スイスの視点を10言語で

震災の跡

東日本大震災から6年。3月11日は、世界中から改めて被災地に想いを馳せる日だ。スイスインフォでは、震災後に現地へ足を運び、現実を肌で感じとったスイス人の視点で表現されたイラストと写真を10カ国語で紹介する。

スイスで今月出版された『波の後―福島周辺』と題する本の著者であるマチュー・ベルトさんとジャン・パトリック・ディ・シルベストロさんは、津波被害のあった海岸地区での衝撃的な光景や、福島第一原発事故により避難指示のあった町村へ帰還した人々の「生きる姿」を切り取り、白黒のイラストとカラー写真をとおして震災後の被災地の様子を伝える。

被災地では現在、震災からの早期復興へ向けて帰還政策が進められているが、被害の爪あとは未だ深く、現地が抱える課題は山積みとなっている。被災地域が環境被害から回復し、被災者が生活を再建するには、依然厳しい状況だ。

福島第一原発の廃炉措置、除染作業、今後のエネルギー政策、放射性物質による健康への影響、汚染された環境といった問題への対策に加え、被害地域へ帰還する人のためのインフラ整備やその地域で高齢化する社会構造の変化といった新しい現状課題にも直面している。

「この本は、人類がこれから先に抱えていく『課題の始まりの一つ』をちょっと報告するだけーー」と本の著者は語る。そして同時に、再建されつつある被災地の町並みや、放射能で汚染された地域で清掃作業を行う方の笑顔に光をあてる。

(イラスト・Matthieu Berthod、写真・Jean-Patrick Di Silvestro、文・上原亜紀子)

*詳しくは 「写真とイラストで震災後の福島で「生きる姿」を伝えるスイス人」(3月9日付けの記事)に掲載されました。こちらも併せてご覧ください。



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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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