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日本復興への願いを短冊に、スイスで最大級の支援イベント

日本人学校に通う子供たちがチューリヒで和太鼓を披露

日本人学校に通う子供たちがチューリヒで和太鼓を披露

(swissinfo.ch)

チューリヒで7月2日開催された東日本大震災復興支援チャリティーイベントはスイスで最大級だった。また、集まった義援金が再生可能エネルギーを使った電力やお湯の供給支援に寄付される点でも、今までのチャリティーイベントと異なる。

そしてテーマは「未来の 地球の緑と子供たち」。会場となったゲスナーアレーにはジャズやポップ、ダンスといった幅広いジャンルから数十組のパフォーマーが登場した。

 一方会場外の青空の下では、はっぴを着て元気に和太鼓を叩く日本人学校の子供たちや、ゆかた姿で盆踊りを披露する日本人グループもあり、また屋台も出るなどお祭り気分が盛り上がった。イベントは午後2時半から深夜まで長時間行われた。

 七夕祭りを兼ねた今回のイベントには、「がんばろう日本」「一人でも多くの方が元の生活に戻れますように」など、被災地復興を願う短冊が会場前の笹に飾られた。この笹は8月に開かれる仙台の七夕祭りに送られる予定だ。

 復興支援のためにと日本人やスイス人の一流パフォーマーの有志が参加した今回のイベント。スペシャルゲストとしてスイス人少年少女ジャズバンド「ダイ・キモト&ヒズ・スウィングキッズ(Dai Kimoto & his Swing Kids)」も会場に駆けつけた。日本人音楽家が率いるこのバンドには9歳から17歳の子どもたちが参加している。日本や世界各地でコンサートを開き、CDデビューを成し遂げたりと各地で引っ張りだこのこのバンドは、今回も大人顔負けの迫力ある演奏で会場を沸かせた。

 一方ダンスでは沖縄出身の平敷秀人(へしき ひでと)さん(40)がさまざまな音楽に合わせてダイナミックで繊細な動きを表現。また日本人女性とスイス人男性のポップドゥオ「ティム&プーマ・ミミ(Tim & Puma Mimi)」は軽やかな音楽で会場を盛り上げ、アルバニア生まれのエリーナ・ドゥニ(Elina Duni)さん(30)は正岡子規の詩を即興でジャズ風に歌い上げるなど、さまざまなジャンルから多彩なパフォーマーが集結した。

協力的なスイス人

 東日本大震災発生直後、「被災者のために何かできないか」と多くの海外在住日本人と同じ思いを、今回のイベント主催者フライあゆみさん(43)も抱いていた。趣味がジャズのフライさんには、たくさんのジャズ仲間がいる。彼らと共にコンサートを開いて義援金を募るのはどうかと思い立ち、まず始めたのが会場探しだった。

 とあるクラブを当たったところ、同じようなことをやりたいと言っている日本人がいると紹介されたのが、今回の共同主催者で前出の平敷さんだ。ダンサーや振付師として活躍する平敷さんも、被災者のために何かできることはないかと模索していた。

 未曾有の震災の後、「こんなときに踊っていいんだろうか」という考えが平敷さんの頭を横切った。だがこのまま何もせずに傍観することもできない。何か支援したい。同じ考えの2人はすぐに意気投合し、共同でイベントを開催することとなった。

 共同開催が決まった5月には、すでにチャリティーイベントがスイス各地で行われており飽和状態だった。そこでスイスでは馴染みのない七夕に着目。七夕をイベントと組み合わせることで、復興を願うと同時にスイスに日本の文化を伝えるスタイルを取った。

 難しかった会場選びだったが、平敷さんがチューリヒのコンサート会場「ゲスナーアレー(Gessnerallee)」の専属ダンサーであること、また日本の支援になるならとの好意で会場側がたった1フラン(約97円)で場所を提供してくれた。

 日本の支援のためにイベントに出演してくれないかと声をかければ、ほとんどのスイス人は二つ返事で協力してくれた。「スイス人は協力的。庭師をやっているスイス人は、短冊を飾るための笹をイベント当日に届けると言ってくれた。みんな見返りを求めないで、当たり前のように手伝ってくれる。『日本のために何かしたかったが、ただ募金するだけではお金がどう使われるか分からない。でも君たちがやるなら手伝うよ』と言ってくれる人がすごく多くて」とフライさんは嬉しそうに語る。

つながりぬくもりプロジェクト

 フライさんは4月上旬に一時帰国したときに、テレビ番組で義援金分配が問題になっていることを知った。震災発生直後、少しでも助けになるならと個人的に送ったこともある。だが目の当たりにしたのは、多額の義援金が集められたにもかかわらずその時点ではほとんど被災地に届いていない現状だった。

 では義援金はどこへ寄付したらいいのだろうと思案していたとき、出会ったのが環境エネルギー政策研究所(ISEP)が運営する「つながりぬくもりプロジェクト」だった。ISEPの所長は、京都大学原子核工学専攻修了後、再生可能エネルギー分野で国内外で第一人者として知られ、今日本のメディアで引っ張りだこの飯田哲也氏が務めている。 

 このプロジェクトでは太陽光や太陽熱、バイオマスを使った技術で被災地を支援している。どれほどの金額で何ができるかが提示され、プロジェクトの進行状態もホームページで確認できる。フライさんは「頭から核を廃絶しようというアグレッシブな対応ではなく、自分たちで新しい方法を考えていこう」というISEPの方針に共感した。再生可能エネルギーの支援を通して日本の子供たちが安心して暮らせる社会作りに貢献できたらと、今回のチャリティーイベントで集められた入場料や義援金を「つながりぬくもりプロジェクト」へ送ることに決めた。

 こうした背景で開催されたイベントには多数の来場者が駆けつけた。ライブ演奏はインターネットで中継されるなど、メディアでもその存在感をアピール。またイベントは深夜まで続けられ、日本復興を願うたくさんの祈りがその日一日会場を包み込んでいた。

イベント統計

イベント開催者によると、40人以上のアーティストがイベントに出演。来場者数は500人を超えた。チケット売り上げ枚数は385枚。会場に設置された募金箱への寄付金も含め、募金総額は1万4930.9フラン(約145万円)に達した。

スイスのインターネット放送局「DBC-TV」では当日のライブ演奏が生中継で放送され、アクセス数は約2100。そのうち約6割が日本からのアクセスだった。

つながりぬくもりプロジェクト

環境エネルギー政策研究所(ISEP)が中心となって運営し、世界自然保護基金(WWF)などの国際非営利団体などさまざまな団体や会社が協力。

プロジェクトには太陽光発電による電気供給、太陽熱温水器の設置、また被災地の廃材木を燃料とした薪ボイラーと薪かまどによるお湯の提供といった三つのエネルギー支援がある。

太陽光発電システムの設置には1キロワット(kW)あたり35万円、太陽熱温水器は1カ所につき30万円、また薪かまどは1基3万円ほどの費用が想定されている。そのほか風呂の巡回サービスをするための移動薪ボイラー車は1台につき100万円が見積もられている。

swissinfo.ch


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