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ジャパンウィーク


日本からスイスに1350人 五感で魅了した「ニッポン」




 (swissinfo.ch)
(swissinfo.ch)

今月22日から1週間、首都ベルンで開催されたジャパンウィーク。この市民同士による国際交流イベントに参加するため、日本から65団体、約1350人の日本人がスイスにやってきた。日本の食、音楽、伝統工芸などを通じ「ニッポン」をもっと知ってもらおうと、ベルンのあちこちでイベントやコンサートを開催。五感で感じられる、あたたかな交流週間となった。

 「今回、世界遺産であるベルン市で『ジャパンウィーク』を開催するにあたり、1350人の参加者が集まった。これは29年ある『ジャパンウィーク』の歴史の中でも、トップ5に入る数」。多くの来場者であふれかえるパウル・クレー・センターの展示会場でそう話すのは、公益財団法人国際親善協会の若林幸宏常務理事だ。同協会は市民同士の草の根レベルの国際交流を目的とし、世界各国でジャパンウィークを開催。今年は日本・スイス国交樹立150周年を記念し、ベルン市と共催した。

 22日のオープニング・フェスティバルを皮切りに、ベルン大聖堂、コルンハウスケラー、パウル・クレー・センターなどで開催されたジャパンウィーク。日本から来た各団体が、現地市民と交流。茶道、展示、コンサート、野外パフォーマンス、市内の学校や福祉施設訪問プログラムを行った。参加者・団体はコンテンポラリーダンサー、チンドン屋、和太鼓や津軽三味線グループ、さらに草木染工房、旅館連盟、合唱団、大学書道サークルなどまさに多種多様。映画「キル・ビルvol.1」の出演・殺陣振付で知られる剱伎衆(けんぎしゅう)かむゐもコンサート出演。また、現地スイスからも「スイスにある日本」を紹介する3団体が参加した。

スイス人も舌鼓の「だし」

 25日、パウル・クレー・センターのジャパンウィーク展示会場は、驚くほどの熱気に包まれていた。記者がまっすぐに歩けなかったのは来場者の数が多いからだけではなく、思わず見入ってしまう作品展示や実演によって、人だかりがあちこちに出来ていたからだ。来場者のために2千人分の用意した煎茶と、カツオを煮出して塩で薄く味付けした「だし」も、開場から2時間もたたないうちになくなってしまった。「特にヨーロッパでは、おだしはなじみがないため、スイス人の口に合うか不安だったが、思いがけず人気でよかった」と若林さん。

 別室で1日数回行われていた茶道実演は毎回満席だ。はじめは差し出された抹茶茶わんをこわごわと受けとっていた子どもも、着物姿の女性の笑顔にほっとし、新しい文化との出会いに顔をほころばせる。

筆で以心伝心

 黒いスーツ姿の学生が一列になり、一心に筆を走らせている。早稲田大学書道会のメンバーだ。60年の歴史があり、故小渕元首相も会員だったという同会からは、有志の14人がスイスへやってきた。その中の1人、伊藤尚美さんは「スイスで書道を紹介出来るこの機会を見逃したくないと思い学校も休んできた。スイスの小学校でも書道を生徒たちに紹介しながら交流出来てよかった。意思疎通は大変だったが、意義あるものになった」と笑顔で話す。

 この書道会のブースでは、来場者の名前をその場でイメージにあうように漢字に換え、筆で書きあげた作品を提供した。希望者は後を絶たず、来場者は次から次へと同会のブースに着席。ベルン市内から来たというエヴェリンさんもその一人。茶道のためだけに来場したはずだったが、「この書道のように、多種多様な文化の紹介があって驚いた」という。

嗅覚で楽しみ、ふれあう

 香袋教室「紫水苑(しすいえん)」からは代表の大塚康子さんを筆頭に9人が参加した。紫水苑では動物や自然をモチーフにした匂い袋を一針一針、丁寧に縫い上げていく。今回の実演展示では途中まで縫った小さな匂い袋を用意し、来場者がその場で一緒に縫い上げるようにした。「特にスイスの男の子は、縫うという作業が珍しいようだ。でもみんな器用」と大塚さん。

それぞれの舞台裏

 今回のジャパンウィークに参加した団体の準備はそれぞれ苦労をした。飛行機に積み込めないものは船でベルンへ送るなどしたという。

 武雄温泉京都屋から参加した前田明子女将は、日本旅行協定旅館ホテル連盟九州支部連合会の相川利信さんと一緒にブースを用意した。今回のイベントにはたくさんの浴衣と、6畳の畳を用意。その畳の上で前田さんが来場者に浴衣を着付けた。「はっきりとは覚えてないけれど、今日1日で30人、40人を着付けたのでは」と前田さん。

 「参加者はもちろんだが、現地スイスの人にもたくさん協力してもらった」と話す前出の若林さんは、ベルン市は巨大都市ではないため、1350人を受け入れられる数のホテルがあるかどうかも心配だったと言う。

 鍋料理を広める目的で参加した平野貴之さんは、ホテルには宿泊していない。ふだんから外国の友達を作るのが好きだという平野さんは、今回のスイス訪問に合わせ、ソーシャルネットワーキングサービスを通してスイス人の友達を作った。「今、その友達の家に泊めてもらっています。昨日はホッケーの試合を初めて生で観戦しました」

交流を通じて発見 スイスと日本を結ぶもの

 奈良県庁の安田太津子さん、株式会社新澤醸造店の浅野りつさん、そして楽器「ユカイナ」を製造する加納義晴さんはそれぞれ、今回の訪問でスイスと日本の共通点は多いことを発見したと話す。

 木彫楽器製造者の加納さんは「自然や木に興味を持ってくれる人がすごく多い」と感じたという。奈良県庁の安田さんは「時間にきっちりとしているところは日本人と似ている。奈良県に限って言えば、南の方に山脈があるという地形も似ているし、緑も多く、スイスと日本は似ている部分が多い」。

 浅野さんは「お酒の造りかたに興味を示す人がものすごく多くて驚いた。ワイン製造が身近にあるスイスだからか、お酒のテイスティングもワインと同じようにするところが素晴らしい。まず色を見てから、香りを楽しみ、そしてお酒を口へと運ぶ」とうれしそうに話す。

 そんな中、スイス人で日本酒を扱う「雫(shizuku)」代表取締役のマーク・ニデッガーさんがいた。高校生で日本留学したことをきっかけに日本に興味を持ち、今は日本酒を取り扱うお店のオーナーだ。今回のジャパンウィークにはスイス国内から参加した。「スイスでもお酒を楽しんでもらえるようにしたい」と考えるニデッガーさんは、日本酒はスイス料理にぴったりだという。「例えばスイスの代表的料理チーズフォンデュを作るとき、普通は白ワインを使いますが、実は日本酒で作っても美味しいんですよ」

 文化を紹介する域を超え、ニデッガーさんのような二つの食文化をミックスしている人も取り込み、国際交流に溶け込ませていくジャパンウィーク。まさに多種多様の国際交流だった。

swissinfo.ch

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