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プレスレビュー


ギリシャ国民投票結果 賛否両論のスイス各紙


鹿島田芙美


EUの改革案を巡る国民投票で反対が過半数を上回り、アテネではいたるところで喜びの声が聞かれた (Reuters)

EUの改革案を巡る国民投票で反対が過半数を上回り、アテネではいたるところで喜びの声が聞かれた

(Reuters)

財政難に陥っているギリシャで5日、欧州連合(EU)側の改革案を巡り国民投票が行われ、反対が6割を上回る結果となった。スイスでは、ギリシャ国民に同情するところもあれば、チプラス政権を酷評するところもあるなど、各紙でさまざまな反応がみられた。

 ギリシャの動向次第では、安全資産とされる自国通貨スイスフランが大量に買われる可能性のあるスイスでは、各紙がギリシャの財政問題を連日、大々的に報道。今回の国民投票結果を一面で取り上げた。

「勇敢な」ギリシャ人

 「ギリシャ国民はこの投票でEUに対しモラルの問題を突きつけた」とするのは、ラントボーテなどチューリヒの地元新聞各紙だ。

 ラントボーテは「ギリシャ人の大半は、先の見えない経済危機に終止符を打ち、ユーロ圏にとどまりたいと思っている。皆、そのために犠牲を払う覚悟をしているが、EUの緊縮策は彼らには厳しすぎるのだ」と理解を示し、こう続ける。「EUの政治家らが国民投票の期日前、ギリシャに対しいかに冷たい態度をとってきたかを考えると、愕然とする」

 同紙はまた、過去5年間の緊縮策でギリシャは立ち直るどころか、ダメージを受けたと指摘。「ユンケル欧州委員長、メルケル独首相、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ギリシャ人がこの投票で見せつけたものを忘れてはならない。つまり、ギリシャ問題には人々の感情が絡んでおり、(お金の)額だけが問題ではないということだ」

 トリビューン・ド・ジュネーブも、これ以上失うものは何もないギリシャ人は「ノー」を突きつけることで、EUに屈しない勇敢な一面を見せたとしている。

今後の行方はギリシャ次第か

 こうしたギリシャの反応をそれほど肯定的に受け取っていないのが、スイスの主要紙NZZだ。「(ギリシャ人は)現在の財政難や高い失業率は自国の責任だとは考えておらず、EUやドイツなどの『頑固な債権者』のせいにしている」

 ギリシャは自国の銀行を早急に再建しなければならないが、その費用はこれまでのように欧州中央銀行ではなく、今後はギリシャが負担することになると、NZZは続ける。「チプラス政権は今後、EUの支援なしで、独自に歳出・歳入のバランスを取らなければならない」

 ギリシャがEUの改革案に反対姿勢を示したことで、EUは歴史的な困難に陥るとするのは、ノイエ・ルツェルナー・ツァイトゥング。これまで財政緊縮策を実行してきたイタリア、スペイン、ポルトガルなどの国々は、ギリシャの態度をきっかけに、緊縮策をやめるかもしれないと、同紙は指摘。今後の行方に関しては、EU統合を牽引するドイツに大きな責任が降りかかるだろうとしている。

 ギリシャに対し、さらに厳しい批判を展開するのはターゲス・アンツァイガーだ。「扇動者」のチプラス氏は国民からの支持を得て、債権者に対し強気の態度に出るだろうと同紙はみる。だが、ギリシャの財政再建は前途多難だと予想する。「債権者に対しても、(これ以上の財政支援に対し)世論からの圧力が高まっている。また、チプラス首相らは債権側との信頼関係を根本的に破壊してしまった」

 ギリシャ問題をきっかけに、EUでは今後、加盟国同士の結束力が試されることになると同紙は述べている。「ほかのEU加盟国が(ギリシャ問題を乗り越えて)結束力を高めるか、それとも(加盟国内で)大きな亀裂が生じるかどうかが、これからの問題だ」

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