ナビゲーション

ナビゲーションへ

グローバルメニュー

目指せフィンテック国家 スイスICO市場「無法地帯ではない」 

レストランや肉屋などの並ぶ白黒写真

スイスのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)市場は、かつての米西部のような無法地帯になっているのか?

(akg-images)

スイス連邦財務省国際金融問題局のイェルグ・ガッサー局長は、仮想通貨技術を使った資金調達「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」でスイスの金融市場が無法地帯になるとの懸念を否定。急成長に法規制が追いつかないとの批判が出ているなか、従来規制や政府が検討中の新しい枠組みで十分制御できるとの自信を見せた。

 ガッサー局長は連邦政府の「ブロックチェーン・ICO作業部会」で議長を務める。連邦金融市場監査局(FINMA)や連邦司法省、民間企業が加わり、ICO分野の規制のあり方について年末までに報告書をまとめる。
 2017年にはスイスの仮想通貨関連のスタートアップ企業が計8億5千万フラン(約950億円)をICOで調達した。

ガッサー氏は赤十字国際委員会とスイス連邦司法省、財務省、移民局に勤めた後、2016年7月に財務省国際金融問題局長に就任した

(Keystone)

スイスインフォ: スイスのICO市場は「米国の西部開拓時代」と冷やかされます。スイスの消費者を守り評判を落とさないためには何が必要でしょうか?

イェルグ・ガッサー: 西部開拓時代?それは違う。まずFINMAがマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の防止の観点から、今の市場関連法がどう適用されるかについて指針を出した。FINMAは今の法規制に反する疑いのある、あらゆるICO案件を厳しく取り締まってもいる。

 次に、政府のブロックチェーン・ICO作業部会はさらに必要がありそうな法的枠組みについて検討している。スイスの規制枠組みは一定の原則に基づいており、既存の法規制の多くは仮想通貨やICOにも適用できる。資金洗浄やテロ資金防止に関しては特にそうだ。

スイスインフォ: ヨハン・シュナイダー・アマン経済相はスイスが「暗号技術国家」と目指すよう提起しています。実現可能なのでしょうか?

ガッサー: キャッチフレーズとしては分かりやすいが、「暗号技術」はあいまいで誤解を招く。「ブロックチェーン国家」や「フィンテック国家」といった方が正確だろう。

 10年後にスイスや世界がどうなっているかは誰にも分からない。技術や経済、法がどう発展するか次第だ。だが枠組みとなる条件をしっかり整えれば、長い目で見れば革新力のある企業を呼び込み、雇用や税収を生むことにつながる。

スイスインフォ: 革新的なスタートアップ企業は経済・金融システムの一部を根本的に作り変えるとみられます。スイスではどのくらい大きな変化が見込まれますか?

ガッサー: 新しい技術は常に金融システムに参入する独自の道を歩み、既存の市場構造を革新してきた。それはもはや常道で、既存のプレーヤーや規制が防げるものではない。

 とはいえ、新技術が既存プレーヤーにとって挑戦であることは事実だ。競争力を維持するには、既存プレーヤーもこうした新技術を取り込んでいかねばならない。だが近い将来、フィンテック企業は伝統的な金融機関と共存できると確信している。

スイスインフォ: スイスは保守的でスピード感を欠く国として知られています。ブロックチェーン革命の最先端を走ることができるのでしょうか?

ガッサー: イノベーション(技術革新)に関しては、スイスは常に世界一に位置づけられる。また、常にイノベーションに対し門戸を開いている国でもある。さらに、政治が安定し、リベラルな経済環境があり、質の高い労働力と競争を促す税制を備えている。

 スイスの規制は原則を貫き、テクノロジーを促しも妨げもしない。フィンテック企業にとってはまさにイノベーションに親和的な生態システムを提供しているといえる。

スイスインフォ: 仮想通貨はスイスの金融業界にとって、銀行の秘密主義に代わる競争力の源泉になると言われています。

ガッサー: スイスの金融業界は今も競争力が非常に高い。国境を越えたプライベート・ウェルス・マネジメントにおいてはスイスが今も世界一だ。そのうえで、仮想通貨の土台であるブロックチェーン技術は、構造変化と革新をもたらそうとしている。

 だがデジタルイノベーションは金融システムの効率性を高める。小さく開かれた経済国として、スイスは革新を続けることが成功の唯一の道だ。政治的な安全性、法的な正確性、質の高いサービスはこれらの挑戦に取り組む一助となるだろう。

イニシャル・コイン・オファリング(ICO)とは

Token Gathering Events(トークン収集案件)とも呼ばれ、スタートアップ企業が事業資金を調達する新しい手段。スタートアップ企業は独自の電子硬貨(トークン)を発行し、投資家からの出資金(多くはビットコインなどの仮想通貨)と交換する。従来企業が出資者への報酬として株式や配当を還元するのと異なり、トークンを買った投資家はスタートアップ企業の新しい技術を使う権利を得る。

2017年、全世界で推定40億ドルの資金がICOで調達された。急成長を受けて、各国の規制当局は監視・規制を強めている。ICOでは主に①資金洗浄手段として悪用される②証券取引法などの金融規制で取り締まれない③詐欺や不正行為による消費者被害―の3点が懸念されている。

インフォボックス終わり


(英語からの翻訳・ムートゥ朋子), swissinfo.ch

Neuer Inhalt

Horizontal Line


subscription form

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。