟(IPU)の協力を得たことで、スイスの国境を越えて広がっている。来年にはさらにその規模が拡大するはずだ。どこかの、スイスほど民主主義が進んでいない国、ないしは都市と姉妹・友好提携を結ぼうと考えている。その相手の都市と実際に行き来をするというよりも、例えば映画や文学作品、ブログなどを通して、お互いの視点から意見交換するような取り組みになると思う。スイスで育った人たちは、民主主義が「自然に泉から湧き出るようなもの」という感覚を抱きがちだ。(民主主義を享受できる)私たちがどれほど恵まれているかを再認識するためには、自分の置かれた立場から少し遠ざかって、客観的に(相手の立場を鏡としながら)見つめることも必要だ。

「国際民主主義デー」

国連総会は2007年、9月15日を「国際民主主義デー(International Day of Democracy)」の日と制定。民主主義に関する世界宣言が1997年9月に採択されたことにちなみ、この日が選ばれた。

第1回国際民主主義デーは08年に開催され、46カ国の議会が参加。これまでに100カ国以上で、数百件を超えるデモや集会が開かれた。

今年のテーマは「市民社会のための空間」。目標は「強固で、自由に行動できる市民社会が民主主義の成功と安定へのカギだと、全ての政府に喚起すること」だ。

ヨーロッパや世界的規模で、民主主義を祝う数々のイベントが行われる。欧州評議会は毎年、「ヨーロピアン・ローカル・デモクラシー・ウィーク」を企画している。今年は10月15日の週がそれにあたり、地域レベルでの民主主義を促進し、その強化を目指す。11月にはフランス・ストラスブールで民主主義に関する世界フォーラムが開かれる。多くの専門家や活動家が招かれ、世界の民主主義に関する問題について意見交換する予定だ。


(仏語からの翻訳・編集 由比かおり)

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