スイスの視点を10言語で

「スイス人ですか?ストックホルム、素敵ですよね」

スイスの国旗
スウェーデン企業、スポティファイの株式上場を祝い、ニューヨーク証券取引所が間違って掲げたスイスの国旗 Reuters

スウェーデンの定額制音楽配信サービスSpotify(スポティファイ)外部リンクが3日、ニューヨーク証券取引所に株式を上場した際、間違ってスイスの国旗が掲揚されるハプニングが起きた。スイスとスウェーデン、全く違う国だが、特に米国人の間ではよく間違われるという。なぜなのか。スイスインフォのフェイスブック(英語版)に寄せられた体験談を集めた。

 3日付の米紙ニューヨークタイムズ外部リンクによると、ニューヨーク証券取引所はこの日、Spotifyの上場を祝おうと、建物外側の星条旗の隣にスウェーデンの国旗を掲揚したつもりが間違って赤字に白い十字のスイス国旗を掲げてしまった。

 スイスの国旗が揚がったのはわずか数分の出来事だったが、ソーシャルメディアのユーザーたちはこのアクシデントに飛びついた。スイスインフォのフェイスブックのフォロワーも、この二つの国が間違われるのは何も珍しいことではないと口を揃える。

 カナダ在住のスイス人は「自分がスイスで生まれたと言うと、決まって返ってくるのが『おっ、あなたはスウェーデン人でスウェーデン語を話すんですね』という言葉。今ではもう慣れてしまい、いちいち間違いを指摘するのはやめた」とのコメントを寄せた。

 少し「好戦的」な意見も。「米国からスイスに引っ越すとき、見知らぬ他人と実際にそういう議論になり、スウェーデンとスイスは違う国だと言ってやったよ。米国人よ、頼むから地図を買え」

 スイス人を妻に持つ男性は、自分の妻がスイス人だと言うと、決まって「そうなんですね。私、ABBAが大好きなんです」と言われるという。ABBAはもちろん、スウェーデン発のポップグループだ。

 ある女性は自分がスイス人だと言うと、相手の返事は「おお、ストックホルム、きれいですよね」。くどいようだが、ストックホルムはスウェーデンの首都。

外部リンクへ移動

どうしてこんな誤解が生まれる?

特に米国人の間で、スイスとスウェーデンはどうして頻繁に間違われるのか。スイスインフォ英語版の読者たちは、「Switzerland」と「Sweden」の最初の二文字が一緒だからではないかという。一部の外国語では発音も似ていて、スペイン語ではスイスは「Suiza(スイサ)」、スウェーデンは「Suecia(スエシア)」とそっくりだ。

 「無知だから」という指摘も多かった。「おろかなだけ」という手厳しい意見も。一方、別のユーザーは、この2カ国が米国から地理的にかなり離れている点を挙げ「ヨーロッパの人に、ホンジュラスはどこかって聞いてみたらどう?フェアに行こうよ」と擁護した。

 地理や語感を超える類似点はあるのだろうか?あるユーザーは「どっちの国も雪とスキーが有名」、別のアイルランド在住のユーザーは「どちらの国もとても清潔で、何事もきっちり整備されていて、安全」といい、だからこそ混乱が生まれるのだと指摘した。

 こうした誤解は、そこまで心配する必要はないのかもしれない。でなければとっくに深刻な外交問題に発展しているだろう。おそらく、この誤解から生まれた「最も重大な事件」は、旅程が数千キロずれてしまったことではないだろうか。これは米国在住のユーザーの身に実際に起こった「事件」だ。

 「スウェーデン行きのフライトに乗る予定でした。でも(ニューヨークの)JFK空港で、SAS(スカンジナビア航空)767便のドアが閉まらず、航空会社が乗客を別の航空会社の便に振り分けたんです。私の振替便はスイスエアーで、着いたのはチューリヒでした。翌朝、スイスからスウェーデン人の妻に思わず電話しましたよ。『これ、信じられる?』って!」

(英語からの翻訳・宇田薫)

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部