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住む人がこっそり明かす観光スポット その5 ルツェルン

赤いゼラニウムに飾られたカペル橋を渡り、市庁舎がある旧市街地を散歩する。瀕死のライオンの記念碑を横目で見ながら、高級時計のお土産も買える。ルツェルンは、スイスの観光スポットが集中しているので、訪れる外国人を満足させてくれる。

チューリヒからならルツェルンは電車で45分。時間に余裕のない観光客向けの「お手軽観光地」である。

 観光地として、あまりにも有名なルツェルンだが、現地に住むオペラ歌手の吉富晃一さん(滞在暦6年)と画家のハルデッカー・悦子さん(滞在暦25年)の2人に案内を頼むと、住んでいる人が大切にする「街の宝」が明かされていった。

駅からすでに文化が凝縮

 2人と待ち合わせたルツェルンの駅。プラットホームにはスーツケースを転がす観光客らしき人が沢山みえる。まさしく観光の街を思わせる風景だ。駅の建物はスペインの建築家サンティアゴ・カラトラバが手がけた。駅を出てすぐ左側にある大きく突き出た屋根が印象的な文化会議センター(Kultur- und Kongresszentrum Luzern / KKL) は、フランス人のジャン・ヌーヴェルによる。ルツェルンの玄関口には、世界的に有名な2人の建築家の建物が競い合うように並んでいるのだ。

 KKLでは、ルツェルン・フェスティバル中、コンサートが数多く開催される。イースターから始まり、夏の1カ月間、そして晩秋の1週間と年に3回、集中してコンサートがあるこのフェスティバルは、国際的に有名だ。フェスティバルの初日には思いっきりドレスアップして、世界的天才アーチストの演奏を聴くことをお勧めしたいと吉冨さんとハルデッカーさんは言う。

 さて、2人はKKLの最上階にある美術館へ向かった。しかし、美術館には入らない。入り口のホールで、障子を思わせる鉄の格子の間から眺めるフィアーヴァルトシュテッテ湖と荒々しい山肌のピラトゥス山が現代絵画のよう。地上階のレストラン・喫茶は、建築家、ジャン・ヌーヴェルの名に恥じない凝ったデザインのティーポットでお茶が飲める。まずはお茶で、今日一日の英気を養う。

アンジェラ・ローゼンガルトに会う

 駅から徒歩で向かったのは、2002年3月末に開館した美術館の「ローゼンガルト・コレクション」。旧スイス国立銀行の建物を改築し、画商のアンジェラ・ローゼンガルトさんが建てた。パウル・クレーとピカソのコレクションが充実しているのでファンは必見。

 ローゼンガルト家はユダヤ系のドイツの画商だったが、1920年代に米国からルツェルンを訪れる旅行者が欧州の絵画を買ってくれることを見込み、スイスに移住してきたという。特に気に入った作品は、売りに出さずに取っておいたため、コレクションが増えて美術館を建てることになった。結果論だが「堕落した芸術」としてヒトラーの破壊の危機に立たされたキュービズム、フォービズムなどの絵画が、こうしてルツェルンで「保護された」のである。

 16歳になったローゼンガルトさんは、父親の画廊で見習いを始めた。初月給でパウル・クレーの絵を買ったというほどの、パウル・クレーのファンである。その絵『小さいX(Exchen)』も地階に展示されている。ローゼンガルトさんは17歳のとき父親と一緒にピカソに会いに行った。巨匠にかわいがられ、モデルにもなった。5枚ある彼女の肖像画は、同じ市内にあるピカソ美術館に所蔵されている。

 そのほか、ローゼンガルト家とロシア人画家シャガールの友情を象徴するパレットなども展示されているこの美術館で、ハルデッカーさんは働いている。ここを訪れるなら、画家としての彼女の目から見る19世紀の絵画の説明を、日本語でお願いすることもできる。

