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サーカスがいっぱい

2010年ジュネーブをサーカスの世界に変えるユリ・メッサン・ジャシン氏

(Keystone)

ジュネーブは今年1年間サーカスの世界に変わる。「2010年ジュネーブ・サーカスの世界」の開催で、世界34カ国からさまざまなアーティストたちが公演を行うからだ。

劇場に限らず、通りや広場などでの野外上演も180回行われる予定。この企画は1980年代アーティスト、ユリ・メッサン・ジャシン氏のアイデアでスタートし、1987年にはローザンヌで今回と同様の多数のサーカス上演が行われた。

夏には多くの野外上演

 寒さが抜けない1年の初めの数カ月間は、サーカスに関する展覧会、コンサート、上映会などを通して人々はサーカスの世界に親しみ、その後夏には通りや広場に設置されたテントなどでサーカスの実演を楽しむことになる。

 町をサーカスで埋め尽くすジャシン氏の発想は、およそ30年前から始まったサーカスの変化とも関係している。
「1970年代に形成され始めた現代のサーカスは、演劇、ダンス、お笑い劇などを混ぜ合わせたもの。その特異さをもっと一般に知ってもらいたかった」
 と発想した当時を振り返る。

サーカスの変貌

 有名なパントマイム俳優ディミトリ氏も今回のジュネーブの催しを歓迎する。実はディミトリ氏はこうしたサーカスの変貌の先がけ的人物で
「わたしは演劇からパントマイムに移った最初の俳優の一人だった。1970年スイスのサーカス「クニー ( Knie )」 がわたしを雇おうとしたとき、多くの人が『繊細で微妙な表現をするパントマイムはサーカスに合わない』と反対した。ところが大成功を収め、その後多くの競走相手が登場した」
 と語る。

 「1978年にはベルリンの演劇フェスティバルがわたしを招待してくれ、何かサーカスをテーマにした演劇を上演してほしいと言われた。そこで『古いピエロは死んだ。新しいピエロに万歳』を上演し、それがまた大反響を呼び、何回も上演が行われた」
 と話す。

 こうしたサーカスの変貌をディミトリ氏は、学生運動の1968年直後「多くの演出家が演劇をエリート的なものからもっと大衆的なものに変えたい」と望んでいたことが理由の一つにあると見る。また当時、伝統的なサーカスは映画やテレビの人気に押され気味にあったことも見逃せないと言う。

 さらに、共産圏のサーカスから刺激を受けたことも大きく
「ロシアでは中国でもそうだが、サーカスは非常に大切なもの。レベルも西ヨーロッパよりはるかに高い。この2カ国のサーカスは世界のどこででも上演ができるようになるや、その名人芸で人々を驚愕させ多くの影響を与えた」

若者のサーカスブーム

 そして「シルク・ドゥ・ソレイユ ( Cirque du Soleil ) 」のような、演劇的かつアーティスティックなサーカスが世界的な大成功を収めるようになった。
「以前、サーカスは限られた娯楽の一つだった。次いでテレビ、映画の大衆芸術に押され気味になった。ところが今日人々はこうした映像による娯楽にうんざりするようになってきている。現実に動くものを求め、演劇やサーカスが再び人気を博すようになった」
 とディミトリ氏は分析する。

 その結果「若者がサーカスの世界にますます魅かれるようになってきている」と言うのは、「ジュネーブ・サーカス学校」の校長イベット・シャランド氏だ。
「不況で就職口を見つけるのが容易ではない今日、親たちも子どもがサーカスの方向に進むのにあまり反対しなくなってきている」
 と話す。

 またもう一つの理由は
「スポーツをやめ趣味にサーカスをやる子が増えている。アーティストに囲まれ、勝ち負けのない世界が気に入るようだ」

 スイスにある四つの演劇大学の一つで教鞭を取るディミトリ氏も、以上の意見に賛成し
「パントマイム、アクロバット、ダンス、柔道、剣道、即興、コメディア・デラルテなどさまざまなものを教えているが、若者はわれわれの授業を大歓迎している」
 と言う。

 しかし、こうした新しいサーカスの在り方は、動物の曲芸なども含む伝統的なサーカス、クニーの存在に影を落とすことにならないだろうか。
「クニーは素晴らしい。スイスのサーカス文化を維持してきて、現在8代目が興業している。初めてパントマイムを取り入れたのもクニーだった。クニーはいつも世界最高のサーカスの一つと見なされてきたし、これからもそうあり続けると思う」
 とディミトリ氏は確信する。

フレデリック・ビュルナン 、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳、里信邦子 )

2010年、ジュネーブ・サーカスの世界

今年開催される「2010年ジュネーブ・サーカスの世界」では、34カ国からサーカスアーティストたちが集まり、ジュネーブでさまざまな公演を披露する。
劇場のみならず通りや広場でも上演され、100張りのテントが建てられる。野外で行われる公演が合計180回。15の展覧会、ダンス、演劇なども企画されている。
この企画を提案したのは、アーティスト、ユリ・メッサン・ジャシン氏。ジュネーブ観光局、ジュネーブ州の12近くの市町村が支援している。演劇、文化関係の団体もこの企画に合わせ、サーカスをテーマにする。また、国際連合 ( UN ) 、セルン ( CERN ) 、ジュネーブ大学病院 ( HUG ) などもサーカスに関する催しを行う。
毎年開催される夏のジュネーブ祭り( 今年は7月29日から8月8日まで ) でも、毎日1カ所でサーカスが行われる。

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