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ハンス・ヤコブ・オエリ チューリヒ美術館で初の展覧会が開催

チューリヒ出身の画家、ハンス・ヤコブ・オエリ(1782~1868)の作品を集めた初の展覧会が、チューリヒ美術館で10月23日まで開催されている。展覧会では、油絵、肖像画、水彩画、ガッシュ(グワッシュ)、スケッチ、版画など、オエリの作品が一体となって独特な様子を呈している。作品の一部には個人が今回特別に貸し出したものや、チューリヒ美術館の倉庫から初めて出展されたものもある。

ハンス・ヤコブ・オエリは1782年、チューリヒ州キーブルクにある貴族の家に生まれた。この家からはすでに何人もの芸術家が誕生している。オエリは1803年からチューリヒ近郊のヴィンタートゥールで、著名な風景画家ヨハン・カスパー・クスターの下、3年間の職業訓練を受けた。その後パリへ行き、有名な美術学校「エコール・デ・ボザール」で勉学に励んだ。ジャコバン派でありマクシミリアン・ロベスピエールの友人でもあったジャック・ルイ・ダヴィッド(1748~1825)はパリでオエリの師でありメンター(助言者)だった。

1809年にモスクワへ行くことを決めたオエリは、肖像画家および美術教師として約8年間をロシアで過ごした。1812年、ナポレオン軍に制圧されたモスクワはほぼ完全に焼失し、約1万人のロシア軍兵士が死亡した。当時の出来事を描いたオエリの油絵は、現在、チューリヒ美術館外部リンクで見ることができる。オエリはその後カザンへと赴き、ロシアの侯爵ミハイル・ムッシン・プシュキン(1795~1862)の厚意を受けた。

1817年にチューリヒへと戻ったオエリは、チューリヒ芸術家協会で積極的に活動を展開。様々な時代の衣装を描いたスケッチが収録されている作品集「衣装研究」(全1468ページ)は代表作の一つ。1868年、オエリはチューリヒで死去。「ハンス・ヤコブ・オエリ」展はチューリヒ美術館で10月23日まで開催中。

(画像・ハンス・ヤコブ・オエリ、チューリヒ美術館 画像編集・Ester Unterfinger 文・Igor Petrov 翻訳・鹿島田芙美)


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