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もぐもぐスイス味 番外編 – 2 - モモヨ隊員と春の山菜 「イラクサ」を食べる



イラクサには、オス株、メス株、両性具有の株と3種類があり、両性の分離の過程などを知る上でも興味の尽きない植物だとバッケさんは言う (swissinfo.ch)

イラクサには、オス株、メス株、両性具有の株と3種類があり、両性の分離の過程などを知る上でも興味の尽きない植物だとバッケさんは言う

(swissinfo.ch)

間違って触るとしびれるような激しい痛みに襲われる草がある。スイスではどこにでも生えているイラクサだ。

刺毛でびっしり覆われたこの野草がスープや天ぷら、はてはジャムに姿を変え、スイスでは春から初夏にかけ珍重される。モモヨ隊員と勇気を出し挑戦してみた。

 「花も美しくなく香りもない、その上刺だらけと忌み嫌われがちですが、その薬用効果や特性は非常に高く、今後もっと評価されるべき植物だと思います」
 と、ジュネーブ植物園の薬草担当のクリステル・バッケさんは言う。

内蔵器官を整え食欲を刺激

 「イラクサの刺は神が与えたもの。もし刺に覆われていなければ、その豊富なビタミンや特性に、多くの動物がそれを競って食べ、地球上からすでに姿を消していただろうといわれる山菜です」
 と説明を続ける。

 実は、茎から葉の裏側までを埋め尽くす毛状の刺の一つ一つに、アリの毒と同様のギ酸が含まれており、何かが当たるとすぐに刺が突きささり中からギ酸が飛び出る。これがあの痛みの原因だという。

 しかし、ビタミンや鉄分、マグネシウムなどの微量元素が豊富で、それらが内蔵器官をきれいにして食欲を刺激する。またリューマチにも効く。 
「リューマチで悩んだ昔の人は、上半身裸でイラクサの上を転がりこのギ酸で痛みを取ったそうです。まだ、わたしは試したことがありませんが」
 とバッケさんは笑う。

 食用として採集する場合は、手袋をして春の若葉だけを摘み、これを湯でさっと2、30秒茹でれば刺が取れ、後はホウレンソウのように野菜として使える。グラタンにしたりパイにしたり、ジャムも作れる。生のまま天ぷらにしてもおいしい。玉ネギ、ジャガイモにイラクサを入れた典型的なスープは野菜が不足していた頃の大切な食べ物だった。

 有機農業では、このイラクサは大切な植物。水桶にイラクサを漬け3日間太陽の光にあてるとドロドロした液体になるが、これがアブラムシなどを殺す自然の殺虫剤になる。また同時にこの液体は野菜に抵抗力を与え、残りは肥料にもなる。

 枯れた茎がまた役に立つ。ヨーロッパでは12世紀から17世紀にかけこの茎が繊維として大いに利用され、太い縄や、絹が到来するまでの布の基本原料になっていた。
 「実は第2次大戦中、ドイツ軍は軍服にこのイラクサの繊維を使っていた。そのカーキ色が最適だった」
 とバッケ氏は語り、イラクサに関してはまだまだ話が尽きないという。

・・・でモモヨ隊員は

 あの触ると激烈に痛くなるっていうアレですね。そういえばグリム童話に出てきました。白鳥になった7人のお兄さん王子の魔法を解くのに、妹のお姫さまがイラクサで シャツ作るんですよね。

 そうそう、そのアンデルセン。13番目のお兄さんのシャツが作りかけで、白鳥人間になっちゃうのよね・・・とサトノブ隊長。
 
  ( 白鳥人間とは・・・顔が白鳥で体は人間。いえ、正解は白鳥部分が残っていたのは片腕のみ、作者はアンデルセン。そして王子様は11人でした )

 以前、家人が効能を聞き及んで摘んできたものの、毛がモソモソしていてどうもピンとこなかったモモヨ。

 「そうね。でも本当に薬用効果高いらしいわ。お抹茶みたいな、緑のすがすがしい味がしておいしいわよ」

 春の食卓の定番になっているというサトノブ隊長家のスイス式イラクサレシピを聞いてみた。
 
 朝市で買ってくる。または野原、庭先等に生えているイラクサをゴム手袋をはめ 刺 に気をつけつつタダで採集する。引き続きゴム手袋をして気をつけながら、茎を除き洗う。
 
 ジャガイモ三つ、タマネギ一個に水を加え、固形スープ少々と塩を入れ煮込む。タマネギは炒めても炒めずとも良い。ジャガイモとタマネギに火が通ったらイラクサを気前良くゴム手袋で大盛二つかみいれ、一煮立ちさせたらフードプロセッサーでポタージュ状にする。

 好みで胡椒やナツメグ、生クリームなどを加える。食べるポタージュとして濃い目に仕立てるのがポイント。

 モモヨ家でも隣家との境に生えてきた憎きイラクサで早速試してみた。荒々しい野のイメージとは裏腹に、やさしいお味の薄緑色のスープになった。成る程これなら口当たりよし、栄養も逃さず頂ける。家人に伝えることとしよう。今後はもっと採ってきても苦しゅうない・・採集よろしく、と。

里信邦子 ( さとのぶ くにこ) & モモヨ、swissinfo.ch

イラクサ

ドイツ語でブレンネッセル ( Brennessel ) 、フランス語でオルティ ( Ortie )。
イラクサ属の多年草植物で、葉と茎全体に刺がある。
湿気などには関係なく有機質に富んだ土壌の場所に生える。安定性を好むため、周囲を掘り起こすと枯れる。
4月から10月ごろまで若葉は食用になる。その後枯れた茎は12~17世紀には繊維として利用された。
食用としては、ゆでればホウレンソウと同じように野菜として使える。
微量元素が豊富で薬用効果も高い。
有機農業でも、自然の殺虫剤や肥料として効果が高く、さまざまな可能性を秘めた植物。



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