スイスの社会保障制度は、定年退職者がこれまでの生活を維持できるよう支援することが目的。さまざまな分野に分かれ、それぞれの分野が独自の特徴を持っている。

雇用者はほとんどの分野で分担金を負担している。しかし、医療保険は例外。各個人が民間の保険会社の医療保険を購入し、自分の年齢や居住地に基づいて算出された保険料を支払う。

スイスの社会保障制度には、(1)老齢・遺族・障害保険、(2)企業年金、(3)個人の貯蓄と基本となる3本の柱がある。

第1の柱

第1の柱は州政府が運営する老齢・遺族年金制度で、老齢保険、障害者保険、失業保険を含む。多種の保険があり、定年後の基本生活費の保証を目的としている。老齢・遺族年金と障害者保険の加入は義務。詳細は、連邦内務省社会保険局(BSV/OFAS)のサイト(英/独/仏/伊語)を参照。

年金の支給開始年齢は男性65歳、女性64歳。その1~2年前から受給できるが、先払い分の手数料を毎年支払わなければならない。また、受給を1~5年間送らせることもできる。この場合、受給を遅らせた月数分だけ受給額が増える。老齢年金受給者が、子どもや配偶者の年金を受給できる特別なケースもある。

障害者年金についての基本的な情報は連邦社会保険局のサイト(英/独/仏/伊語)を参照。

定年に達していない就労者は全員失業保険の保障を受ける。失業保険の保険料は、雇用者と被雇用者が分担する。失業保険を受給するために被保険者は、次の条件を満たさなければならない。

  • 失業前の2年間で最低12カ月間分の保険料を支払った
  • スイスに居住している
  • 労働許可証を所持している
  • 自治体の職業安定所に求職の登録をしている
  • 就職活動を行っている

一般的に失業保険は失業前の6か月間から12カ月間の平均給与の約7割を支給する。扶養義務のある子どもがいる場合は最高8割を受給できる。平均給与の上限は月額1万500フラン(約95万3000円)。また、受給には失業前の月給が最低500フラン(約4万5000円)であることが条件。

社会保障制度についての詳細は連邦社会保険局のサイト(英/独/仏/伊語)を参照。

 

第2の柱

第2の柱は、企業年金と傷害保険から成っている。年収2万520フラン(約228万6700円)以上の被雇用者は、自動的に第2の柱の年金制度で保障される。企業年金と傷害・損害保険は、25歳以上の加入が義務付けられている。自営業者の加入は任意。第1の柱と第2の柱の年金を合わせると、最後に受け取った給与の6割程度の年金を受給でき、退職前と同様の生活水準を維持する助けになる。

自営業者や、雇用契約が3カ月間以下の賃金労働、農家の家族、または障害保険制度により障害の度合いが高い障害者は、選択肢として第2の柱に加入できるが義務ではない。

社会保障制度についての詳細は、連邦内務省社会保険局(BSV/OFAS)のサイト(英/独/仏/伊語)を参照。

第3の柱 

第3の柱は個人貯蓄で、退職前の収入のうち、第1の柱と第2の柱によってカバーされない分を補うために任意で利用できる制度。この制度は法律で守られており、税の優遇措置もある。一般的に、退職後に備えた(税制の優遇措置が取られている)貯蓄口座や、柔軟性のある貯蓄口座などがある(税制の優遇措置は少ない)。

  

「仕事」の給与の項目を参照。

失業保険

定年退職の年齢に達していない、自営業者以外の被雇用者はすべて、失業保険の保険料を支払わなければならない。保険料は雇用者と被雇用者の両方が負担する。

保険金を受給するには、次の条件を満たしていなければならない。

  • 保険金を請求する前の2年間のうち、最低12カ月間雇用されていた
  • スイスに居住し労働許可証を所有している
  • 地元の自治体の職業安定所に登録している
  • 積極的に就職活動を行っている

失業保険は、6カ月から12カ月の間の平均給与の7割が支給される。扶養義務のある子どもがいる場合は、最高8割まで受給できる。給付金の上限は月額1万500フラン(約95万3000円)。また、月給が500フラン(約4万5000円)以下の場合、失業保険は申請できない。

失業保険に関する詳細は、連邦内務省社会保険局(BSV/OFAS)のサイト(英/独/仏/伊語)を参照。

医療保険 

スイスの全住民は、民間の医療保険会社による基本医療保険への加入が義務付けられている。保険料は所得に応じて変わるわけではないため、スイス当局は保険料の支払いが困難な低所得者を援助している。詳細は、「暮らし」の保険の項目を参照。

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