足かせの囚人

足かせは服役中絶対に取れない

足かせは服役中絶対に取れない

(Keystone)

服役者に発信機付きの足かせをして、監獄の外で生活させる。こうした刑「エレクトロニクス・モニターリング ( EM ) 」の試みはスイスの各州で何年もの間行われてきたが、効果は上々だという。

しかし、連邦政府はEMの導入には消極的。州行政府も、まだ時期尚早だという意見が多い。

 「EM試験は非常に成果を挙げました」と言うのはベルン州の釈放援助課 (Amt für Freiheitsentzug und Betreuung ) の課長補佐マリアナ・イゼンシュミット氏だ。ベルン州はEMを数年間にわたって試験的に導入した7州のうちの1つである。

刑罰であり更正のチャンス

 EMを語るとき、これが刑罰であるかという問題が常に付きまとう。イゼンシュミット氏は
「EMははっきりと刑罰の性格を持っています。足首にはめられた足かせの存在は常にあります。服役者には規律が求められます。常に時計と睨めっこした生活が強いられるのです」
 と足かせには自由を制限する性格があると言う。1日の予定から逸脱することがあると、足かせの発信電波が作動しアラームが発せられる。残業したり帰宅時にラッシュに巻き込まれたりしたら、即座にセンターに連絡を取らなければならない。連絡しないと、自由時間を減らされるなどの罰則が科せられる。

 各州の試験状況を集めた報告書によると、EMは社会的に受け入れられる刑罰であると評価された。自由を束縛する禁固刑とは異なり、服役者は自分のこれまでの生活環境から離脱しない。また、奉仕活動刑とは異なり、再び犯罪を犯す可能性が高い、問題のある環境に置かれるということもない。
「EMは服役者がその生活を変える大きなチャンスになります。さらに、再犯防止にもつながるでしょう」
 とイゼンシュミット氏は見ている。以前は、仕事を終えると酒場で過ごしたりしていたのが、EM服役者は自宅で有意義な時間を過ごすようになる。自分の生活を新しくオーガナイズし、習慣を変えなければならなくなる。社会奉仕刑や罰金と違い、社会的なサポートがあることも有利だ。

時期尚早

 試験結果はその有効性を証明している。経費削減にもつながる可能性のあるEMだが、昨年12月、連邦政府は正式導入を見合わせた。2007年初頭に改定された刑法では、短期の禁固刑について、EMを罰金もしくは社会奉仕刑で代替すると定めているというのがその理由だ。

 各州の行政も導入は時期尚早だとの意見だ。連邦司法省の調査によると、EMを刑罰とすることに反対する州は過半数に上った。シュヴィーツ州はEMを煩雑だと否定的であり、ザンクトガレン州は刑法改定直後に再び改定することに大きな意味を感じないと答えた。また、ツーク州からはEMが司法的な見解から刑罰としてみなされるかという疑問が提示された。

 連邦政府はEMの試験的導入期間を2007年末まで延長した。延長は今回で3度目となる。2009年にEMを刑罰として定めるか最終結論を出すという。

swissinfo、コリン・ブクサー 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

エレクトロニクス・モニターリング ( EM )

仕事に従事し、定住していることと電話があることが条件。1日20フラン ( 約1900円 ) の手数料が服役者に課せられる。足かせには発信装置が組み込まれており、服役者の週の予定がプログラムされている。服役者のプライベートな部分も管理される。例えば、服役者が仕事を始める時間や終了し家に帰る時間、買い物、外食する時間なども決められている。

EM ヨーロッパ、アメリカの状況

1980年、アメリカで世界で初めて導入された。監獄の収容許容量の超過問題を解決するための導入だった。現在アメリカでは、10万人がEM服役者という。さらに2007年には新しいEMが導入された。24時間体制で服役者の血液にアルコールが混入されたかも分かる。アルコールの影響下で犯罪を犯した場合、禁酒を強制される。

ヨーロッパではイギリスが1989年に導入しその後、スウェーデン、オランダが導入した。特に政治的な措置として使われることがある。例えばサッカー戦のある一定期間、自宅に拘束を強いられるサッカーのフーリガンに取り付け、監視するという措置だ。

スイスでは1999年から試験的に使われ、2000人がEM刑を受けた。



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