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ローザンヌ国際バレエコンクール、「オープンな心で動きをつかめ」

, ローザンヌにて


ローザンヌの2日目。舞台でクラシックを練習した直後、まだ荒い息遣いの中「テレビでしか知らなかった憧れの舞台で踊れて、嬉しかった」と目を輝かせた高橋茉由さん

ローザンヌの2日目。舞台でクラシックを練習した直後、まだ荒い息遣いの中「テレビでしか知らなかった憧れの舞台で踊れて、嬉しかった」と目を輝かせた高橋茉由さん

(小川峻毅)

若いダンサーの登竜門、ローザンヌ国際バレエコンクール。40周年を迎えた今年、世界19カ国から選ばれたダンサー79人のうち、日本は19人と最多の人数を送り込んだ。

ここ数年、入賞者も必ず出している日本。また、10年連続してローザンヌに来ているバレエ教室があるなど、レベルも安定してきている。こうしたせいか、年少の参加者にもゆとりが感じられる。その中の3人のダンサーをクラシックとコンテンポラリーの練習風景を通して追った。

  佐野朋太郎君(15)。埼玉県のアクリ・堀本バレエアカデミーの生徒で、日本の男子では一番若い。小学校3年生のとき友達に突然「バレエをやってるの?」と聞かれ、「バレエって何なのか知らなくて、それを知りたいと思って始めた」。とにかくクラシックを踊るのが好きだ。

 田代梢(こずえ)さん(16)。福岡県の田中千賀子ジュニアバレエ団の生徒で今年は2回目の挑戦。小さいころからモダンをやり中学2年で「クラシックの方が自分に合っている」と方向転換した。ローザンヌの舞台は特別で傾斜しているが、「昨年はこの舞台が難しくて足が宙に浮いていた。今年は空いている時間に練習させてもらってやっと足が床についた」。それに1年かけて英語も勉強したという努力家だ。

 高橋茉由(まゆ)さん(16)。新潟バレエスクールの生徒。「4歳の時にバレエをやりたいと自分から言ったらしい」と笑う。嫌になったことはあるけど、やめようと思ったことは一度もない。今はもっと上手になりたい。ローザンヌでは2日目に「テレビでしか知らなかった憧れの舞台で踊れて、嬉しかった」と話した。

男子クラシックの練習

 「ブリゼ・クッペ・クッペ」とダンス用語で足の動き(アンシェヌマン)をコーチのパトリック・アルマンド氏が手を使って説明。その後すぐに「はい。では若い子から3人ずつ踊って。あとはすぐに続いて。では、ピアノの伴奏スタート」。わずか30秒の説明でみんな理解したのだろうか?初日の月曜日、男子クラシックの練習はいきなりこうして始まった。

 グループで一番若い3人が飛び出す。佐野君もその中の1人。複雑なアンシェヌマンをもうマスターしているように見える。しかし最後にアルマンド氏からグループの1人にクレームがつき、もう一度アンシェヌマンの説明。「みんな一つ一つの動きは知っているが、アンシェヌマンのいろいろなパターンを知らない。残念ながら各国のバレエ教師は同じ動きばかり教えているようだ」と嘆く。

 「それにみんな緊張している。初日なのに、採点はないもののすでに審査員がずらりと並んで見ているからだ。僕は、少なくとも初めは審査員抜きで僕と生徒との人間関係を深めたいと思っているのだが・・・」と少々不満そうでもある。

 佐野君も練習後、「すごく緊張した。説明されたことは分かるけど、若いのでいつも一番初めに踊らないといけない。本当にこれでいいのかとアンシェヌマンを頭の中でずーっと考えながらやって、それで緊張した」と言う。

 アルマンド氏はローザンヌで要求されるのは「新しいパターンなどを教えられた場合、それを受け入れられる開かれた精神だ」という。そして、素早くパターンを覚える賢さも必要。「筋肉と同時に頭も使わないとね」と笑う。

女子のクラシック

 女子の場合クラシックはどうだろう。「開かれた精神」を持って臨めただろうか?

