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ハイテクマットで氷河保存なるか

標高2,900メートルでもハイテクマットですっぽり

(Keystone)

地球温暖化で氷河がなくなってしまう危険性が指摘されて久しい。氷河特急も通るスキーリゾート地アンデルマットで、夏の間に氷が溶けるのを防ぐため、ハイテクのマットが氷河をすっぽり覆った。その広さ、2,500�u。

このハイテクマットは、グルシェン氷河のスキー場で、ケーブルの下にある雪が溶け出したのがきっかけとなって開発された。

 過去15年間、スイスの氷河は溶けて20メートルも後退した。このため、リフトの会社はスキーヤーのために、毎年雪が降るのを待って、氷河の頂上にスロープを作らなければならなくなった。そうでもしないと、リフトを降りてから滑降できる斜面に出るまで雪がないのだ。

 しかし、来年からはハイテクマットのおかげでその手間が省けるかもしれない。ハイテクマットが今ある雪をすっぽり覆ってしまって氷河を保護しているのだ。その姿はまるで巨大なトイレットペーパー。原材料はポリエステルとポリプロピレンだが、これから暖かくなって氷河が溶けるのを防ぐ秘密兵器である。

 もしこの試みがうまく行けば、ツェルマット、ザースフェー、エンゲルベルクなどアルプスの他の有名スキーリゾート地でも応用されるかもしれない。氷河の急速な溶解はどこでも深刻な問題なのだ。スイス科学アカデミーによると、過去2年間でスイスアルプスにある90の氷河のうち、75について溶解が計測されている。

 ハイテクマットを開発・製造したスイス企業、ランドルト社の最高責任者フランク・グロス氏は語る。「氷河の上に建設されたスキーリゾート地は数多くあります。皆、なるべくスキーシーズンが長引くように努力しているので、このハイテクマットは、非常にエキサイティングな可能性があります」                                                                                                                                

コスト削減の苦肉の策

 「このハイテクマットがどれだけ紫外線をカットするか、この夏で結果がわかります。私たちは、ハイテクマットの耐用期間の最低10年の間、満足のいく結果を出せる自信があります」とグロス氏は語る。

 アンデルマットのスキーリフト企業は、「このハイテクマットは氷河溶解を食い止める唯一の現実的対策です」という。これまで、企業は秋に雪が降るのを待ち、夏の間に解けてなくなったスロープをまた一から修繕していた。スキースロープを溶解から保護することができれば、コストや人件費が大幅に節約できるのだ。用が済めばこの巨大トイレットペーパーをくるくる巻いて、次の年までしまっておけばよい。

 しかし当然、このハイテクマット開発が地球温暖化の解決策となるわけではない。企業側もこれは地球の環境問題を変える抜本的解決策ではなく、山の上の彼らの問題を何とかしなければならないだけなのだと認めている。

ハイテクマットなんてとんでもない

 WWF(世界自然保護基金)のスイス支部は、今回の実験を「馬鹿馬鹿しい」と切り捨てる。「氷河全体を覆うのにどれだけ多くのお金がかかるか、想像してみてください」とWWFのアドリアン・シュティフェル氏は話す。「誰がそれだけ莫大な大きさの布のお金を払うんですか。地球温暖化の問題をマットの下に隠す事は誰にもできないのです」

 「ハイテクマットの使用は、地球温暖化の深刻な状況に相反するものです。人間は、温暖化に対して、こんなに莫大な経済コストを支払わなければいけないと証明しているようなものです」。シュティフェル氏によると、温暖化を食い止める唯一の有効手段は、温暖化の元凶である二酸化炭素の排出を大幅に削減する事のみだという。

 この原理から派生して考えれば、「リゾート関連企業は、石油依存の現在の企業体質を変えて、なるべくエネルギー消費を少なくするよう先陣を切るべきです」と同氏は語る。WWFは、「これ以上地球の気温が上がるのを防ぐためには、2050年までに、現在放出している二酸化炭素を30%削減しなければならない」としている。

 シュティフェル氏は更に警告する。「もし今、私たちがアクションを起こさなければ、アンデルマットには最終的に氷河が消えてなくなってしまうでしょう。地球温暖化は非常に深刻化しているのです」


swissinfo  デイル・ベヒテル、アンデルマットにて 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

補足情報

- スキーリフトの会社が、ハイテクのマットで氷河をすっぽり覆った。その広さ、2,500�u。

- 自然保護団体は今回の動きを地球温暖化の防止にならないとして批判している。

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キーワード

フリブール大学によると、2003年、2004年の2年間でスイスアルプスの90の氷河のうち75について氷河溶解が計測されている。
残り7つの氷河は変化がなく、8つについては微量ながら改善したという。
この研究は標高1,000mから3,600mの間にある10個の気象測定基地からのデータから測定されたものである。

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