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2005-07-14 14:24
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ブルーノ・ガンツ ヒトラーになったスイス人俳優 日本を語る

「偏見なしにヒトラーと向かい合うことは、ヨーロッパでは難しい。日本ではそれができると思う」カフェテラスで語るブルーノー・ガンツ
Image Caption: 「偏見なしにヒトラーと向かい合うことは、ヨーロッパでは難しい。日本ではそれができると思う」カフェテラスで語るブルーノー・ガンツ (swissinfo)

スイス人俳優ブルーノ・ガンツ氏がヒトラーとして主演したドイツ映画 『ヒトラー 最後の12日間』が、7月9日から日本でも上映されている。原題は『デル・ウンターガング』。没落の意味。ヒトラーの最期を秘書の女性の目を通して描いた小説を元にして作られた。

チューリヒ在住のガンツ氏に映画のこと、日本の印象などを聞いた。ガンツ氏は日本で撮った写真などを用意し、街の中心にある静かなカフェテラスに現れた。


 ドイツやスイスで多くの賞を受賞し、スイスでは大物俳優として認められているブルーノ・ガンツ氏は6月上旬、ヒトラーを演じた俳優として、日本へ乗り込んだ。メークを施すと、ヒトラーに瓜二つ。映画のロケの場所だったサンクトペテルスブルクでは、ヒトラーが生き返ったのではないかと思われ、身の危険さえ感じたという。


swissinfo : 映画のプロモーションのために日本を訪問されましたが、いかがでしたか。

ブルーノ・ガンツ : 日本には、2週間滞在しました。東京では2日間、ホテルで朝から晩まで、ひっきりなしにインタビューを受けるのが仕事でした。日本人は手際よく効率的に物事を進めていきますね。

私自身気に入っている映画は、世界中で観てもらいたいと思っています。厳しい批判が起こった米国にも行きましたが、ヒトラーを犯罪者としての面からしか見れず、一面的な解釈しかされませんでした。きっと、米国人は自分たちが犯した(イラク)戦争での犯罪に対するの問題を抱えていて、手一杯なのでしょう(笑)。


日本での反響はどうでしたか。

ドイツ映画祭で上映されましたが、ドイツ語の通訳がしゃべれなくなるほど泣いていたのが印象的でした。

日本人がこの映画を観て心を動かされたとすれば、映画の中で演じられる「悲劇」を真摯な気持ちで受け止めたからだと思います。ヨーロッパではヒトラーのテーマは皮肉っぽく解釈されたり、距離を置いて見られています。大量虐殺者を嫌悪するだけではなく、彼自身と彼を取り巻く環境について真剣に考えることができないのです。

わたしは、ヒトラーに親近感は持っていません。なんと貧弱な人間だろうと思います。地下にこもって、自分の死に方ばかりを語るヒトラー。ばかばかしく、不必要で、あんまりだと思います。しかし、彼を嫌悪だけでは解釈できないと思います。国や国民のことなどどうでもよくなっている彼に対してわたしは、ほとんど哀れみといった感情さえ持ちます。


『パンとチューリップ』(シルヴィオ・ソルディニ監督)から

『パンとチューリップ』(シルヴィオ・ソルディニ監督)から

この映画ができた理由について、日本でのインタビューに答え「戦後60年経って、機が熟したからだろう」とおっしゃっていますが。

いや、それは違いますね。60年もかかったと言いたい。しかも、まだこのテーマにまともに立ち向かおうとする人は少ないのです。この映画はノミネートされながらオスカーもドイツ映画賞も受賞しませんでした。ドイツで認められなかった理由が、映画の中でヒトラーが実際に死ぬシーンが映し出されなかったからなどと、わたしには到底理解できません。今でさえドイツでは、偏見なしにこのテーマは語れないでいるのです。


今回始めて日本を訪問されましたが、以前から日本をご存知でしたか。

ドイツの監督のヴィム・ヴェンダースと仕事をしたとき、彼が小津安二郎監督の話をしてくれたことを覚えています。日本映画を通して、三島由紀夫にも興味を持ち、彼の作品を何冊も読みました。


日本を訪れ、今まで持っていらした印象は変わりましたか。

日本を訪問し、非常に感動しました。京都では、竜安寺などの寺めぐりをしました。観光客の騒音などは忘れることができるくらい、お寺は心が静かになれるところです。

日本では、生活している人たちの顔が見えないアメリカナイズされた生活のすぐ隣に、伝統的なものが、信じられないほどの存在感で触れ合っているという印象を受けました。日本の美もすばらしいと思います。歌舞伎を見ながら、弁当を食べている和服の日本人女性の美しさ。弁当の空箱にさえ美を感じました。日本以外どこにもこうした美はありません。

帰国して、三島由紀夫を読み返しています。わたしは右翼ではありませんが、三島由紀夫が小説の中で表現しようとした、今は失われてしまったが、かつて日本人が持っていた一貫性、つまり、プリンシパルを持ち続けるといった美学に共感します。


日本映画

映画祭は好まないので、最近はあまり知らないのですが、飛行機の中で観た北野武監督の『座頭一』は面白いと思いました。伝統的な日本と現代的な要素が、映画の中にあったからです。

黒澤明監督の助手もしていたことがある出目昌伸監督と、12月には仕事をすることになっています。ベートーヴェンの第九がはじめて日本で演奏されたことを扱った内容で、ドイツ人将校の役をすることになっています。再び日本に行き、その文化に触れることができるのを楽しみにしています。

swssinfo  聞き手 佐藤夕美(さとうゆうみ)


Key facts

『ヒトラー 最期の12日間』
(原題 Der Untergang)
監督 オリバー・ヒルシュピーゲル
ヒトラー: ブルノー・ガンツ
トラウドゥル・ユンゲ(秘書): アレクサンドラ・マリア・ララ
ゲペルス婦人: コリナ・ハルフォウフ
ゲペルス: ウリヒ・マッテス
エバ・ブラウン(ヒトラーの愛人):ユリアネ・ケーラー


In brief


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