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第16回 ジャパニマンガ・ナイト


スイス最大級の日本カルチャーイベント、今年も大盛り上がり




毎年恒例の大人気なコスプレ大会 (Kevin Suter)

毎年恒例の大人気なコスプレ大会

(Kevin Suter)

スイスのダボスで5月27〜29日、スイス最大の日本カルチャーイベントである第16回ジャパニマンガ・ナイト(JapAniManga Night)が開催された。毎年、世界経済フォーラム(WEF)が開催されるダボスの会場に、アニメやゲームのキャラクターに扮したコスプレイヤーたちが集結。スイス全国から集まった8千人以上のファンが夜通しでイベントを楽しんだ。

 ジャパニマンガ・ナイト(JAN)は元々、スイスに住む日本のアニメファンを対象としたアニメ映画の鑑賞会であり、コスプレやゲームの大会を開催するファンイベントだった。今では日本のポップカルチャーからハイカルチャーまでの幅広いジャンルの出し物やプログラムが並び、アニメやゲームのファンでなくても楽しめるスイス最大の日本カルチャーイベントとなっている。今年は総計70以上のプログラムが用意された。

 お気に入りのキャラクターの衣装に身を包んだ大勢の来場者が集まったスイスの山奥のリゾート地は、異世界の雰囲気を放っていた。

 一方で、アニメに留まらないプログラムの多様性はJANの特徴の一つだ。

 ポップカルチャー枠のプログラムにはコスプレやゲーム大会、アニメ上映会、カラオケルーム、ホストクラブ、コスプレの衣装作りやメイク講座などが並び、ハイカルチャー枠ではこのイベントのために新潟県糸魚川市からスイスへ招待された相撲クラブの模擬試合、スイスで活動する津軽三味線演奏グループko-KIRAKUによる演奏などが披露された。

 相撲の模擬試合では、スイス相撲といわれる国技「シュヴィンゲン」のクラブに所属する選手が、糸魚川市相撲クラブの選手と相撲を取る場面で会場が沸いた。

 毎年人気のコスプレ大会だが、今年の優勝者と準優勝者には17年世界コスプレサミットへの道が開かれた。名古屋で毎年開催される世界一のコスプレイヤーを決める同サミットには、16年からスイスも参加している。コスプレイヤーがステージに登場すると会場の熱気は一気に高まった。

 また、日本語、習字、囲碁、日本酒など、日本の文化を知り・学び・体験できる参加型のワークショップや、スイスと日本を架け橋に活躍するスイス人やスイス在住日本人によるセミナーやワークショップなども行われた。

幅広い層に人気のJAN

 2年ほど前までは来場者の約8割が15〜25歳だったが、イベントの内容が充実するたびに来場者の年齢層は年々拡大している。特に今年はファミリーチケット(日曜限定)を導入したこともあり、親子での参加も見られた。

 一方で男女比はJANが始まった当初からほぼ変わりなく、女性が6割を占める。

 来場者の関心はさまざまだ。アニメ好きの人、アニメには全く興味はないがコンピューターゲームが好きで来る人。また、頻繁にJANを訪れるアニメファンの友人に誘われ、日本のポップカルチャーに関心があったので今年初めて来てみたと話す来場者もいた。

 またJAN来場者の多くがリピーターだ。チューリヒ近郊のビューラッハから参加した35歳の男性は、JANに来るのは今年で7回目だと言う。大好きなアニメと漫画に触れるだけでなく、同じ趣味を持つファンとの交流も主な来場目的の一つだと話す。

 彼は15歳の頃、ビデオでアニメ「AKIRA」を見たことがきっかけでアニメの世界の虜となったコアなファンだ。それまでアニメは子ども向けだと思っていたが、アニメーションを通じて幅広い年齢層に通用する内容が語られるということに衝撃を受けたと言う。

 彼のようにファン同士の交流を求めて毎年来場するファンが多いと話すのはJANの立ち上げメンバーの一人で、今日のJAN主催者である有限会社ナーディリシャス(Nerdilicious)の代表を務めるルカス・ツバブーラさん。運営スタッフや来場者も顔見知りが多く、みんな「家族みたいだ」と言う。

