ナビゲーション

ナビゲーションへ

グローバルメニュー

ブログ「もっと知りたい!スイス生活」 目と耳で味わう天の響き - アインジーデルン大聖堂のオルガンコンサート

アインジーデルン(Einsiedeln)修道院他のサイトへ。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラヘ向かう巡礼路「聖ヤコブの道(Jakobsweg)」上にある、スイスでもっとも有名なカトリック教会の一つである。今日は、この大聖堂で聴けるオルガン演奏を中心にご紹介したい。

アインジーデルン大聖堂

(swissinfo.ch)

 スイスには素晴らしい内装の大聖堂がいくつもある。そのうちの一つ、アインジーデルンの修道院の大聖堂は、旅行の貴重な時間を割いてでも行く価値のある素晴らしい教会だ。十世紀の創建から幾度かの火災消失を経て、十八世紀に現在の大聖堂が建設された。壮麗でどっしりした灰色の教会を目指して参道を進む時には、厳かな気持ちになるが、一度中に足を踏み入れると、その派手なバロック式の内装に驚く。白、ピンク、ミントグリーンの漆喰と、黄金を使ったファンシーで明るく豪華な空間なのだ。

 この聖堂に入ってきた多くの巡礼者たちが、きっと天国をこの教会に重ねあわせたのだろうと想像する。素晴らしい教会を写真でご紹介したいが、内部が撮影禁止のため、私が撮影した写真は一枚もない。併設されている売店で買ってきたポストカードで雰囲気を感じ取っていただきたい。

大聖堂内部のポストカード(修道院の売店にて購入したもの)  

(swissinfo.ch)

 聖堂の後ろの小部屋のように区切られた空間には行く度に違う衣装を身につけた黒い聖母が安置されていて、信者たちが心を込めて祈りを捧げていた。この聖母は奇跡を起こすといわれており、小部屋には起きた奇跡に関する感謝の言葉が飾られていた。

 さて、私と日本からやってきた母が、この大聖堂を五年間に三度も訪れたのは、巡礼のためでも、聖母の奇跡を求めるためでもない。この教会には四つのパイプオルガンが設置されていて、夏期には何度も無料のコンサートが開催されるのだ。アインジーデルンに限らず、ヨーロッパの教会ではパイプオルガンの無料のコンサートがよく開催されるが、ここのように二つのオルガンの合奏を聴ける機会はほとんどない。大抵の教会には、パイプオルガンは一つしか設置されていないからだ。

 オルガンを弾くのは、このベネディクト修道会に所属する四人の神父だ。神父が演奏するというと、まるでアマチュアによる演奏会のように思えるがそうではない。彼らはスイス最高のオルガニストに数えられるであろう。他の楽器と違い、パイプオルガンは自宅で練習はできない。従ってプロの演奏家はやはりパイプオルガンを所有する教会とその共同体の中で訓練を受けて誕生する事が多い。アインジーデルン修道院のオルガニストは、この教会で神に奉仕する千年もの伝統の継承者というだけでなく、定期的に開催され今年五十周年を迎えるコンサートのソロ奏者としても重要な存在なのだ。

 今年は七月と八月に合計六回のコンサートが開催された。毎年、バッハから現代物まで趣向を凝らした演目が用意されているが、私が好んで聴きにいくのは、二つのオルガンを同時に演奏する曲目のある日だ。

2014年のオルガンコンサートのプログラム

(swissinfo.ch)

大聖堂正面にある聖母マリアの泉像

(swissinfo.ch)


 演奏会は夜八時過ぎに始まるので、アインジーデルンで宿泊する事になる。夕食を済ませてから少し早めに大聖堂に向かう。まずは何度見てもため息のでる美しい聖堂をゆっくりと見学する。椅子に座って待っているうちに、修道士たちがあらわれてグレゴリオ聖歌を詠唱して夕べの祈りを捧げる。

 それから、本日の奏者がオルガンの前に座り、印象的な最初の和音を響かせる。演奏されるのは宗教曲だけではないが、やはりキリスト教のミサに関する曲や聖母マリアを讃える曲が多い。その響きは澄んで力強く、壮麗な建築とその装飾を見ながら聴けば、神の国を地上に実現しようとした人びとの情熱を感じ取る事ができる。

 漆喰の装飾をした職人、パイプの一つひとつを作成した人、華やかな装飾和音を流れるように響かせるために気の遠くなるような時間を練習に費やした神父たちの、努力と勤勉さは、すべて信仰と敬虔さから生まれでている。それを目と耳で楽しむ事のできる夏の晩は私にとって至福の時間である。

ソリーヴァ江口葵

プロフィール:ソリーヴァ江口葵

東京都出身。2001年よりグラウビュンデン州ドムレシュク谷のシルス村に在住。夫と二人暮らしで、職業はプログラマー。趣味は旅行と音楽鑑賞。自然が好きで、静かな田舎の村暮らしを楽しんでいます。


Neuer Inhalt

Horizontal Line


swissinfo.ch

公式アカウントはじめました!

公式アカウントはじめました!

subscription form

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。