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決勝進出、日本人が4人!

クラシックのバリエーションを踊る山本雅也君 Shunki Ogawa

第41回ローザンヌ国際バレエコンクールの準決勝で2月1日、20人が選抜された。日本からは栁澤郁帆(かほ)さん、アクリ士門(しもん)君、吉田合々香(ねねか)さん、山本雅也君の4人。同じく選ばれたフォーガティーみこさんはスイスと日本両方の国籍を持ち、今回はスイス人として出場している。

 「今年のレベルの高いコンクールで2人もうちの学校から残れ、こんなに幸せなことはない」と喜びの涙を浮かべ「アクリ・堀本バレエアカデミー(埼玉県)」の堀本美和先生は話した。同バレエスクールから次男のアクリ君と栁澤さんが選ばれたからだ。さらに、アクリ君がクラシックのバリエーションで少しポジションを崩したため、もうだめだと心配していただけに喜びはひとしおだった。

男子

 アクリ君本人も「本当にうれしいです。残れないのではないかとドキドキしていたので」と肩をなでおろし、「明日は今日よりもっとがんばります」と意欲を見せた。

 失敗が少しあったとはいうものの、アクリ君の踊りは安定した技術に支えられ、躍動感みなぎるもの。さらに一つ一つの動きが正確に決まる素晴らしいものだった。

 ここローザンヌは特に、その生徒が持っている本質的なもの、潜在的可能性を見極める場所。そうした点からアクリ君が選ばれたのは当然だった。

 アクリ君は、昨年行われたアメリカンユースコンクールの日本予選男子の部で1位を獲得。2位が「横倉明子バレエ教室(石川県)」の山本君だった。そこで会った2人は仲がよく、ローザンヌの練習中いつも一緒。

 山本君も今日は正確でラインのきれいな踊りを見せてくれた。特にコンテンポラリーでは、難解なディディ・ヴェルトマンさんのバリエーションを選び、ともすると暗くなりがちなこの作品を明快な動きで活力あるものに変貌させた。「今日は満足して踊れた。明日もこの調子でがんばりたい。それとローザンヌでは貴重な体験ができた」と話した。

このコンクールはローザンヌで1973年、ブランシュバイグ夫妻によって創設された。15~18歳の若いダンサーを対象にした世界最高の国際コンクール。

 若いダンザーの登竜門と言われる。その目的は伸びる才能を見出し、その成長を助けることにある。

 今年は、2013年1月27日から2月2日まで開催される。 

 コンクールの出場者を決める予選は、2012年10月にビデオ審査で行われた。その結果、世界32カ国から254人(女子189人、男子65人)中、75人(女子38人、男子37人)が選ばれた。

 日本からは、昨年に続き最多の12人(女子8人、男子4人)。 

 昨年と同様、二つの年齢グループ(15、16歳と17、18歳)に分かれて4日間の練習を行い、この練習の採点合計と2月1日の準決勝の採点の合計で2月2日の決勝進出者が選ばれた。

女子

 一方、女子では栁澤さんの踊りは熊川哲也さんが言うところの「感情が入っている踊り」で、コンテンポラリーでは特にそれが顕著だった。「今日はクラシックもコンテンポラリーも私がやってきたことの集大成だった。満足して踊れた。明日も全力を尽くし、楽しく踊りたい」と語った。

 最後に、吉田さんはローザンヌが今年2回目。現在パリのコンセルヴァトワールで勉強している。吉田さんも栁澤さんと同じように感情表現に優れ、かつ優雅なラインを見せながら踊れる生徒だ。18歳という年齢の「成熟度」が動きの一つ一つに現れている。

 実は、今年は男子のレベルが高く準決勝で残った20人のうち14人が男子。つまり以上の2人は、わずか6人の女子の中の2人になる。明日の、女性ならではの感情豊かな優美な表現が期待される。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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