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1970年のスイス航空機爆破事件、未解決のままの疑惑

1970年2月にヴューレンリンゲンの森林に墜落したスイス航空機 Keystone

1970年、スイス国内でのテロ攻撃を防ぐ目的で、スイスがパレスチナ解放機構(PLO)と秘密取引を行っていたことが、今週始めに明らかになった。この機会にスイスインフォは、その秘密交渉のきっかけとなったスイス航空機爆破事件を振り返った。

 1970年2月21日、チューリヒ空港を離陸したスイス航空330便テルアビブ行きが墜落。乗客38人全員が死亡し、スイスに衝撃を与えた。

エルサレムでは、航空機爆破事故で亡くなったイスラエル人犠牲者を追悼する葬儀が行われた Keystone

スイス通信はPLOが犯行声明を出したと報道したが、他のメディアはPLO が関与を否定したと報道している。

 数日後、容疑者はヨルダン国籍と判明。当初はイスラエルの航空機を爆破する目的でミュンヘン空港で爆弾を仕掛けたが、何らかの理由によりスイス航空機で爆発したものと見られている。

スイス航空の格納庫に集められた事故機の残骸 Keystone

だが逮捕令状が出たにもかかわらず、他の容疑者を含め誰一人として裁判にかけられることはなかった。スイスの捜査官ロベール・アケレ氏は、当時スイス連邦法務警察長官に調書を提出したが、この事件に関して政府が「沈黙の覆い」をかけたと今日では述べている。

 スイス航空330便爆破事件の捜査は、2000年に打ち切られた。

(文・Thomas Stephens)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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