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スイスインフォ  解体 

swissinfo.ch

スイス放送協会のワルペン会長とミュンシュ重役会会長は22日、スイス放送協会の国際部門でスイスの多言語ニュースサイト、swissinfo(スイスインフォ)が解体され、120人の従業員中、70人から80人が解雇されることをスイスインフォのベルン本部で発表した。

スイスインフォは最低限の英語のサイトだけが残り、解体は2006年の末までに終了予定だと発表された。

現在ある9ヶ国語の多言語ニュースサイトは英語のみが存続し、10人ほどの英語記者が残る。他の全ての言語サービス、ドイツ語、フランス語、イタリア語の国内言語とアラビア語、スペイン語、ポルトガルが語、中国語と日本語が廃止される。全従業員120人のうち解雇にならないのはウェブファクトリーやIT関係の技術者のみとなる。

財政難の経緯

 スイス放送協会の重役会は、この措置は政府がスイスインフォへの1,500万フラン(約13億円)の援助を2006年から打ち切ちきることにした結果だとし、この解体によって年間、1,600万フラン(約14億円)の節約ができると発表した。

 スイス政府はスイスインフォにこれまで年間約1,700万フラン(約15億円)を拠出していたが、2005年からは補助金が500万フラン(約4億4千万円)に減ったため、誰がこのサービスにお金を出すか、政府とスイス放送協会の間で揉めていた。スイス放送協会は国外向けサービスのために国内の視聴料をあげるわけにはいかないと主張している。 

 なお、この決断は政府の監視機関による承認が得られなければならず、それまでに3ヶ月から6ヶ月を要する。このため、スイス放送協会で行われた会見で「サイトがいつ停止されるのか」という質問にワルペン会長も答えられずにいた。

スイスインフォとは?

 スイスの公共サービスの一環であるスイスインフォは政府から国外に住むスイス人に情報を提供するという使命を受け、それとともに外国にスイスのニュースを発信する勤めを果たしていた。 

 1934年に設立されたスイスインフォ(スイス国際放送)はNHKのように世界に短波ラジオ放送を発信していた。ところが、時代とともにラジオの需要も変化してきたため、1999年に「スイスインフォ」という多言語のウェブサイトとして立ち上げられ、2004年10月にラジオ放送を打ち切っていた。昨年も補助金カットによる第一次、人員削減が行われていた。

 およそ、6万人にのぼる在外スイス人評議会は既にこの措置に断固反対を表明している。スイスインフォの労働組合はこの措置が2007年のメディア新法が成立するまで凍結することを要請している。また、労働組合は連邦情報局(Ofcom)にスイスインフォの存続を求めている。


swissinfo 屋山明乃

スイス放送協会の国際部門、スイスインフォの多言語インターネットニュースサイトが解体される。

– スイスインフォは1934年に短波ラジオ「スイス国際放送」として創設された。1999年からはインターネット上の多言語情報サイトに変換し、2004年の10月に70年間続いた短波ラジオ放送は打ち切らた。

– スイスインフォはスイス放送協会(SSR SRG ideé Suisse)の国際部門であり、スイス国外のスイス人に情報を提供しながら国外にスイスをアピールする勤めを果たしていた。

– スイスインフォは現在120人の従業員がおり、ドイツ語、フランス語、イタリア語の国内言語の他に英語、スペイン語、ポルトガル語、アラブ語、中国語と日本語と9ヶ国語のサイトがある。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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