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グリーンピース、再び福島へ

2011年3月末から4月初めにかけ福島県の飯館村に入り村の学校の近くで放射線量を測定するグリーンピースの調査員。このときの調査では福島第一原発の半径20~70キロ圏の、261地点の地表を測定した greenpeace.org

環境保護NGOグリーンピースの放射線防護部門の15人が、10日から福島県内で第3回目の放射線調査を始める。グリーンピース・スイスの代表としてこれに参加するフロリアン・カッセーさんに話を聞いた。

子どもたちの環境を知る

 福島第一原発事故後の2011年3月末から4月初めにかけ、福島県に入り独自に放射線量を測定したグリーンピース。当時、例えば福島第一原発から約60キロメートル離れた福島市の数地点、特に公園の砂場で最高毎時4マイクロシーベルトの放射線を測定し、「国際基準で定められた被ばく量1年分を10日間で浴びる高さだ」と発表。子どもたちを守るべきだと訴えた。

 今回の調査には、スイスを始めとしたヨーロッパ各地、及びアメリカのグリーンピースから放射線測定を専門とする人たちが集まった。第1目標を福島の子どもたちが置かれている環境を知ることに置き、学校の校庭、公園などを中心に再調査する。

 「現在の放射線量を正確に把握することで過去の数値と比較し、市民(特に子供たち)がどの程度、放射線被曝から守られているか、また学校などの除染はどの程度進んでいるのかを現地で実際に見たい」とカッセーさんは説明する。

 また同時に各国のグリーンピース・放射線防護部門から人が集まることから、共同で再調査の方法を検討し「グリーンピース内の再教育につなげる」ともいう。

日本のNGOとも交流

 調査そのものは1週間で終了するが、カッセーさんはもう1週間滞在。野田政権が発表した「2030年代に原発ゼロ」が、今後どのようなプロセスを踏んで脱原発に向かうのか、それにNGOはどうかかわっていくのかを、さまざまな日本のNGOに会って正確な情報を得たいという。

 「日本のグリーンピースからも現在の状況について報告が届くが、結局よく分からない。矛盾する情報も多い」

 9月末スイス政府は、福島の原発事故以後に内閣、連邦議会で決定した「段階的脱原発」に向けた具体的方針を発表した。そこには再生可能エネルギーの推進が中心の柱になっている。中でも太陽光発電は2050年までに2011年比0.24%から17%にまで引き上げられ、再生可能エネルギー全体で現在原発で発電されるエネルギーをほぼ全部賄うよう計画されている。

 カッセーさんは日本のNGOとの情報交換の中で、「こうしたスイスやドイツの脱原発のやり方も同時に詳しく説明したい」と考えている。そして「東京での(首相官邸前の脱原発)金曜日デモにも参加し、参加者の生の声も聞いてみたい」と付け加えた。

環境保護NGO

60人が正社員として働く。

うち、チューリヒオフィスに55人。ジュネーブオフィスに5人。

約100人のボランティアもいる。

グリーンピース・スイスを資金的に支援し、メンバー登録をしている人は17万人。

60人の正社員の内、放射線防護部門には2人。フロリアン・カッセーさんはそのうちの1人。

一方、ドイツでは正社員が約200人。放射線防護部門には約10人が働く。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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