 「新しいことを教えられたら、よし頑張ろう、ほかの人よりもっと吸収したいと思う。習えることがここでは嬉しいことだから、少しでも多くのことを吸収して帰ろうと思う」と田代さん。100%開かれた精神だ。

 でも確かに新しいアンシェヌマンのパターンは難しい。「去年うまくできなかったので、日本で練習していた。それが今年ちょうど出たのでうまくいって『あっ、できた』と嬉しかった」。そしてしみじみと「経験って大事。本当にそう思う」と話す。

 高橋さんは初めての参加だが、「日本の先生から楽しんでやれと言われたので楽しんだ。確かにアンシェヌマンは難しく手こずるけど、踊る順番が後のほうだったので、どうにか(前にやる人を見たりして)できた」と言う。

コンテンポラリーでは

 コンテンポラリーでは、指導のトッド・ウイリアムズ氏が、体の前に両手で円を作り、それを左右に動かしたりと、まるで太極拳のような動きを教えている。と思えば自分の嫌いな物や状況を想像して、それを1人1人自由に動きに転換していきながら「私はこれが嫌いと声を出して言うように」と指導する。

 太極拳的動きでは「両腕を横に回すと、その動きが先導して胴体が動くということ。つまり動きの原動力になるもの感じてほしい」。想像して動くことについては、「コンテンポラリーでは即興で動くことや、環境・物をイメージして動くことは大切な一つのやり方だ」とウイリアムズ氏。

 さらに、こうした新しい動きが次々と降りかかるローザンヌでは「僕のやることを見て感じ、オープンな心で自分も挑戦することが大切。これは難しそう。自分には合わないといったネガティブな態度ではだめだ」と、クラシックのアルマンド氏と同じようなことを言う。

 佐野君は「クラシックと違って初めての動きだし、次にどの動きを繋げるのかを覚えるのが大変。でも難しいけど面白い」と話す。

 

 高橋さんは「コンテンポラリーは、昨日初めてやってすごく驚いた。今日は恥を捨てて頑張ろうと思ったので、楽しめた。でも慣れてないのでやはり難しい」

 

 田代さんは「モダンをやっていたお蔭か動きもそれほど難しくない。クラシックから切り替えるのは大変だけど、自由に動いて動いて楽しんでみたいな指導でとても良かった」と話す。

ローザンヌで良いこと

 最後にローザンヌで良いと思ったことを聞いた。すると全員が「友達ができたことだ」という。

 高橋さんは「みんなすごくフレンドリー。ピリピリした雰囲気がなくて一緒にがんばろうみたいな感じがある。英語はできないけどジャスチャーで結構コミュニケーションできて、例えば外人の子にニコッとするとニコッと返してくれる。日本人の子とは友達になった」

 佐野君は、バックステージで絶えず2、3人の男子と話をしている。「ここでは、練習中はまじめだけど、終わったらリラックスしてみんなと話せる。そのけじめが嬉しい」

 「去年はだめだったけど、今年は外人の友達ができた。それが一番(ローザンヌの)良いところ。また、日本の先生と外国の先生は振り付けも見方も違うので、ここでは色々なパターンを習えることが良いと思う」と、田代さん。

 そして将来については、3人ともしっかりと自分のことが分かっている。コンクールに入賞しようとしまいと、高橋さんは「クラシックをヨーロッパの学校で続けたいが、コンテンポラリーも好きなので、色々な経験ができる所に行きたい」。田代さんと佐野君は「有名な学校ももちろんいいけど、自分を気に入ってくれるダンススクールに行きたい。その方が自分は伸びると思う」ときっぱりと語った。

ローザンヌ国際バレエコンクール

ローザンヌで1973年、ブランシュバイグ夫妻によって創設された「ローザンヌ国際バレエコンクール ( プリ・ドゥ・ローザンヌ ) 」は、15~18歳の若いダンサーを対象にした世界最高の国際コンクール。

その目的は伸びる才能を見出しその成長を助けることにある。
 
40周年を迎えた今回のコンクールには、DVD の審査で226人の候補者の中から世界19カ国の79人が選ばれた。

日本は19人と最多の人数を送り込んだ。次に中国とブラジルの8人、韓国の6人が続く。スペイン、アメリカからも5人が参加した。

昨年と同様、二つの年齢グループ ( 15、16歳と17、18歳 ) に分かれて4日間の練習を行い、その練習の採点と2月3日の選抜の採点の合計で決勝進出者20人が選ばれる。
 
4日の決勝では、この中から8人の入賞者が選ばれ、同額の奨学金を受け取り、一流のバレエ学校やカンパニーに留学する。

決勝に進出できなかった参加者もほぼ全員、最終日のオーディションでコンクールに協力するバレエ学校やカンパニーから招待を受ける。
 
今年はコンテンポラリー・バリエーションに2人の女性振付家。キャッシー・マーストン氏とディディ・ヴェルトマン氏の作品が選ばれた。

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