ファンによるファンのためのイベント

 JANは、商業イベントではなく、ファンによるファンのためのイベントだ。

 今年で16回目を迎えた同イベントの1回目は2002年6月、チューリヒ近郊のネニコンで行われた。友人やインターネット上で知り合った16人のファンがレストランを貸し切って、夜通しで映画鑑賞やゲームをする目的で集まったのが始まりだった。

 当時はスイスで日本のアニメが手に入りにくく、日本から注文しても送料や関税が高かったことから、DVDを持ち寄ったり共同購入をしたりしたと、ツバブーラさんは説明する。

 その後ツバブーラさんは、友人と一緒にナーディリシャスの前身となる非営利団体ライジング・サン(Verein Rising Sun)を設立し、仲間内だけでなく一般のファンにも向けた、スイスで最初のアニメコンベンションを2003年に主催した。

 JANのイベント名はツバブーラさんたちが19歳の頃にみんなで考えた。ジャパン、アニメ、漫画の三つの言葉を含んだこの名前には、「当時はまだ行ったことがなかった日本の多様な側面をもっと知りたいという皆の想いも含まれていた」(ツバブーラさん)

年々人気が拡大

 こうして小規模なサークルで始まったJANは年に一度の頻度で開催され、その参加人数は毎年増え続けた。04年には来場者数は100人、7年後には1千人を超え、さらにその7年後の14年には1750枚のチケットが完売した。

 今年の来場者数は、2日半で総計8千人以上と過去最高記録。今年はボランティアやパートナー団体も含めて約300人ものスタッフが動員された。「ここまでの規模までJANが成長するとは、始めた当初には誰も思っていなかった」とツバブーラさんは嬉しそうに話す。

 スイスでの日本に対する関心は、とりわけ東日本大震災以降になって一層高まったと言う。「20年の東京オリンピックに向けて、より関心の高まりが予想される」(ツバブーラさん)

 JANに参加していた在スイス日本大使館の担当者は、「日本だけをテーマに、何千人もの規模でスイス人が集まるイベントはスイスでは他にない。日本の食文化や伝統に対して、スイスの多くの若者にも関心を持ってもらえる大変良い機会だ」と語る。

 しかし「来場者を増やすことが本来の目標ではない」とツバブーラさんは付け加える。「日本の多様な側面を知りたい、伝えたい」というJANの当初のコンセプトはまだ健在だ。

 小さなファンの集まりから、スイス最大の日本カルチャーイベントへと成長したJAN。若者たちの手で同イベントが今後どう成長していくのか楽しみだ。

熱中している趣味を通じて、同じ趣味を持つ人たちと地域や国を超えて繋がった経験はありますか?あるいは、そうした交流をしてみたいと考えますか?

スイスの「Otaku

 今年のJANでは、スイスと日本のオタクの違いについてのパネルディスカッションが行われた。

 ゲストには日本から招かれた「世界オタクイベント協会(I.O.E.A.)」代表の佐藤一毅さんの他、同じく日本から招待されたアニメプロデューサーの平澤直さん、フィギュア原型師の宮川武さん、日本アニメのコアなファンでJAN運営メンバーの一人であるスイス人のラユンさん(ハンドルネーム)が参加した。

 フィギュアを買っているのを友人たちに知られるのが「恥ずかしい」とスイス人のファンが言っているのを聞いて、宮川さんは「少し傷つきました。スイスにはフィギュアのコアなオタクは少ないのかな?」と冗談を交えながら話した。

 スイスではオタクの数はまだ比較的少ないと話すラユンさんは「日本のファンイベントなどで、日本のオタクと交流してどう感じるか?」との問いに対して、「オタクであることをそうではない人から理解されることは、スイスではまれだ。しかし日本を訪れた時には、同じ趣味を分かち合える仲間がたくさんいるので嬉しい」と答えた。

 そんなラユンさんは、オタク(Otaku)を「自分が熱中するものを夢中で追い求め、その姿勢に誇りを持っている人たち」と定義する。「Otaku」という言葉は「スイスでは概してポジティブな意味合いで、ファン同士で使われることが多い」と言う。

swissinfo.ch

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