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スイス連邦大統領とは 正殿の儀になぜスポーツ相? スイス「代表」の意味

窓越しに並ぶ各国の賓客

22日皇居・宮殿で催された天皇陛下の即位礼正殿の儀には海外の賓客400人超が参列した

(Keystone / Akio Kon / Pool)

天皇陛下が内外に即位を宣言される「即位礼正殿の儀」が22日皇居・宮殿で催され、海外からは191カ国・機関が参列した。スイスから出席したのはヴィオラ・アムヘルト国防・国民保護・スポーツ相。各国から大統領や首相、皇太子らが集まる中、なぜスイスは今年就任したばかりのいち大臣が出席したのか。

アムヘルト氏は19日午後、スイス空軍機で羽田空港に到着。21日にはスポーツ相として2020年東京五輪・パラリンピックに向けて企画されたSwiss Design/Made in Japan他のサイトへや「スイスへのとびら他のサイトへ」を訪問した他のサイトへ。連邦政府広報によると、安全保障問題や平和構築、女性の昇進、スポーツに関するパネルディスカッションにも登壇した。

Viola Amherd

アムヘルトスポーツ相のツイート

▲アムヘルト国防・国民保護・スポーツ相のツイート

正殿の儀には194カ国が招待され、191カ国・機関から423人が参列した。英国はチャールズ皇太子、ドイツはシュタインマイヤー大統領夫妻、フランスはサルコジ元大統領が出席した。米国からチャオ運輸長官、中国から王岐山国家副主席が出席。必ずしも最高権力者が参列したわけではないが、併せて安倍晋三首相との会談がセットされるなど、外交的な意味合いは小さくない。

行政の長が7人

スイスに王や首相はいない。行政機関の長は7人の連邦閣僚(Bundesrat/Le Conseil fédéralle/ Consiglio federale)だ。大統領は、7人が1年ごとに輪番で務める「Primus inter Pares(同輩中の首席)」でしかない。閣議の議長を務め、閣僚の意見が割れた時に最終決定権を持つほかは、他の閣僚と同格だ。

連邦大臣:最高権力者のいない政府

ほかの多くの国と違って、スイス政府には首相も常任の大統領もいない。 1848年以来、政府は連邦大臣と呼ばれる7人の閣僚で構成されている。その中の1人が1年ずつ輪番制で大統領のポストに就く。 ...

2019年の大統領はウエリ・マウラー連邦財務相が兼任している。1月にウィーン他のサイトへと建国300年を迎えたリヒテンシュタイン他のサイトへ、4月に中国他のサイトへを訪問。5月にはホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。9月にニューヨークの国連総会他のサイトへに出席した。6月には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に招待国として訪日し、併せて安倍晋三首相と会談している。今月18~19日にはワシントンで開かれた国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会他のサイトへに、ギー・パルムラン経済相やスイス国立銀行(SNB、中央銀行)のトーマス・ジョルダン総裁とともに出席した。

内外の代表が天皇即位に祝辞を述べる場でもある正殿の儀に、大統領ではなく国防・国民保護・スポーツ相が参列したのはなぜか?スイスインフォの質問に、連邦政府広報は「スイスの政治システムでは合意により連邦閣僚の全メンバーが国を代表することができる。日程上の理由から、連邦閣僚メンバーは、アムヘルト大臣が新天皇の即位礼正殿の儀に出席することで一致した」とメールで回答した。

つまり、アムヘルト氏は「国防・国民保護・スポーツ相」としてではなく、「スイス連邦代表」として正殿の儀に参列したということだ。マウラー大統領はこの日、外相会談のため首都ベルンを訪れた中国の王毅外相と挨拶を交わしていた。

1990年11月の上皇様ご即位に際しての正殿の儀にも、当時のアーノルド・コラー大統領ではなく、ルネ・フェルバー外務相が参列している。

大統領の苦悩

首脳会談など実務的な外交の場には、その年の大統領が赴くことが多い。ただスイスの特殊な大統領制を外交相手に理解してもらうには苦労もあるようだ。

元連邦外務省開発協力局長のヴォルター・フスト氏はかつて、スイスインフォの取材に「対外的には、毎年別の人が大統領であることは少し面倒だ」と話した。「それ以外の点では、スイスは一貫性があることで知られているが、国の最高権力者に関しては一見連続性がない。多くの国で『同輩中の首席』が何たるかは知られていない。(大統領が兼任で)省庁を統率しなければいけないことも知られていない」

大統領の仕事

スイスの大統領は7人で構成する内閣閣僚が毎年、交代で務める。 大統領はスイス政府を代表し、閣僚会議を取り仕切る。大統領はあくまでも「同輩の代表者」にとどまり、ほかの閣僚と権限は変わらない。 *キャプションの肩書きはいずれも撮影当時のもの

連邦憲法は、外交政策は外務相だけではなく全閣僚が責任を負うと定める。フスト氏は、大統領として外遊するときも「多くの閣僚が、7人いる外務相の1人に過ぎないと感じる」と打ち明けた。

大統領は「例えば閣議をうまく率いることで存在感を発揮することができる。訪問やそれによって国民や外交相手の国民が受ける印象によってもそれは可能だ。イメージ作りをする一定の余地はある」(フスト氏)。だが連邦議会の場では各省の代表であり、こうしたイメージ作りは難しいという。

「その代わりに、外国に対しては国際メディアを通じたスイスのイメージの発信に努めている。問題は、それがどう受け止められるかだ。それは大統領の姿勢に大きく依存する。外国の人々がスイスをどう認識するかは、大統領に左右される」

政治学者のクロード・ロンシャン氏は、「外務相は協議を主催する立場でしかいられない。政治的主導権を握るのは連邦内閣およびその年の連邦大統領だ」と指摘。欧州連合(EU)との交渉など外交問題が複雑になる中、大統領の権限を強化すべきだと主張する。

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