スイスの視点を10言語で

スイスの森でリフレクソロジー!

せせらぎの道:森の中は涼しくて歩くのも快適。小川のせせらぎが裸足に気持ちよい。 swissinfo.ch

足裏をマッサージして血行をよくしたり、ストレスを解消したりするリフレクソロジーは、すでに日本でもお馴染みである。英国式マッサージと台湾式マッサージが主流のようだ。以前、同僚と台湾旅行に行った時、一体どんなものかと思い台湾式マッサージ(20分)を受けてみた。小柄な女性マッサージ師を勝手にイメージしていたのだが、予想に反して筋肉モリモリの大男のオジサンに力任せにグイグイと揉まれ、あまりの痛さに飛び上がりそうになった経験がある。オジサン曰く「あなた、眼と胃の調子が良くないね。今は痛くても後から楽になるからちょっと我慢して。」と言われ、脂汗を流しながら耐えたことを思い出す。

 さて、このリフレクソロジーの普及にスイス人の看護婦ハイディ・マザフレ(Heidi Masafret)やジョゼフ・オイクスター(Josef Eugster)神父の2人が大きく貢献したことは、スイスでさえあまり知られていないようだ。マザフレは中国の病院で働いた経験を元に足の反射療法についての本を1976年に出版し、当時ヨーロッパで大きな注目を集めた。この本を読んだオイクスター神父は、リウマチによる膝の痛みを改善しようとこのマッサージを実践したところ痛みが激減。彼はキリスト教布教のために1978年に台湾に渡ったのだが、布教活動と共にこの足のマッサージ法を紹介し爆発的な大ブームとなった。これが台湾式足裏マッサージの元になったそうである。

swissinfo.ch

 さて、クリニックに行かなくてもお手軽にリフレクソロジーの効果を実感できるのが、2008年にトゥルガウ(Thurgau)州の小さな村ヴッペナウ(Wuppenau)にできた「裸足のハイキングコース」。実は以前から一度体験してみたいと思っていたので、夫を誘って出かけてみることにした。

swissinfo.ch

 村の東側にある駐車場に車を停めてスタート。ここはハイキングコースのゴール地点にもなっており、駐車場脇のボックスにコース案内のパンフレットが置かれている。コースは短距離(4km)と長距離(7km)の2つ。初心者には短距離がお勧めだ。地図には、見晴らしポイント、足洗い場、バーベキュー場所、レストラン等も色別にわかりやすく示されている。

swissinfo.ch

 早速トレッキングシューズを脱いで勇んで裸足で歩き始めたものの、1kmも歩かないうちに足が痛くてたまらなくなった。丸い小石が敷かれているのだが、5分もすると慣れない痛みでペースダウン。しかもコースの半分ぐらいは一般車道(といってもほとんど車は通らない。)なので、天気がいいと表面が焼けるように熱くなり、普段甘やかされている足裏は痛みと熱で真っ赤になってしまった。幸い近くに足洗い場を見つけたので、足をしばらく冷やしてから再び靴をはいて続行。柔らかい森の中の道はあまり痛みを感じないので、様子を見ながら裸足になったり、靴を履いたりしてハイキングを続ける。私達はトレッキングシューズしか持参しなかったのだが、コースはほとんど緩やかな坂なので、脱ぎ履きが楽なアウトドア用サンダルをお勧めする。足拭き用タオルも忘れずに持って出かけよう。

 お昼に持参したソーセージ「セルベラ」をグリルし、パンとサラダを添えてランチタイム。セルベラは青空の下で食べると一段と美味しい。バーベキュー場所は2カ所あり、どちらにも無料で使えるグリル設備と薪、新聞紙まで用意されていてとても有り難かった。

swissinfo.ch

 お天気が良ければ、ノレン(Nollen)という丘の上からアルプスのパノラマが楽しめる。ここにはレストランが3件あるので、トイレ休憩がてら(ハイキングコースには公衆トイレは全くない。)立ち寄るのもいいだろう。

 森の道には、素足で楽しめる様々なスポットが設けられている。草原の上を歩いたり、小川の中を歩いたり、湿った落ち葉の上を歩いたり。中でもスリリングなのは膝下までつかる泥の中を歩くスポットだ。冷たい泥が熱くほてった足裏にまるで冷湿布のように気持ちよかった。その他、小石や木片、松ボックリ、なんとガラス片の上まで歩けるゾーンもあるので大人でも楽しめる。素材によって足で感じる感覚がまるで違うのがとても新鮮で面白い。

 私達は7Kmコースに挑戦したのだが、3時間弱のハイキングの後は血行がよくなり気分もすっかりリフレッシュしていた。足裏の痛みはその後2日間程続いたが、普段使われていない足の裏の感覚が蘇ったような気がする。たまには素足になって直に大地を感じ、遙か原始の感覚に想いを馳せながら歩いてみるのもいいものだ。

森竹コットナウ由佳

2004年9月よりチューリッヒ州に在住。静岡市出身の元高校英語教師。スイス人の夫と黒猫と共にエグリザウで暮らしている。チューリッヒの言語学校で日本語教師として働くかたわら、自宅を本拠に日本語学校(JPU Zürich) を運営し個人指導にあたる。趣味は旅行、ガーデニング、温泉、フィットネス。好物は赤ワインと柿の種せんべいで、スイスに来てからは家庭菜園で野菜作りに精をだしている。長所は明朗快活で前向きな点。短所はうっかりものでミスが多いこと。現在の夢は北欧をキャンピングカーで周遊することである。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部