内偵スキャンダルに揺れる金融大手クレディ・スイス(CS)は7日、ティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
大半のメディアがウルス・ローナー会長の退任を予測していたため、CEOの突然の辞任に驚きが広がっている。
CSによると、辞任は14日付。後任はCSスイス法人のトマス・ゴットシュタインCEOという。
ティアム氏の辞任は、留任を求めていた大株主には好ましくないニュースかもしれない。メディア報道ではこれまで数週間、ティアムCEOとローナー会長が覇権争いの渦中にいたという。
CSは昨年、ウェルスマネジメント部門の元責任者の社員(UBSへ転職)や元人事部長を秘密裏に内偵していたスキャンダルが発覚。ティアムCEOかローナー会長の引責辞任は不可避で、その中でもローナー氏が有力との見方が強まっていた。
ローナー会長は声明で、ティアム氏をファーストネームで呼び「ティージャンは2015年の入社以来、それ以来CSに多大な貢献をしてきた。CSの体制が盤石で、再び利益を上げられるようになったのも、ひとえに彼の功績だ。取締役会と私は、ティージャンの今後の活躍を切に願う」とコメントした。
ティアム氏は「着実にビジネスを推進している(CSの)同僚たちを、私はこれからも応援していく。私の仕事をサポートしてくれたCSのすべての人たちに心からの謝意を示したい」とコメントした。
ティアム氏は「2人の内偵に関しては知らなかった。だがこれがクレディ・スイスを混乱させ、そして周囲を不安にさせ、傷つけた。それは疑いようがない。そういう事態が起こったことは悔やまれる。決して起こってはいけなかった」と述べた。
CS取締役会は、ローナー氏は2021年4月までの任期終了まで続投すると発表した。
続きを読む
おすすめの記事
クレディ・スイスに別の内偵スキャンダル
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイスで別の内偵スキャンダルが発覚した。今年2月に幹部行員が「許されない」監視下に置かれていたことが分かった。
もっと読む クレディ・スイスに別の内偵スキャンダル
おすすめの記事
クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
このコンテンツが公開されたのは、
スイス第2のウェルスマネジメント事業を抱えるクレディ・スイス(CS)の内偵スキャンダルがスイスのプライベートバンク界を震撼させている。CSのウルス・ローナー会長は今回の事件がスイスの金融業界の名声を傷つけたと陳謝した。
もっと読む クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
おすすめの記事
クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル
このコンテンツが公開されたのは、
銀行大手クレディ・スイスが、私立探偵を雇い、ライバル行UBSに移る社員を尾行させた疑惑が浮上した。取締役会はこの問題に関し調査を始めた。
もっと読む クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル
おすすめの記事
スイスのプライベートバンク大手、300人リストラ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのプライベートバンク大手ジュリアス・ベア(本店・チューリヒ)のフィリップ・リッケンバッハー最高経営責任者(CEO)は3日、今年、300人を雇用削減すると発表した。昨年の2ケタ台の減益を受け、新たな事業戦略で利益率の改善を狙うという。
もっと読む スイスのプライベートバンク大手、300人リストラ
おすすめの記事
スイス外相「ブロックチェーンは人道支援に効果」
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのイグナツィオ・カシス外相は17日、サンモリッツで開催されたクリプトファイナンス会議で、ブロックチェーンや金融技術の最新のイノベーションが、危機にある地域への人道支援に役立つと語った。
もっと読む スイス外相「ブロックチェーンは人道支援に効果」
おすすめの記事
銀行の環境破壊投資を止めるには
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで今週、化石燃料に投資する金融機関を批判する気候活動家が初めて裁判に勝利した。環境保護派の矛先にあるのはクレディ・スイスのような民間銀行だけでなく、中央銀行のスイス国立銀行(SNB)も射程に入っている。
もっと読む 銀行の環境破壊投資を止めるには
おすすめの記事
クレディ・スイス批判の環境活動家に無罪
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイスの化石燃料への投資に対する抗議活動の一環で、同行敷地内に侵入、無断でテニスの試合をした12人の気候変動活動家に対し、ローザンヌの地方裁判所は13日、無罪の判決を出した。
もっと読む クレディ・スイス批判の環境活動家に無罪
おすすめの記事
富裕国スイスに問われるモラル問題
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2020年も好調が続きそうだ。安定した経済、低い失業率に加え、市場急落の可能性も低い。だがこれほど好調であれば、見返りも求められる。新たな年を迎えたスイスには、責任や透明性などモラルの問題が突きつけられるだろう。
もっと読む 富裕国スイスに問われるモラル問題
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。