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アイスレジェンズ2、ランビエールの2回目の挑戦


ランビエールとブニアティシヴィリ、2人の豪華なコラボでアイスショー




「第2回アイスレジェンズ」は、誰も見たことのないようなアイスショーにしたいと、抱負を語るステファン・ランビエール (Christopher Trevisan)

「第2回アイスレジェンズ」は、誰も見たことのないようなアイスショーにしたいと、抱負を語るステファン・ランビエール

(Christopher Trevisan)

氷上のプリンス、ステファン・ランビエール。昨年、自ら芸術監督を務める初のアイスショー「アイス・レジェンズ」を作ったランビエールは、今月初めの記者会見で、来年4月に開催される2回目のショーのコンセプトを発表した。テーマは「愛」。やはり独自の表現世界を生み出すピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリが音楽を担当する。豪華なこの組み合わせから何が生まれるのか?2人に聞いた。

 「この一年いろいろなことがあった。しかし、毎朝起きて思うことは、いつも同じ。もう一度アイス・レジェンズを開催したいということだった。 誰も見たことのないようなアイスショー。前回よりもっと美しく、もっと大きなものをやりたいと思った」とランビエールは開口一番、こう言った。 

 ジュネーブで開催された「第1回アイス・レジェンズ」は、昨年がスイス・日本国交樹立150周年の年でもあり、ランビエールが大好きな国、日本から安藤美姫、織田信成といったスケーターたちを招待し、「友情」をテーマにした。 

  今回は、「スケートは表現芸術だ」というランビエールの考えに賛同する友人のスケーター、カロリーナ・コストナーと、独自の曲想で今を輝くピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリの3人がコラボし、テーマ「愛」をどう表現するか練り上げていく。「何回も一緒にショーに出て兄妹のように成長してきた」というコストナーは今回、共同芸術監督のような立場でランビエールを支える。

 「前回よりもっと美しくもっと大きなものにしたい」というランビエールの言葉には、リンク脇の広告を全部取り払い、氷上にホッケーの試合跡が残っていない「美しい劇場」を用意したうえで、3人のコラボで「もっと大きく深い」芸術的表現を演出したいという意気込みが表れている。

 まず、ランビエールにテーマ「愛」について語ってもらった。


swissinfo.ch :  アイスショーで、テーマの「愛」はどう表現されるのでしょう?

ステェファン・ランビエール:  これは、男女の愛というより2人の人間の愛だ。しいて言えば、カロリーナ・コストナーと僕という、異なる性格の人間が作り出す愛。ないしは、2人のスケーターの独自の表現力で表せる愛の形は、どういうものになるのか?それを見せていくとも言える。

またこれは、3部から構成され、三つの観点から「愛」を眺めていくものだ。第1部は、ショパンの曲を使い、社会におけるカップルのあり方を表現する。かなり抽象的だが、さまざまなカップルが通りを歩いているような社会の中で、社会がどう「愛」と向き合っているのかを表現する。その中で、一つのカップルが選び出され、焦点が当てられる流れだ。

第2部は、女性の愛の見方。どのように1人の女性が「愛を生きているのか」を表現する。これをカロリーナがドビュッシーの曲に乗ってソロで演技するのだが、とてもロマンチックでエレガントに、繊細に表現していく。カロリーナは、こうした表現に最適なスケーターだと思う。

カロリーナが演じる女性は、愛を理想化し、愛がもたらす全てのものを想像し、愛を発見していこうとする。結局、彼女は第3部でそれを発見することになるのだが。

第3部は、男性の愛の見方を表現する。僕が演じる男性は、カロリーナが演じる女性を愛しているけれど、すごく運命論者的に愛を見ている。愛とは、愛するとは、簡単なことではないとも考えている。しばしば、どうやって愛したらいいのかもわかっていない。

swissinfo.ch : 男性は、哲学的に悩み苦しんでいると?

ランビエール: そう、男性は苦しんでいる。女性は夢見るが、男性は夢見ない。もっと現実的できびしく、どうやれば2人が調和を持って愛せるのかといった問いかけをさまざまな観点から行っていく。この問いかけをラヴェルの曲で行う。

実は、日本の女性スケーターたちを招待したいと思っている。今名前は明かせないけれど、数人の予定だ。この女性たちにも「愛」のテーマに加わってもらうつもり。

つまり、カロリーナが主な愛の相手で、主人公であることに変わりはないが、ほかにも(日本のスケーターたちを含む)数人の女性が愛する対象になると思う。

いわば、こうした女性たちは、僕によって、僕の愛、性格、カリスマ的なものによって捉えられ、「征服」されてしまう。運命的だ。そのことに、カロリーナは苦しむ。

結局、カロリーナは人生を通して1人の理想の男性像を追い、それを僕に投影し、さらに追いかけている。つまり夢を、理想像を追い続けている。ところが、僕は違う。出会う女性たちの心・精神を捕まえ「征服」していく。第3部はかなり長く、こうした女性たちとの関係を通して、僕が演じる男性は成長していく。

swissinfo.ch : 曲は、カティア・ブニアティシヴィリが選んだのですか?

