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2029年にスイスが「脱原発」となるかは浮動票の行方がカギ

緑の党提案の「脱原発」となるか? Keystone

緑の党が提案する「脱原発」を問う国民投票の10日前に行われた世論調査によると、賛成は48%で、反対が46%。2029年に脱原発しない可能性も浮上してきた。

 スイスに既存する5基の原子力発電所の稼動期間を45年に制限し、2029年に脱原発を求めるイニチアチブ(国民発議)が27日、国民投票にかけられる。

 世論調査機関gfs.bernが17日に発表した調査結果によると、賛成が48%、反対が46%で、6%がまだ決めていない。

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 10月21日に行われた第1回世論調査結果より、反対が10ポイント増えており、2029年での脱原発を非現実的だと見て、イニチアチブが否決される可能性も出てきた。有権者の浮動票の行方が投票結果のカギを握ることになる。

 緑の党が提起した脱原発イニシアチブは、原発の新規建設を禁止し、既存する5基の原発の運転期間を45年に限定することにより、最後の原発が廃炉になる2029年の脱原発を目指す。

 スイス政府が起案した段階的脱原発を促す方針「エネルギー戦略2050」は、新規原発の建設を禁止するが、既存の原発の稼動に関しては安全性を唯一の基準とし、運転年数の期限を明確にしていない。

 現在、スイスの原発依存度は、約40%を占める。今回の国民投票に反対するスイス政府や連邦議会、そして、国民党を中心とした右派は、時期尚早のエネルギー政策の転換は、現実的でないとしている。

第2回世論調査

スイス放送協会(SRG SSR)から委託された世論調査機関gfs.bernが、11月2~9日に、1400人を対象に電話調査を行った。誤差はプラスマイナス2.7ポイント。10月21日の第1回の世論調査結果では、57%が脱原発に賛成していた。

 

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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