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日本専門スイス記者が解説する日・スイスEPA

新幹線と大阪城
ギー・パルムラン経済相とスイス経済・学術界代表団の一行は新幹線で大阪へ移動した Keystone / Shizuo Kambayashi

ギー・パルムラン連邦経済・教育・研究相が、スイスの経済・学術界の代表団を率いて1週間の予定で日本とベトナムを訪問した。訪日の狙いは日スイス経済連携協定(EPA)の改正を再度求めることだ。1982年から日本で取材するスイス人ジャーナリスト、ジョルジュ・バウムガルトナー氏がパルムラン氏に密着し、日本側との交渉の様子などを取材した。 

パルムラン経済相率いる経済・学術界の代表団は7月7~10日まで日本に滞在。その様子をスイス公共放送テレビ局(RTS)の東京特派員、ジョルジュ・バウムガルトナー記者が報告した。

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経済相に随行したスイス日本商工会議所のマルティン・ハーブ会長は、「2019年2月に日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効して以来、スイス企業は不利な立場にある」と述べた。 

スイス・日本友好議員連盟のエリザベト・シュナイダー・シュナイター代表も、「2009年からそれまでは、スイスは日本とEPAを結んだ欧州唯一の国だった。だがその競争力のある有利な立場も、日本・EU間のEPA締結により失われる」と付け加えた。 

「09年に結ばれたEPAの改定に向けて、日本が間もなくスイスに歩み寄ってくれることを願っている」という同代表は、政府が日本とのEPAを改定し、最低でもスイス企業がEU企業と同等の条件で日本市場にアクセスできるよう保証することを2017年から訴えてきた。 

その一方で、バウムガートナー記者はEPA改定に向けた再交渉は日本政府の最優先事項ではないと指摘している。

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貿易取引額は120億フラン 

スイスの対日貿易取引額は年120億フラン(約1兆3千億円)で、アジアでは日本はスイスの主要貿易相手国の一つだ。また、スイス企業の対日投資が年140億フランなのに対し、日本企業はスイスに250億フランを投じている。

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2007年には科学技術協力協定が結ばれたことで、日本は科学技術分野の協力におけるスイスの主要なパートナーでもある。過去5年間に約40人の博士学生が研究のため日本に滞在した。今回の代表団の訪日ではさらに、スイス5カ所で「イノベーション・パーク」を運営する民間団体「スイス・イノベーション(Switzerland Innovation)」と日本のProject136、スイスのICTファクトリー日本支社の2社間で、「ジャパン・イノベーション・パーク」の設立を目指すことに合意した。

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今回の訪問は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて在日スイス大使館が行っているプロジェクト、「スイス・グランドツアーin Japan外部リンク」の一環でもある。

(仏語からの翻訳・由比かおり)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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