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ニセモノ撲滅 国際会議

北京のブランド模倣品を売っている店

(Keystone)

ジュネーブで3つの国際機関が主催する「第3回世界模倣品・海賊版撲滅会議」が1月30日、31日に行われた。模倣品はブランド品やDVDだけではなく、薬や化粧品、自動車や飛行機の部品など生命にかかわる深刻な影響を与えている。この国際会議は世界中に模倣品がはびこり、問題が深刻化している表れといえる。

この会議では「模倣品問題」の深刻さを再確認するとともに、税関などの人材教育の強化、国内法の整備などどのような有効な対策を強化していくかを探るのが目的。模倣品・海賊版の取締りを強化するには国境を越えた協力が不可欠と各国の政府、民間企業、市民団体が乗り出したからだ。

 会議は世界知的所有権機関 ( WIPO ) 、インターポール(国際刑事警察機構)と世界税関機構 ( WCO ) が共催で開いた。WIPOは世界の模倣品・海賊版による被害は1億ドル ( 約97億円 ) 以上と発表している。

命にかかわる深刻な問題

 日本から会議に出席した前内閣官房知的財産戦略推進事務局長の荒井寿光氏は「ニセモノ問題はネクタイやスカーフなどにとどまらない大変深刻な問題です。偽の薬や粉ミルクを飲み死んでしまったケースや偽の自動車部品で事故が起こったり、偽電池が爆発したりと世界中の人々の健康と生命を脅かすものです」と説明する。

 荒井氏によるとアフリカに流通している薬の30%が模倣品、ナイジェリアでは80%にも及ぶという。WIPOは途上国の薬の25%、世界の薬の10%ほどが模倣品と推計している。

スイスと日本で被害者同盟

 薬の製造大国であるスイスにとっても問題は深刻だ。スイスではこの他、高級時計の模倣品にも悩まされている。スイス時計協会 ( FH ) の発表では損害は毎年、8億フラン ( 約776億円 ) と推計している。スイス政府は模倣品によるスイス経済への損害を20億フラン ( 約1900億円 ) と見ており、今月から模倣品撲滅キャンペーンを始めた。 

 これと同様に日本の被害も非常に大きい。信用のある「日本製」というブランドを利用してアジアを中心に多くの模倣品が出回っている。ニセモノには薬では「正露丸」や強心剤「救心」、ヤクルトなどの飲み物からあらゆる家電製品、自動車やオートバイなど幅広い。このため、日本とスイスではいわゆる「被害者同盟」として海賊版・模倣品対策に協調して取り組むことがこれから結ばれるスイスと日本の経済連携協定 ( EPA ) に盛り込まれる予定だ。

模倣品は「泥棒だ」という意識の変化も必要

 前出の荒井氏は「国際社会では日本人はニセモノの高級ブランド品を買うから悪い、生産を助長していると非難されますが、ニセモノを造る人も買う人も両者とも罰せられないと意識が変化されません」。フランスなどでは偽ブランドを買う人は国境などで模倣品を没収されるというが、日本でも同じく買う人を罰するべきという。「知的財産権を盗む泥棒と同じ」だからだ。

 日本も昔は多くの模倣品を作ってきた過去があるが、これからはニセモノ対策の先進国になるために「模倣品・海賊版拡散防止条約」を提唱している。同氏によると模倣品・海賊版の流通は国際的な犯罪組織の麻薬を超えた資金源になっているという。「20世紀は環境問題が大きかった。21世紀は知的財産権が重要となる知識社会だから模倣品問題がますます大きな問題になります。新しい人類に対する挑戦ではないでしょうか」

swissinfo、 屋山明乃 ( ややま あけの )

キーワード

世界の模倣品の流通による実際の被害は分からないが、世界貿易の3〜5%がニセモノといわれている。

WIPOによると模倣品による世界貿易の被害を1億ドル以上と推計している。

ニセ薬の流通は深刻でWIPOによれば、世界に流通している薬の10%が模倣品、途上国では25%にも上るという。これらの薬を模倣品と知らずに服用して死亡したりするケースも多く報告されている。

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