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スイスのビザ政策


スイスにビザ無し渡航できる外国人は誰?




今年の6月より、トルコ国民はビザを取得しなくても欧州連合(EU)域内への渡航が認められるようになる予定だ。これはEUとトルコの間で交わされた移民に関する新しい合意の一部だが、これに伴い、スイスも欧州と足並みをそろえビザ申請の規定を変更せざるを得なくなるだろう。だがスイスは常に欧州に従っているわけではなく、独自のビザ政策を行ってきた。そのビザ政策では、世界はどのように区分されているのだろう?

 スイスで休暇を過ごしたり、会議やフェスティバルへの参加、そしてスイスに住む友人や親せきを訪れたりすることは、渡航者の出身国によっては手続きが複雑だったり、渡航が不可能なことさえある。これはスイスが渡航を認める外国人と認めない外国人を厳密に規定しているためで、こういった処置をとる国は他にも多い。

 その区分によると、世界ははっきりと二分されている。一方はビザ無しで最長3カ月間スイス滞在が許される「ファーストクラス」の国々(ただし就労は不可)。もう一方はビザの申請が義務付けられている国々で、ビザの発行が困難なケースも多い。

 例えば、スイスはビザ発行の条件として、銀行の残高証明書などの金銭的な保証を求めることができる。またボリビアのように、スイス大使館に赴くためにわざわざ隣国ペルーまで足を運ばなければならない国さえある。

スイスでは2015年に51万7179件のシェンゲン・ビザ(短期訪問ビザ)の申請があり、そのうち発行が拒否されたのは5.3%(2万7371件)。発行されたビザの大半は観光が目的(48%)だった。

ビザの申請が最も多かった国はインド(13万件)。そして中国(8万4千件)、ロシア(2万9千件)、タイ(2万7千件)、トルコ(1万6千件)と続く。

インド人のビザ申請数は昨年で約2割増加。だが、世界中で発行されたビザの4分の1はインド人が取得しており、これはスイスだけの特別な傾向ではない。

EUがスイスの政治に与える影響  

 ヌーシャテル大学の研究者、ラウル・ケンツィックさんは「戦後、スイスは地政学、経済、安全保障政策といった複雑な要因を考慮してビザ政策を行ってきた」と説明する。彼はこのテーマで論文も執筆している。しかし2008年にスイスがシェンゲン協定に加盟して以来、短期ビザに関するスイスの裁量が少なくなったという。

 今回のトルコがその良い例だ。EUとトルコ間で結ばれた移民に関する協定が施行されれば、恐らくスイスもトルコ国民のビザ無し渡航を認めざるを得なくなるだろう。だがまだ何も確定したわけではない。過去に前例こそないが、「スイスはこの自由化に対抗し、最終的な決断を国民に委ねることもありうる」と連邦移民事務局の広報官、セリーヌ・コールプラートさんは断言する。

 だが争点は大きい。EUとトルコ間の合意の目的は(移民の大移動が著しい)バルカンルートを閉鎖することであり、その結果スイスに対するEUの風当たりがさらに強くなる恐れもある。

観光客は歓迎、移民はお断り

 ある特定の国民に対しビザを義務付ける背景には、その国の経済的な状況や治安といった内政的な事情がある。「観光業界などは特定の国に対する制限を疑問視し、以前から何度も緩和を求める動きがあった」とケンツィックさんは言う。

 例えば2004年、ヴァリス(ヴァレー)州のように観光に力を入れている州を代表していたクリストフ・ダルベレ下院議員(キリスト教民主党)が、政府に対し中国人観光客のビザ要件の緩和を求めたのも偶然ではない。中国人観光客がスイスで1日に使うお金は、平均450フラン(約5万円)とダルベレ氏は強調。同氏の働きかけで団体旅行に関する要件が緩和される結果となった。

 観光客を歓迎する一方で、スイス政府は不法入国のリスクを極力抑えるようにも努めている。このため、マグレブ諸国に対し大きな影響が出ているとケンツィックさんは言う。チュニジア、アルジェリア、モロッコなどからの移民が増加する中、スイスは1990年にこれらの国に対し再びビザを義務付けた。ほぼ30年間も自由な渡航が認められていた後の変更だ。同じことがエクアドルやボリビアなどの南米諸国に対しても適用された。

 ビザ政策がスイスの難民政策の硬化に利用されていると主張する研究者も多い。確かにスイスの難民の出身国で最多を占めるエリトリア、シリア、スリランカといった国々は全てビザが義務付けられている。だがビザと難民の関連性を証明するのは難しいとケンツィックさんは言う。

スイスのパスポートは幅広い自由を保障

 ではスイス国民が世界旅行をする場合、どれだけ自由に外国へ渡航できるのだろうか?コンサルタント会社ヘンリー&パートナーズの調査によると、スイス人はビザ無し、あるいは入国審査時に発行される入国許可で172カ国に渡航できる。同社が毎年発表する「パスポート自由度ランキング」(ビザ無しで渡航可能な国数の順位を表す)でスイスは6位。首位はドイツ(177カ国)、そしてスウェーデン(176カ国)と続く。

 ここで注目して欲しいのは、必ずしも二方向でこの自由が保障されているわけではない点だ。スイス国民はビザがなくてもペルー、ボリビア、モロッコ、エジプトといった国に渡航できるが、これらの国の国民が自由にスイスに渡航できるわけではない。また、スイス人にとってビザの取得は単なる手続きに過ぎず、現地到着後に空港ですぐに発行してもらえる国も多く、スイスが特定の諸国に求めているビザ取得要件とは比べ物にならない。


(独語からの翻訳・シュミット一恵 編集・スイスインフォ), swissinfo.ch

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