ランビエール: 最初、カティアは他の曲を提案したが、僕とカティア、カロリーナの3人で何時間も話し合って、最終的にショパン、ドビュッシー、ラヴェルの曲に決めた。我々3人は今回、とても深いコラボの関係を築き上げている。

今後、例えばカロリーナ以外の女性たちが、こうした曲のどの部分で登場し、どういった演技をするか、そうしたことを詰めていかなければならない。

 

ランビエールとのコラボは、自分の中のもう一つのファンタジー(創造的な空想)という「庭」への扉を開いてくれるようなものだと語る、カティア・ブニアティシヴィリ ( Nicolas Brodard / Verbier Festival)

ランビエールとのコラボは、自分の中のもう一つのファンタジー(創造的な空想)という「庭」への扉を開いてくれるようなものだと語る、カティア・ブニアティシヴィリ

( Nicolas Brodard / Verbier Festival)

「アート・オン・アイス」でランビエールと一緒に仕事をしたとき、ランビエールを天才だと感じたという、カティア・ブニアティシヴィリ。「天才とコラボできるチャンスはめったにない」と、今回のコラボをすぐに承諾した。読書好きで、いつも楽譜の後ろに読みかけの本を隠していると話すブニアティシヴィリは、音だけではなく言葉も巧みに操る才能の持ち主。ランビエールの芸術性・表現力、また今回のコラボについて、分析的に言葉を一つ一つ選びながら、語ってくれた。

swissinfo.ch : ランビエールとのコラボをどう思いますか?

カティア・ブニアティシヴィリ: 競技をする一般のスケーターは、習った動きをするだけで、喜びや悲しみといった感情の細部を表すことができない。悲しさでも、その細部のニュアンス、それぞれの異なる「音質」を表現できない。

ところが、ステファンはこれができる。第一に彼は役者だ。顔の表情一つで、内部の感情、語るべきストーリーを表現できる。動きにおいても、例えば指先のわずかな動きで、一つのストーリーを語れる。ジャンプも、それは深く感情的なジャンプ。スピンでも、力が自然に内部から湧き上がって彼を動かしているような感じがある。だから、彼の動きは細部にまで気を使い、一つ一つに感情がこもったものになっている。

私たちがコラボでやりたいのは、彼のこうした動きと私のピアノの音がハーモニーをかもし出し、彼が本当のダンス、本当の役者を氷上で演じてくれることだ。

swissinfo.ch : あなたの演奏も、個々の細部に感情のこもった、表現性に富むものです。

ブニアティシヴィリ: 私は弾きながら同時に音を聞いている。つまり、音を作り出す人間と音を聞いている人間という2人が私の中にいて、その創作と観察という二つの役割を繰り返していくのがクラシックの演奏だと思っている。

でも弾いているとき(創作)は、その瞬間を生きている。そしてこの創作と観察の過程を繰り返しながら、特に聞いている状態のときに「至福」「恍惚(こうこつ)」の状態になる。それは、自分の感情と完璧に一体となった状態だ。

創作と観察という二つの役割に没頭して観客の存在を忘れ、内部の最も深い部分が出ていく状態は、母親と子どもに例えられるかもしれない。

二つの役に没頭しているのは、子どもが母親の胎内にある状態で、そのうちそこから出てくる感情は、生まれた子どもそのものだ。その子は自由な存在になる。観客とは、この子ども(最も内的で自分に一番近い感情)を分かち合う。

swissinfo.ch : しかし、そのように完結したあなたの演奏ですが、ステファンやカロリーナの演技と一緒になるときは、どうなるのでしょう?

ブニアティシヴィリ: 他の人と一緒に組むとき、例えばオーケストラや指揮者と組むとき、相手の性格・エネルギーと自分のそれを調和させるように努力する。それがうまくいかないときもある。

だから今回、ステファンやカロリーナの「エネルギー」と組むとき、共通のエネルギーを見つけなくてはならない。ときには、相手が表に出るようにゆずり私は陰に隠れ、またあるときは、私が表に出るといった工夫がいる。

つまり、前に言った自分自身の「流れ・過程」に没頭しながら、同時に他の人の「流れ・過程」に配慮するとき、まるでそれまで知らなかった2人が舞台の上で突然恋に落ちるように、新しい感情やハーモニーが生み出され、自由になると思う。

swissinfo.ch : では、あなたのショパンは違うショパンになると?

ブニアティシヴィリ: ショパンへの基本的な解釈は同じなのだけれど、相手のエネルギーが違うので、少し変わるだろう。いつものショパンではなく、一つのストーリーを語るショパンになると思う。

そもそも、演奏とは毎回違うもの。アドレナリンの出方や、どの感情が出るかで毎回違う。とにかく今回のショーでは、「愛」についての話があって、それはショパンやラベルの音楽に基礎を置きながら、自分の想像力がステファンの想像力やカロリーナの想像力と呼応し、ときには、2人の想像力に妥協しながら、3人の想像力で「作品」を作り上げていく。でもこれは、この3人のスケートでの「作品」であって、また違う人とコラボすれば違うショパンになる。例えば、映画をこのショパンで作る場合は、まったく違うものになる。

まず、コンセプトから始まる。ストーリーを作らなければならない。お互いの性格を知り合って、どういうことに感情的になり、どういうことに敏感か、などを知っていき、どんなストーリーに作り上げるかが基本だ。どういう精神で氷上に立つか。どうやって一歩をふみだすか。

コンセプトができあがれば、その後はもっと技術的な仕事になると思う。ハーモニーがあり、完璧で、いかに繊細に細部まで表現できるか、感情的にとても強く、動きにそれを表現していけるか?それを私は音楽でどこまでできるかというチャレンジだ。

swissinfo.ch : では、今回のコラボは新しいチャレンジになりますね。

ブニアティシヴィリ:  芸術はファンタジー(創造的な空想)を具現化することだといつも思っている。一つのファンタジーを具現化したら、次のファンタジーに移っていくもの。もし、やりたいと思うファンタジーを実行しなければ、次のファンタジーに移っていけない。

もし、特別な人に会い、その人が自分を開放し成長を助けてくれると感じたら、そしてその出会いを素直に受け入れたら、それ以前にはあると想像さえしなかった扉が開く。ステファンは、その天才性でこの可能性を与えてくれる人。

こうしたコラボは、まるで自分の中に隠れているファンタジーというもう一つの「庭」への扉を開いてくれるようなものだ。

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