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デジタル時代の高齢者支援 増えるシニアのIT利用 タブレット講座人気

インターネットには利便性のほか、高齢者が社会との関係を維持できるという利点もある

インターネットには利便性のほか、高齢者が社会との関係を維持できるという利点もある

(swissinfo.ch)

列車の切符のオンライン購入、友人への写真の送信、孫たちとの交流 ― インターネットはいまや、多くのスイス人高齢者の生活に欠かせないものだ。100年の歴史を持つ高齢者支援団体「プロ・セネクトゥーテ(Pro Senectute)他のサイトへ」は、高齢者がデジタル時代に順応できるようサポートすることを最優先事項の一つとして挙げている。

スイスでは65歳を超える高齢者の約56%がインターネットを利用している

(swissinfo.ch)

 ジャン・マリー・ペルーさんは、自分の前にそっとタブレット端末とスマートフォンを置いた。そばには、手帳とボールペン。ときどき手帳を開いては講師のアドバイスをメモしている。

 ヴォー州ローザンヌで開催されたこのタブレット講座は、高齢者支援団体「プロ・セネクトゥーテ」が開いた。スイスではインターネットを利用する高齢者が増えており、他の受講者3名と講座を受けるペルーさんもその一人だ。プロ・セネクトゥーテの委託を受けてチューリヒ大学が実施した調査「シニア世代とインターネット他のサイトへ」によれば、2009~15年の間に、シニア世代のインターネット利用率は38%から56%にまで上昇した。

 「米国のマサチューセッツ工科大学で学んだ際、初期のコンピューターを使う機会がありました」とペルーさんは自己紹介で話した。エンジニア、銀行員、グラフィックデザイナー、教師 ― この講座の受講者は、インターネットを利用する新世代高齢者の典型だ。前述の調査では、この新世代を「高学歴、高収入、自宅で自立した暮らしを送る人々」と描写している。

 「たいしたことではないのですが、いくつか質問があります」と元銀行員はおずおずと切り出した。音楽をオンラインで購入する方法とタブレット端末をアップデートする方法を知りたかったのだ。他の受講者と同様、ペルーさんも知識を更に深めるためにこの講座に申し込んだ。どのようにタブレット端末とスマートフォンの連絡先を同期させるのか?どのようにアプリを整理するのか?講師は受講者から出る質問に沿って講座を進める。それらの質問は、高度なもの、基本的なもの、さまざまだが、たいてい的を射ている。

オンライン決済に不安を抱く高齢者たち

 「今時、ITが使えないのは不利です。他の方法では手に入れようのない情報もあります」と休憩時間に受講者のマリー・リュースさんは打ち明ける。70歳を超えた元教師のマリー・リュースさんはそのような理由からスマートフォンを始めることにした。その後タブレット端末を使い始めたのは、「タブレットの画面は少し大きかった」からだ。

 「何もわからないと、イライラします。わけがわからないと、手あたり次第触ってしまい、時々おかしな操作をしてしまいます」とマリー・リュースさんは話す。彼女はこのようにしてプロ・セネクトゥーテの講座にたどり着いた。

 インターネットで英語の講演会を聴く、情報を検索する、Eメールを書く、マリー・リュースさんはさまざまな目的にITを活用している。それでも、オンライン決済には不安があるという。「支払いのためにインターネットを使うことは今後もないと思います。安全性を信頼できません」。その言葉を裏付けるものとして、17年5月12日、150カ国のパソコン30万台がランサムウェア(身代金ウイルス)「WannaCry(ワナクライ)」によるサイバー攻撃に遭った事件を挙げる。

 「高齢者の多くはまだまだSNSやオンラインショッピング、オンラインバンキングに不安を抱いています」と講師のリーザ・ロッジェロさんは認める。講師の役目は、受講者の不安を取り除くと同時に、安全上の基本的なルールに注意を促すことだ。

(swissinfo.ch)

社会的なつながりを維持するためのインターネット

 インターネットには利便性のほか、高齢者が社会との関係を維持できるという利点もある。「仕事をしなくなると、誰かとコミュニケーションを取る必要が出てきます」とモーリス・ベグラン(76)さんは指摘する。ベグランさんは銀行を退職するとともに、一度は完全にITの利用をやめた。「10年間パソコンを使わない生活を送りました。しかし、IT無しで済ますことはほとんど不可能になったと考えるようになり、スマートフォンとタブレットを使い始めました」

 インターネットを利用する高齢者は実際のところ、利用しない高齢者よりも、社会により適応していると感じている、と前述の調査「シニア世代とインターネット」は結論付ける。「デジタル通信機器を使えるということが、社会で孤立しないために益々重要になってきています」と高齢者支援団体プロ・セネクトゥーテの広報担当ジュディット・ビュシェさんは話す。だからこそ、高齢者のデジタル化はプロ・セネクトゥーテにとっての優先分野だ。全国で約8500人が、プロ・セネクトゥーテのIT関連講座を受講している。

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 しかしながら、前述の調査が強調するのは、インターネットはもはや高齢者の孤立など、社会問題に対する魔法の薬ではないということだ。研究者は、高齢者のインターネットを使わないという選択をある程度尊重し、インターネットが普及する以前のアナログな方法で情報やサービスにアクセスできるようにすることも重要だと指摘する。「65歳を超える高齢者のインターネット利用率が100%になることは決してありません。我々は、特にオンライン決済について高齢者を支え続けていかなければなりません」とビュシェさんは断言する。プロ・セネクトゥーテでは、そのような理由から行政手続き支援サービスを提供を行っている。このサービスでは、例えば、高齢者はボランティアの訪問を受け、メールのやり取りやオンライン決済を代行してもらうことができる。

 講座が終わると、受講者が習ったことを話し合いながら笑顔で出てきた。「講座は出会いの場でもあります」と元銀行員のベグランさんは言う。共に講座を受けた元グラフィックデザイナーのドミニクさんは、娘から受け取った孫の写真を見せながら、「スマートフォンのおかげで、ベルリンに住む娘とまた交流できるようになりました」と話す。


(仏語からの翻訳・江藤真理)

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