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ほぼ世界最北 スイスの稲作

(swissinfo.ch)

スイスイタリア語圏のティチーノ州では数年前から、稲を栽培するようになった。すでに現在「ティチーノ米 ( Riso Nostrano Ticinese ) 」として特産の地位を確立した。しかし、スイスの稲作は世界地図上でも消えて無くなりそうなほど小さい。

スイス南部のリゾート地、アスコーナ (Ascona ) とロカルノに近いマッジャ・デルタはスイス国内でも最も海抜が低く198メートルしかない。しかしここは、マジョーレ湖に近く肥沃な土壌に恵まれているため、スイス国内で唯一稲作に適している。

長い試験期間

 この地方の稲作を語る時「世界最北」という枕詞がよく使われるが、「ハンガリーにはさらに北の田んぼがある」とレナト・アルトロッキさん ( 62歳 ) は明かす。アルトロッキさんは連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) で農業を学び、現在は農産物を手掛ける「テネリ・アラ・マッジャ社 ( Terreni alla Maggia ) 」のディレクターでありながら、現地で稲作を始める音頭を取った。

 稲作を始めるきっかけとなったのは、だいぶ以前にトウモロコシや穀物、大豆の価格が下落したことだった。アンダ家とビューレ家の家族経営であるテネリ・アラ・マッジャは経営上、新しい活路を見出す必要があった。
「稲作に新しい道の可能性を見た」とアルトロッキさんは言う。しかし事は慎重に進められた。というのも、20世紀初頭にもティチーノ州で稲作が試されたものの失敗に終わったからだ。緯度が高いという厳しい条件にある地域で稲作をするためには、特に適した稲の種類を選ぶ必要があった。

リゾット用の米

 アルトロッキさんはそこで、バルド、ロト、ペガソ、セレニオといった稲の種類を試してみたが、すぐにロト種がマッジャ・デルタには最適であることが分かった。現在、この地方の田んぼの9割にロト種が植えられている。
 
 ロト種といっても色々だが、アルトロッキさんが手がけるのは「ルンゴ A ( Lungo A ) 」長く凸面のあるコメで、長時間歯ごたえのある固さのアルデンテ状態を保ち水分をよく吸収するのでリゾットに最適だという。
「この種のコメはわたしたちの食習慣に適している。ティチーノでは週に1、2回、リゾットを食べるので」
 とアルトロッキさんは言う。

個人消費者向け

 こうして稲作は年々増加していった。稲作が始まった1997年当時は2ヘクタールだったのが、現在は80ヘクタールにも及び収穫量は400トンにもなる。

 ただ、病害にかかりやすいため農薬の使用は避けられない。大麦やライ麦は成長期に1回だけ農薬を散布すれば十分だが、稲は最低2度の散布が必要だ。一方、除草剤はほかの穀物同様、年に1、2回で足りるという。

 稲刈は10月10日頃だが、今年の夏は長く暑かったため9月末に刈ってしまった。稲刈にも脱穀にも、機械が使われる。精米はシュヴィーツ州のブルンネン ( Brunnen ) とティチーノ州のタベルネ ( Taverne ) 精米所で行われる。収穫の約6割が白米に精米され、1キログラムの袋に詰められ「リゾット・ノストラノ・ティチネーゼ」のラベルで販売されている。末端価格は1袋4.50フラン ( 約400円 ) 。イタリアの高級米と値段はさほど変わらない。

 個人消費者の人気は高いものの、プロのコックは依然としてより水分を吸うカルナロリ種やアルボリオ種を好むため、レストランなどからの需要はないという。75%が地元で消費され残りはスイスドイツ語圏などへ流れていく。ロンドンの高級デパート「ハロッズ」でも売られているとアルトロッキさんは人を介して聞いた。どのようなルートでロンドンまで行ったのかは分らないという。

ゲハルト・ロブ 、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )

コメ

世界でも最も重要基礎食品となる穀物。
世界の半分以上の人がコメを主食としている。アジアでは主食の8割がコメ。
スイスの主食の3位がコメ。年間一人当たりの消費量は5.5キログラム。主食の1位はジャガイモ ( コメの8倍 )、2位はパスタ ( 同2倍 ) 。
ティチーノ州のコメは水を張る田んぼではなく畑で栽培される。人工的に水をやる必要があるが、田んぼより消費する水の量は少なくて済む。ティチーノ州の降雨量は稲の成長期で300ミリリットルから500ミリリットルと少ない。イタリアの稲作地方では 1500ミリリットルから3000ミリリットルだ。

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