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恋しい日本のあれこれ キャリアを積んだ東京を離れて

お祭りでみこしを担ぐラウラ・ショルさん
東京のお祭りでみこしを担ぐラウラ・ショルさん 本人提供

初来日で日本移住を決意し、これまで約8年間、日本で暮らしキャリアを積んできたスイス人女性のラウラ・ショル(34)さん。現在MBA取得のため、ザンクト・ガレンに1年の期限付きで「滞在中」だ。日本を離れて1ヶ月。恋しさを募らせる東京の日々を語った。

スイスインフォ: どうしてスイスを離れたのですか?

ラウラ・ショル: 日本に初めて行ったのは大学在学中で、愛知県岡崎市で6週間、語学学校に通いました。その初来日の時点ですでに、将来は日本で働きながら暮らそうと決意しました。スイスの大学で専攻したのは東アジア美術史、日本学、中国学。在学中はトータルで3年間、日本に滞在しました。

ラウラ・ショルさん
浴衣を着たショルさん zVg

日本に移住したのは2012年春の大学院修了後、すぐです。従業員が4人の会社の人事担当としてスタートし、これまで5年間、東京で一歩一歩キャリアを築いてきました。最終的にジョンソン・エンド・ジョンソンの人事部で採用スペシャリストとして働き、先月、1年間という期限付きでスイスに戻ってきました。 

スイスに戻ってきたのは、ザンクト・ガレン大学でMBA取得を目指す集中コースに通うためです。MBA取得後は再び日本に戻る予定です。もう、人生の約4分の1を日本で過ごしているんですよね。スイスで育ってはいるんですけど…。

スイスインフォ: 来日して最初にどのような印象を受けましたか?

ショル: 来日して最初の1ヶ月は全てが新しいことばかりで、とにかく毎日が刺激的でした。その一方で大変だったのは、日本の働き方(と満員電車!)に慣れなければならなかったことです。

スイスインフォ: ザンクト・ガレンでMBA取得を目指す理由は?

ショル: これまで人事部では主に採用課で働いていましたが、MBA取得を通じて新しいキャリアの幅を広げたいと思ったからです。

まだはっきりとはしていませんが、ゆくゆくは事業開発や企業戦略などに関連した職に就きたいと思っています。一番理想的なのは、スイスと日本をつなぐ仕事ですね。

東京のビルと料理
東京で友人たちと食事を楽しんだときの一枚 本人提供

スイスインフォ: 一度スイスに戻ってみて、日本が恋しいですか?

ショル: はい。特に日本の料理が恋しいです。それに、外食文化も!日本の料理は美味しいものばかりです。お米、新鮮なお刺身やお寿司、焼き鳥、なべ料理、お味噌汁、焼肉…。

日本での外食は、もう私の趣味の一つです。良心的な値段で美味しく食べられるレストランが日本にはたくさんあります。

美味しい料理とお酒を友人たちと一緒に楽しむのは本当に好きです。

スイスインフォ: スイスより日本のほうが魅力的なところは?

ショル: 東京に住んでいて魅力的だなと感じるのは、暮らしが安全であること、サービスの質が良いこと、便利であること、食べものが美味しいこと、外食文化が発達していること、文化が魅力的であること、海と山の両方でスポーツを楽しめることです。

浅草・浅草寺
「最後の年は浅草・浅草寺の真裏に住んでしました。毎晩仕事の後にここを散歩しました」(ショルさん) zVg

スイスインフォ: スイスとの一番の大きな違いを挙げるとしたら?

ショル: 基本的に日本とスイスは似ていると思います。ただ、そうとは言っても、スイスと比べて日本のほうが(未だ)遥かに閉鎖的で、同族意識が強いですね。ビジネスの場でも、日本人はあまり危険を冒しません。それに日本人は男女問わず打ち解けにくいので、友達になるまでに時間が掛かります。ただ、一度友達になってしまえば、ぐっと距離を近づけることができます。

清潔さ、安全さ、時間の正確さ、丁寧さはスイスと日本の両国で誇りに思う点です。旅行や山が好きなところも似ていますよね。

スイスインフォ: 日本で暮らしていた頃、スイスをどう感じていましたか?

ショル: スイスは小さいですが、収入が高く、ワークライフバランスが保てる国です。マイナス点は、何でもきっちりとしたがる気質と、気候的に寒く、雨が多いことですね。

スイスインフォ: 日本で暮らしていた時に、スイスの何が恋しかったですか?

ショル: 家族と友人、そしてワークライフバランスの保てる働き方です。

スイスインフォ: 日本の政治に関心はありますか?

ショル: あります。日本語、日本の文化、日本で暮らす人たち、日本の料理に関心があるのと同じように、日本の政治にも関心を持っています。

スイスインフォ: 日本からスイスの国民投票に参加しましたか?

ショル: はい。出来る限り参加しました。オンライン投票ができないときは郵便投票で参加しました。

※ 本記事はメールでのインタビューを基にしています。

本記事で表明された意見はインタビュイーの陳述によるものであり、必ずしもスイスインフォの見解を反映するものではありません。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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