オペラもバレエも劇もある

 午後に訪れたのは、ルツェルン劇場(Luzerner Theater)。旧市街のカペル橋のたもとにある。オペラ、バレエ、演劇が上演される本格的な劇場で、専属の歌手、オーケストラ、俳優を抱えるスイスでもっとも小さい劇場だ。観客席はたった555席だが、従業員は280人いる。

 ウィーンの「フォルクスオーパー」から支配人として就任し、2004年7月から劇場を仕切るドミニク・メンタ氏は、2シーズンで常連客を16%増やした救世主のような存在として市民の評価が高い。オペラの監督も兼任するメンタ氏は「ルツェルンやその隣の州で酪農を営む人も観にくる。一方で、チューリヒから来るいわゆる文化人も、重要な観客だ」と、2つの違った層に支持される劇場を運営することの難しさを語りながら「観客との交流の中から、観客の望むものを探る。しかし、観客に迎合しない題目の選択や演出を心がけている」という。

 日本からの観光客なら、古典的なオペラやバレエなら十分に堪能できると勧める。劇場専属で唯一の日本人歌手である吉冨さんが出演するオペラに感動を覚えたら、幕が下りた後、舞台裏に感想を直に伝えに彼を訪ねることも許されそうだ。

案内役が観光客に望むこと

 そのほか、案内役の2人がお勧めなのは、ルツェルンのはずれにある町、クリエンツ(Kriens)からゾンネンベルク山(Sonnnenberg)の山頂へ100年前と変わらない木製の登山電車で登り、ルツェルンの全貌を眺めること。登山電車なのに、沿線に住む主婦たちが下の町まで買い物に使うという。週末にはピクニックに地元の家族づれが訪れるそうだ。

 また、8年間ルツェルンに滞在した音楽家、ワーグナーの家(Haus Tribschen)から見える湖畔の景色を眺め、ここで作曲されたという歌劇『神々のたそがれ』を思い起こすことや、ルツェルンの市民に話しかけることができそうな市庁舎の居酒屋(Rathaus Bräuerei)で、市が醸造するビールとリングの形をしたしょっぱいパン「ブレッツェル」を試すのはいかがだろう。

 「沢山観たからといってよいわけではないのです。自分のための旅行をして欲しい」というハルデッカーさん。「郊外にも足を伸ばして、自然の中にあり整然と並ぶ住宅街も見てほしい」という吉冨さん。現地で活躍する日本人アーチストのアドバイスも参考にして、ルツェルンの小道を歩く旅がお勧めである。

swissinfo、佐藤夕美(さとうゆうみ)ルツェルンにて

キーワード

ルツェルン市
人口6万人 セントラルスイスの文化、商業の中心地
見どころ カペル橋、イエズス会教会、瀕死のライオンの記念碑、氷河公園、交通博物館など。音楽祭でも有名

補足情報

ローゼンガルト・コレクション
(Sammlung Rosengart)
Pilatusstrasse 10
CH-6003 Luzern
電話 +41 41 220 16 60
ファクス +41 41 220 16 63
年中無休
10〜18時(4〜10月)
11〜16時(11〜3月)

ルツェルン劇場
(Luzerner Theater)
Theaterstrasse 2
CH-6003 Luzern
電話 +41 41 228 14 14
kasse@luzernertheater.ch

市庁舎の居酒屋
(Restaurant Rathaus Bräuerei)
Unter der Egg 2
CH-6004 Luzern
電話 +41 41 410 52 57
ファクス +41 41 410 59 57

The Hotel内 バンブー
(Bam Bou)
エスニックレストラン
Sempacherstrasse 14
CH-6002 Luzern
電話 +41 41 226 86 86

2人のお勧めホテル

Art Deco Hotel Montana
ホテル専門学校の経営。テラスからの眺めが素晴らしい
Adligenswilerstrasse 22,
CH-6002 Luzern
電話 +41 41 419 00 00

Hotel Alpha
1泊100フラン以下で泊まれる清潔なホテル。
Zähringerstr. 24
CH-6003 Luzern
電話 +41 41 240 42 80

Hotel Des Balances (イエズス会教会の向かい)
Weinmarkt
6000 Luzern
電話 +41 41 418 28 28



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