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探査機ロゼッタ、チュリ彗星で永遠の眠りにつく

4キロメートル上空からロゼッタが撮影したチュリ彗星の表面 ESA

欧州宇宙機関(ESA)の打ち上げた彗星(すいせい)探査機ロゼッタが、ついに12年間のミッションを終了した。ロゼッタが彗星に衝突した後には、埃と氷晶が少し舞い上がっただけだった。9月30日の午後1時19分(GMT)、ロゼッタは緩やかに下降した後、彗星の表面で粉々に砕けた。

 2004年に打ち上げられた探査機ロゼッタ(Rosetta)外部リンクは、地球から7億1900万キロメートル離れた場所にあるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(「チュリ」とも呼ばれる)の周りを2年間周回した後、今月30日、永遠の眠りについた。

 数カ月後にチュリ彗星は木星の軌道の向こう側に移動する。そうなると、彗星を周回するロゼッタに装備されたソーラーパネルは、十分なエネルギーを供給できなくなる。そうなる前に欧州宇宙機関は、現段階でロゼッタに蓄積されているエネルギーを効率的に利用することに決めた。ロゼッタに与えられた最後のミッションは、彗星に接近して写真撮影をし、彗星の表面を計測することだった。

地球よりも古いチュリ彗星

 2014年11月にロゼッタがチュリ彗星の表面に投下した着陸機「フィラエ(Philae)外部リンク」は2回跳ね上がった後、岩の亀裂の中に着地してしまったため、ミッションを完結できなかった。しかし、ロゼッタが集めたデータにより、これまでのデータを補完することができるだろう。

 データの収集には、ロゼッタに搭載された観測装置ロジーナ外部リンクが大きく貢献した。チュリ彗星で発生するガスを、ロジーナを使って測定するプロジェクトのリーダーを務めるキャスリン・アルトウェッグさんは、2年間驚きの連続だったという。「チュリ彗星は球体というよりも、風呂に浮かべるアヒルのおもちゃのような形をしていた。しばらくして、表面に穴がたくさん開いており、質量の75%は真空で、色は漆黒であることを発見した」

地球外生物の存在?

 「この彗星には、エネルギーが欠けているだけで、生物の形成に必要だと思われる全ての原始生体がそろっている」とアルトウェッグさんは話す。「我々は今日までに数々の太陽系外惑星を発見した。その中には地球に似たものもある。つまり、地球に起こったこと(生物の形成)は、他の惑星でもすでに起こっているか、いつか起こりうる可能性は十分にある」



(独語からの翻訳&編集・説田英香)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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