(Keystone)
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スイスには州立大学が10校と連邦工科大学が2校あり、多数の分野において最先端の研究を行っている。

連邦政府は、「スイス連邦基金(SNF/FNS)」(英/独/仏/伊語)を通し学術研究を支援している。研究プログラムに対する財政支援を行い、長期の研究に関する方針に対するガイドラインを作成する。

NCCRs国家主要研究

スイス連邦基金(SNSF)は国家主要研究(NFS/PRN)(英/独/仏語)を通じ、長期研究プロジェクトを推進している。国家主要研究は、合計27の研究から成り立っており、ナノ分子学、ロボット工学などから民主主義や貿易規制にいたるまで、さまざまな分野の研究が行われている。

各プロジェクトは、スイスの科学技術、経済、社会の発展にとって戦略的に重要な分野の長期研究を実施している。本部は、主要機関である大学や研究所の中にあり、スイス中の研究者とのネットワークを活用している。

国家主要研究は、国際的に評価されている一流の研究、知識や技術の移転、若い科学者の育成、女性研究者の活動促進などを目的としている。

2001年に開始された国家主要研究では、生命科学、環境、持続性、技術、情報、通信技術、社会科学、人文科学の分野を網羅する27の研究が進められている。

著名な研究機関

スイスには世界的に有名な研究機関が多数存在する。アールガウ州の「ポール・シェラー研究所(PSI)」(英/独/仏語)は物理科学の分野ではヨーロッパ有数の研究機関。 

ジュネーブ近郊にあるセルン(欧州合同素粒子原子核研究機構・CERN)(英/仏語)は、宇宙を構成する基本素粒子を研究している。

セルンでは、 宇宙誕生(ビッグバン)の瞬間に近い状況を再現するために、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用い陽子同士を衝突させる実験を行っている。LHCは、地下に埋められたサーキット状のトンネル。その中で陽子ビームを光とほぼ同じ速度で走らせ、反対方向から入射した別の陽子と正面衝突させる。それによって宇宙の誕生、すなわちビッグバンが起こった1兆分の1秒後の宇宙と同じ温度(エネルギー)を作り出す。

2008年に造られた LHCは、素粒子がいかにしてその重さ(質量)を獲得するかを追求するもの。ビッグバン直後は、すべての素粒子が質量を持たず光速で飛び、エネルギーだけが存在するような世界だった。やがて宇宙の温度が下がるにつれ、クォークや電子などの素粒子は「ヒッグス場」の抵抗によって質量を持つようになる、ヒッグス粒子を発見し、物の重さ(質量)の起源となる「ヒッグス場」の存在を証明することがHLCの第一の目的。

現在世界中で使用されているインターネットは、セルンの科学者がコミュニケーションを容易にするために開発したもの。

アメリカの巨大企業IBMの欧州研究所(英語)はチューリヒの近くリュシリコン市(Rüschlikon)にある。1956年以来この研究所には、世界中から研究所が集まっている。

当然ながら、山国スイスには山の問題に特化した研究所もある。ダボスの「連邦雪・雪崩研究所(SLF)」(英/独/仏/伊語)もその一つ。同研究所は、連邦森林・降雪・国土研究所(WSL/SLF)(英/独/仏/伊語)の一部。

連邦雪・雪崩研究所の科学者は、雪、大気、雪崩などの自然災害、永久凍土層、アルプスのエコシステムなどについての研究を行い、その成果を実際に適用する方法を開発している。

スイスの家

スイスの研究の成果を紹介し、スイスと外国の大学、研究機関、企業などをつなぐネットワークの拠点「スイスネックス(swissnex)」(英語)、別名「スイス・ハウス」が設立された。

スイスネックスの第一号はボストン(2000年)、第二号はサンフランシスコ(2003年)、第三号はシンガポール(2004年)に開設された。今後は中国の上海とインドのバンガロール(Bangalore)に開設が予定されている。スイスネックスは教育と研究だけでなく、ハイテク・ビジネスの推進も行っている。大学間の協力や大学生の交換留学を促進し、スイスの研究機関の研究者が現地の教育関係の催し物に参加できるよう手続きをするほか、スイスの科学研究についての展示会も開催する。

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