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ファントシュ2014


スイス国際アニメ映画祭 現代の日本社会、特別テーマに




湯浅政明監督の「マインド・ゲーム」のワンシーン。この作品が上映される特別テーマ「What’s going on, Japan?」では、日本の現代社会を映し出す作品や、日本のアニメ史上に残る作品などが多数上映される (© Masaaki Yuasa Mind Game )

湯浅政明監督の「マインド・ゲーム」のワンシーン。この作品が上映される特別テーマ「What’s going on, Japan?」では、日本の現代社会を映し出す作品や、日本のアニメ史上に残る作品などが多数上映される

(© Masaaki Yuasa Mind Game )

自主映画を中心としたスイスの国際アニメフェスティバル「ファントシュ(Fantoche)」が、2日から7日までスイス北部の町バーデンで開催される。12回目を迎えた今年の特別テーマは「日本」と「戦争と平和」。宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」もスイスドイツ語圏で初上映される。

ファントシュの中核「国際コンペティション部門」には、73カ国から1298本の短編アニメが応募。最終選考に残った34本の中には、日本から水江未来監督の「Wonder」を含む4本が出品されている。

審査員は5人。そのうちの一人に、2012年のベルリン国際映画祭短編部門で銀熊賞に輝いた和田淳さんが選任された。

この映画祭では国際コンペ部門のほか、毎回異なるテーマを取り上げ、それに沿って作品を上映している。今年の特別テーマの一つ「日本」は、日本スイス国交樹立150周年を記念したもの。テーマの題名は「What’s going on, Japan?」。現在の日本社会、東日本大震災で引き起こされた苦悩、日本のアニメの歴史などのカテゴリーで作品が上映される。

もう一つの特別テーマは「戦争と平和」。開催地バーデンで、スペイン継承戦争の終結に講和条約「バーデン条約」が調印されてから300年を記念して設けられた。

フェスティバル・ディレクターのアネッテ・シンドラーさんに、国際コンペ部門や特別テーマを中心に話を聞いた。

swissinfo.ch: 日本人監督の作品も多数出品されている国際コンペ部門ですが、応募総数が約1300本の中、どのような基準で選んでいったのですか。

シンドラー: 選考委員会の4人が各自200本以上の作品を最初から最後まで見る。一つの作品は見れば見るほど、それが(芸術的に)成功したものかどうかが分かる。成功とは、見る人の関心を瞬時に引き付け、物語を素早くかつ力強く語り、強い印象を残す映像とともに、終わりがうまく完成されていること。良い作品にはこうした要素がすべて入っていなければならない。

swissinfo.ch: 中には、メッセージがすぐには理解できないような抽象的な作品も含まれています。

シンドラー: ファントシュでは作品に幅を持たせることを重視している。単に物語を語るのでなく、実験性に富んだ作品や、メッセージをこれまでとは違う手法で伝える作品、新境地を開くような作品も重要だ。

swissinfo.ch: 特別テーマの一つは「What’s going on, Japan?」です。なぜこの題をつけたのですか。

シンドラー: これは、このテーマを担当したキュレーターの土居伸彰さんが提案したもの。日本はどういう状況か、日本に何が起こっているのか、という意味が込められている。

日本では社会的なつながりはどうなっているのか。福島原発事故や東日本大震災は日本にどんな影響を及ぼしたのか。アニメ作品を制作する女性たちにどのような変化があったのか。様々な日本の作品を紹介することで、これらの問いを掘り下げた。

swissinfo.ch: 福島原発事故や東日本大震災といったテーマを、日本のアニメ制作者たちはどのように取り上げていますか。

シンドラー: 日本の制作者は政治批判を作品の中心には据えない。どちらかといえば、行間にメッセージを織り込む。こうしたテーマを取り上げたとしても、観客が面食らうような直接的な表現はしない。そうした意味では、直接的に政治批判や政治的主張をする作品は全般的にあまりない。

swissinfo.ch: この特別テーマで設けられている「歴史的な長編映画プログラム」では、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」、大友克洋監督の「AKIRA」、湯浅政明監督の「マインド・ゲーム」が上映されます。なぜこの3作品なのですか。

シンドラー: このプログラムでは、日本のアニメ映画において歴史的に重要な作品を集めた。もちろん上映したい映画はほかにもたくさんあったが、都合上、この3作品に絞った。

「AKIRA」は世界的にとても有名。「マインド・ゲーム」はその分野ではよく知られている。「風の谷のナウシカ」の知名度は知らないが、宮崎監督はもちろん非常に著名。彼の昔の作品を見たい人がスイスにたくさんいると思う。

swissinfo.ch: もう一つの特別テーマ「戦争と平和」では、バーデン条約締結後300周年を記念して設けられました。ファントシュはこのテーマをどうやって取り上げますか。

シンドラー: 映画祭の開催地バーデンで、バーデン条約に関する歴史家会議が開かれるのだが、その日程が偶然、映画祭と重なってしまった。バーデン条約は、ファントシュないしはアニメ映画とは本来無関係だった。映画祭の開催時期をずらしてバーデン条約に触れないでおくか、時期はそのままにこの条約と映画祭とを結びつけるべきか悩んだ。

一方で、平和というテーマはアニメ作家たちが繰り返し取り上げてきたものであり、バーデン条約はヨーロッパに平和をもたらしたものだった。そのため、同条約締結後300周年を記念して「戦争と平和」を特別テーマに取り上げることに決めた。

このテーマが決まった当初は、今ほど戦争が話題になってはいなかった。しかし、今ではいや応なしに世界中から戦争のニュースが伝えられる。こうした現在において、バーデンで行われた和平会議の意義がより一層重く感じられる。

上映プログラムには、ヨーロッパの作品を中心に反戦映画、プロパガンダ作品など様々な作品を集めた。

swissinfo.ch: 映画祭では、兵士に例えられたマッチ棒が戦争を繰り広げる様を描いたガリ・バルディン監督のストップモーション・アニメ「Conflict」などが上映されます。この映画は30年前の旧ソ連の作品にも関わらず、その反戦メッセージは今でも明快で強烈です。こうしたアニメ映画は平和にどのような貢献ができると思いますか。

シンドラー: アニメに限らず、文化ができることは、世間に(自分の考えを)認識してもらうこと。文化的作品は、紛争が起こる原因などを個々人が考える契機になる。

もちろん、文化が戦争を妨ぐことはできない。だが、なぜ戦争が起きるのかという問いを意識することで、人々は意識的に(紛争を回避するような)行動を取っていくのかもしれない。

スイス国際アニメフェスティバル「ファントシュ(Fantoche)」

第12回目を迎えた2014年は、2日から7日までスイス北部の町バーデンで開催。合計約300本が上映される。

国際コンペティション部門には16カ国から34本が出品。日本からは水江未来監督作「Wonder」、中野咲監督作「花芽(Flower Bud)」、小野ハナ監督作「澱みの騒ぎ(Crazy Little Thing)」、水尻自子監督作「かまくら(Snow Hut)」の4作品が参加。

特別テーマの「What’s going on, Japan?」では、日本最古のアニメ作品「なまくら刀」(1917年)など、カテゴリー別に新旧様々な日本のアニメ作品が上映される。また、アニメ作家の古川タクさんや湯浅政明さんの講演も催される予定。

10年から13年では、観客数は毎年2万人強を記録している。

swissinfo.ch



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