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もぐもぐスイス味 番外編 - 1 - モモヨ隊員と春の山菜「行者ニンニク」を食べる



肥えた土壌で湿気と木陰があれば、庭の片隅にでもふんだんに生える行者ニンニク (swissinfo.ch)

肥えた土壌で湿気と木陰があれば、庭の片隅にでもふんだんに生える行者ニンニク

(swissinfo.ch)

日本では幻の山菜といわれる行者ニンニク。ところがスイスでは庭の木陰などにふんだんに生えている。刻んでスープに入れるなどこの春の香りは食卓の人気者だ。

実はこの行者ニンニク、日本とスイスでは同じネギ属だが学名が微妙に違う。スイスのものは茎が細くクマのネギとも、クマのにんにくとも言われる。スイス版、行者ニンニクをモモヨ隊員と探ってみた。

 「冬眠から目覚めたクマが何キロも何キロもとにかく驚くほど食べることと、葉をこするとニンニクのにおいがすることからこの名が付いたのです」とジュネーブ植物園の薬草担当官のクリステル・バッケさん。

 寄生虫を殺して胃腸を洗い、腎臓も刺激して冬眠後の春の食欲を促す薬効をクマはよく知っているからだという。ヨーロッパを中心に南は北アフリカ、東はロシアまで広範囲に分布。湿気と日陰、肥沃な土壌を好むニンニクやネギと同じ仲間の多年草だ。

血液をサラサラに

 ビタミンや硫化アリルを多く含むため、人間にとっても虫下しや血液をサラサラにする、脂肪を減らすといった効果がある。そのため、痩せたい人が増えている近年、スイスで行者ニンニクは大ブームだ。
 
 しかし、スイス、ドイツ、オーストリアの食の伝統を大切にする地域では、こうしたブームとは無縁に、春には必ず行者ニンニクを使ってきた。
「子どもの頃、刻んだ行者ニンニクの入ったクリームチーズをパンにつけて食べるのがおやつでした。また母はよくこれでペストを作ったものです」
 とバッケさん。中でもドイツ人はこの山菜に目がなく、「行者ニンニクの町」と呼ばれるドイツのエーベルバッハ ( Eberbach ) では、毎年春に行者ニンニク祭が開催されるという。
 
 そんなに薬用効果があるなら、すぐにでも山に採集に行きたいという方々に
「行者ニンニクはスズランに似ている。まちがえて採集しないこと」
とバッケさんは注意を促す。スズランの毒性はかなり強いからだ。また、キツネやネコの尿を媒介に移る細菌がまれに葉に残っていることがあるため、よく洗って食べること。さらに花が咲く5月初めまでが採集に適しているという。

 石器時代の壺や墓にモチーフとして使われている位、古代から食用として愛された行者ニンニク。モモヨ隊員はどう扱っているのだろうか。

・・・でモモヨ隊員は

 ああっ、うわさをすれば行者ニンニクです。こんな都会でも生えているんですね。ほとんど雑草なんですよ、とサトノブ隊長を引きずるようにして植え込みに駆け寄ってみると、そこにあったのはチューリップの芽。

 「スイスにいながら行者ニンニクを知らないとは犯罪的行為。とにかく美味しいから」と、その魅力を全身全霊かけ隊長に語っている最中の出来事でしたね。隊長、モモヨはあの時のあなたの冷たい視線を決して忘れません。

 古代から連綿と愛されてきたという今回の隊長のリサーチですが、その愛、このモモヨにとってはごく控えめな愛。行者ニンニクはもっと激しく深く愛する価値のある存在なのです。

 では、行者ニンニクの激しい食べ方をいくつか。

 ザク切りにした行者ニンニクをニラと同じように卵とじに。これはニラよりも歯ごたえがやさしく数倍美味しくいただける。同じくザク切りにしたものをベーコンと炒め合わせたり、スクランブルエッグにしたり。白いパンにも黒いパンにも最高にあう。週末の朝、これを頂いたらエネルギー全開です。

 もちろん餃子にタップリと。沢山入れても歯ざわりやわらかく美味しく仕上がります。翡翠のように透ける緑が美しいです。最後に大量に刈ってきた行者ニンニクはさっと湯通しして水にとりその後、冷凍。ほうれん草のように使えます。

 行者ニンニクをどっさり頂いた翌日は、指の先までまだポカポカ。ああ、効いているなと実感します。

 大量摂取後は人ごみでも周囲1メートル四方空間ができるので、どこへでもスイスイなどのメリットも見逃せない点といえましょう。

里信邦子 ( さとのぶ くにこ) & モモヨ、swissinfo.ch

スイスの行者ニンニク

日本の行者ニンニクと同様、ネギ属 ( Allium ) の多年草だが、スイスのものは茎が細く葉も薄く、明るい緑色で学名はAllium ursium。これに対し日本のものは茎が太く、葉も厚手で濃い緑色、学名はAlliun victorialis。
スイスの行者ニンニクは、ドイツ語でベアラウフ (クマのネギ ) 、フランス語でアイユ・デ・ズウス ( クマのニンニク) 。
湿気と木陰、また肥えた土を好み、ヨーロッパを中心に南は北アフリカ、東はロシアまで広範囲に分布。
虫下しなどの殺菌作用や血液をサラサラにし、コレステロールを減らす薬用効果がある。
石器時代の壺や墓などに行者ニンニクのモチーフが描かれており、古代から愛用された薬草。
熱を加えるとビタミンCが壊れるため、食用には生が良く、刻んでサラダやスープに入れたり、クリームチーズに混ぜたり、また松の実やヘーゼルナッツ、オリーブオイル、パルメザンチーズを加えたペストも好まれる。
採集は3月から花が咲き始める5月初めまで。



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