Jump to content
Your browser is out of date. It has known security flaws and may not display all features of this websites. Learn how to update your browser[閉じる]

福島原発事故からやがて2年


WHO、がんにかかる「リスク」の増加などを発表


里信邦子(さとのぶ くにこ)


2011年5月、福島市内の学校でマスクをして登校する女子生徒。WHOの報告書でも乳児や子どもの健康被害のリスクは大人のそれに比べずっと高い (Reuters)

2011年5月、福島市内の学校でマスクをして登校する女子生徒。WHOの報告書でも乳児や子どもの健康被害のリスクは大人のそれに比べずっと高い

(Reuters)

世界保健機関(WHO)はジュネーブで28日、福島第1原発事故によって引き起こされる「健康リスク」の報告書を発表した。これは「将来がんになる人が何人かといった評価ではなく、がんになるリスクがどれほど高まるかを示したものだ」とWHOの公衆衛生・環境局のマリア・ネイラ局長は語った。だが一方、こうした報告書の透明度を問題にするメディアもあった。

甲状腺がん、1歳の女児の「リスク」は約70%増加

 「福島第1原発事故の影響をグローバルに査定した初めての報告書だ。事故が引き起こす潜在的な健康リスク(主にがん)を示すことで、関係政府、特に日本に今後もモニタリングを福島で続けていくよう勧告したい。また、リスクの過小評価による危険性を避けたいとも考えた」とネイラ局長は話した。

 評価は、一般の人は年齢別(1歳、10歳、20歳)と男女別に、原発の作業員は年齢別(20歳、40歳、60歳)に分けて行われた。「長崎・広島、チェルノブイリなどからの知見を元に作られた計算モデル」に、2011年9月までの外部被曝量と想定できる内部被曝量をインプットして出された数字が、今回の報告書の基礎となっている。

 報告書によると、福島県以外(県内でも数カ所含まれる)の一般の人々は、「放射線量がかなり低いため放射能による典型的な健康被害はありえない。がんになるリスクもかなり低い」

 一方、福島県内の線量が非常に高かった二つの地域(事故後の1年間が12~25ミリシーベルト)では、1歳の男児が将来白血病にかかるリスクは、被曝しなかった人の生涯のリスクより約7%高い。乳がんにおいては、1歳の女児が将来かかるリスクは被曝しなかった人の生涯のリスクより約6%高い。大腸がんなどの固形がん全体では、同様に1歳の女児が将来かかるリスクは約4%高い。

 ところが、甲状腺がんでは1歳の女児が将来かかるリスクは約70%高いという数字が発表された。(この70%とは、被曝しない場合の甲状腺がんの発生率0.77%が被曝により1.29%に上昇することを示す。また、女児に限っているのは男児が甲状腺がんにかからないということではなく、女児のほうがかかりやすいという理由で例にしている。これはほかのがんでも同じ)。

計算モデル

 ところで、記者団からは「福島県の何人が調査の対象になったか、何人がどの程度の被曝を受けたのか。数字を挙げて欲しい」といった質問が出された。

 これに対しネイラ局長からは「人数はきちんと把握されていない。そもそも人数はわれわれの査定方法に関係しない。あくまで、2011年9月段階の線量データから推測される内部・外部被曝量を計算モデルに入れてリスクを提示しただけだ」との答えが返ってきた。

 ではこの計算モデルはどうやってできたのだろうか?「計算モデルは過去の原発事故から得られた知見を元に、WHOが選んだ世界の専門家が福島のケースを取り入れ修正し作った。現段階では一番信頼性が高いものだ」とWHOの食糧安全・人獣共通感染症局のアンジェリカ・トリッチャー局長は断言する。

IAEAからの圧力はない

 今回記者団からは、「過去、チェルノブイリ原発事故に対するWHOの査定評価がかなり低かったのは、IAEA(国際原子力機関)とWHOが結んだ協定によりIAEAから圧力があったからだ。今回の報告書は大丈夫か」といった質問が2件出た。

 それに対しネイラ局長は「今回の査定では、一切IAEAからの圧力を受けていない」と答えた。

 

 また、「この報告書はあくまで2011年9月までのデータを元にしたもの。今後、低線量被曝による影響のデータを集積するなかで、原発事故の新たな健康リスク評価が高まる可能性はある」と慎重にコメントし、「精神疾患も深刻な問題だ。この分野でのモニタリングも必要とされている」と話した。

swissinfo.ch

著作権

すべての権利を留保します。swissinfo.chウェブサービスのコンテンツは著作権で保護されており、私的使用目的でのみご利用いただけます。それ以外のウェブサービスのコンテンツ利用、特に拡散、変更、転用、保存、複写する場合は、swissinfo.chの書面による同意を必要とします。私的使用以外でご利用される場合は、contact@swissinfo.ch へご連絡ください。

私的使用以外の利用において唯一認められるのは、特定のコンテンツへのハイパーリンクを自分のウェブサイトや第三者のウェブサイトに設定することです。また、広告のない環境にswissinfo.chウェブサービスのコンテンツを原文のまま掲載することもできます。swissinfo.chウェブサービスでダウンロード用に提供しているすべてのソフトウェア、ディレクトリー、データ、およびそのコンテンツに対しては、私用の機器へのダウンロードや保存に限定した、譲渡不可能で非独占的な単純ライセンスを譲渡します。他のすべての権利はswissinfo.chに属します。特に、販売や商業的利用は固く禁止します。

×