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アニメ「アルプスの少女ハイジ」制作担当者、スイスで45年前の思い出語る

トークセッション
「アルプスの少女ハイジ」制作のため、45年前にスイスに訪れたときのことを振り返る小田部羊一さん(左から2番目)、中島順三さん(右から2番目)。故高畑勲さんの妻かよ子さん(中央)も壇上に上がった swissinfo.ch

「日本のハイジ」展が開かれているチューリヒの国立博物館で30日、日本のアニメ「アルプスの少女ハイジ」をテーマにしたトークセッションが開かれた。キャラクターをデザインした作画監督の小田部羊一さん、担当プロデューサーの中島順三さんが登壇。アニメ制作のため約45年前にスイスでロケハンした思い出を振り返った。

ハイジはスイスのヨハンナ・シュピリが原作の物語。故高畑勲さん、宮崎駿さん、小田部さん、中島さんら制作チームが当時は異例ともいえる海外でのロケハンを行い、完成したアニメは1974年に1年間にわたって日本で放送された。アニメはその後翻訳版が世界各国で放送され、人気を博した。

東アジア美術史の研究者で日本文化に造詣の深いチューリヒ大学外部リンクハンス・ビャーネ・トムセン外部リンク教授らが「日本のハイジをスイスの人たちにもっと知ってもらいたい」と今回のハイジ展を企画。その一環でトークセッションが開かれた。

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キャラクターデザインを手がけた小田部さんは、約45年前にスイスをロケハンで訪れたとき、土産物屋で見つけた木彫りの人形を店員に隠れてスケッチし、ハイジのおじいさんのモデルにしたエピソードなどを紹介。「初めて見る世界にうれしさと緊張でいっぱいだった。(キャラクターデザインのヒントになるようなものが)とにかく何でも欲しくて、一生懸命だった」と振り返った。

担当プロデューサーの中島さんは「放送は毎週だったので、現場はとにかく大変だった。高畑監督は絵コンテをチェックしたり、録音に立ち会ったりとほとんど寝る間もない生活を送っていた。これだけの作品が作れたのは高畑さんだからこそ。高畑さんがここにいたら、と残念に思う」と話し、昨年死去した故人をしのんだ。

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「日本のハイジ」展外部リンクは、当時のロケハンチームが撮影した写真やスケッチ画、アニメのセル画など、「アルプスの少女ハイジ」ができるまでの過程を貴重な資料とともに紹介。シュピリがハイジを執筆した机も展示されている。10月13日まで。

スイスインフォでは、トークセッションの様子をフェイスブックでライブ放送した。

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