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資源 グレンコア、ロシアとの商取引に対豪戦術を応用

モスクワのガソリンスタンドに描かれたロスネフチのロゴマーク

(Keystone)

グレンコアの言葉巧みな最高経営責任者(CEO)アイバン・グラゼンベルク氏は6日、国際商品市場のカンファレンスに参加するためモスクワの五つ星ホテルに向かった。

 産油国カルテル・石油輸出国機構(OPEC)が産油量を抑え価格を押し上げるという新たな合意内容について質問した時、グラゼンベルク氏が市場をあっと驚かす取引を締結させようとしていたと感づいた聴衆は、いたとしてもわずかだっただろう。だが翌日、グレンコアと資源商社の最大の株主であるカタールの政府系ファンドとともに、ロシア最大の石油企業・ロスネフチの株式19.5%を102億ユーロ(110億フラン)で取得すると発表した。

 ロスネフチ株の取得はグラゼンベルク氏による取引形成への収穫となった。商品価格の暴落に打ちのめされ、投資家が同社の莫大な負債を心配した昨年以来のことだ。

 取引は一筋縄ではいかなかった。グレンコアが2015年、負債比率を落とすと表明したことに一因がある。交渉の経緯に詳しい関係者らによると、グレンコアとカタール投資庁がロスネフチの有力な株主となり、グラゼンベルク氏がより多くのロシア産石油を売るという計画を完成させるには、彼の交渉術を総動員しなければならなかった。

 「この取引は1週間や10日ではまとまらなかった」とある情報筋はいう。「一定の時間とかなりの可動部、つまりカタール、ロシア、ロスネフチと銀行を要した。」

トランプ次期大統領

 ロスネフチのCEOでロシアのウラジミル・プーチン大統領の長年の盟友であるイーゴリ・セチン氏はこの数か月、同社の株式19.5%の買い取り先を探していた。

 多くの投資家は、ロスネフチがロシア政府のクリミア侵攻に対して西側諸国が2014年に科した制裁の対象企業の一つであるため、買い取り先は見つからないと踏んでいた。

 西側諸国が制裁下で禁じなかったにもかかわらず、多くの投資家は米当局の怒りを買うのを恐れ、念のためロシア企業の株式取得を控えた。一方、グレンコアは法律事務所リンクレーターズの協力で関係法令に違反しないことを確認し、投資をためらわなかった。グレンコアとロスネフチは何年も前から強い結びつきがあった。例えばグレンコアは2013年に交わした5年契約に基づき、ロスネフチの原油産品を1日あたり約17万バレル販売していた。

 新たな合意のもと、グレンコアは今後5年、さらにロスネフチの生産品を一日22万バレル販売することになる。

 グレンコアは、2013年の合意内容を2017年以降も延長したい考えだ。米国のドナルド・トランプ次期大統領がロシア政府への制裁を緩和すれば、その可能性が膨らむ。

カタール

 一方、新たな合意はグレンコアとカタール投資庁(QIA)とのますます建設的な関係を浮き彫りにしている。

 グレンコアが440億ドル(446億フラン)でエクストラータ社買収に成功し、QIAが最大の株主になった2013年以来、両者は商取引での協業を図った。QIAがグラゼンベルク氏からロスネフチ株取得の提案を受けたとき、政府系ファンドは即座に興味を持ったと情報筋は言う。

 低い原油価格が業績に響き、この数年QIAは鳴かず飛ばずだった。ロスネフチの案件で、これまでのバークレイズやフォルクスワーゲンなどのようにニュースになるような投資にカタールが復帰することとなった。

 銀行は、カタールとロシアがシリア内戦をめぐり対立関係にある中東の混乱のさなかにどう交渉が進んだかに注目する。

 カタールは、シリア地域での動きで地位を固めたロシアとの結びつきを深めることにより、安全保障のための米国と信頼関係のバランスをとろうとしている。

 しかし、ロスネフチ株の取得はグレンコアの他の株主を警戒させないよう慎重に構築する必要があり、グラゼンベルク氏はかつて用いたことのある手段に打って出た。

 2013年、グレンコア率いる合弁企業は、リオ・ティントから豪州の鉱山の支配権益を10億ドルで取得することに合意した。グレンコアは住友商事と新会社を設立し、両社がこの合弁企業に借り入れ金で出資。たった2億5千ドルの株式資本をこの協力関係に注ぎ込んだだけで、グレンコアは豪鉱山の運営権を握り石炭を販売できることとなった。

 ロスネフチの株式19.5%は、グレンコアとQIAが平等に管理する合弁企業に買い取られる。2社はそれぞれ3億ユーロと25億ユーロの株式資本を注入し、主にイタリアの銀行、インテサ・サンパウロからの借り入れで74億ユーロを調達することになる。

(c) 2016 The Financial Times Limited


(英語からの翻訳・ムートゥ朋子), Financial times, Additional reporting by Jack Farchy in Moscow

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