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コンバインドサイクル発電で移行期を乗り切り、脱原発へ


脱原発を決めたスイス。それに伴うCO2排出量の増加と自然や景観の保全などの問題をどこまで解決できるか (Keystone)

脱原発を決めたスイス。それに伴うCO2排出量の増加と自然や景観の保全などの問題をどこまで解決できるか

(Keystone)

福島第一原発事故の後、スイスは脱原発を宣言し、政府はその舵取りに乗り出した。脱原発の決め手として注目しているのは、コンバインドサイクル発電だ。

ドリス・ロイタルト環境・エネルギー相は4月18日、脱原発が国民経済や環境に与える影響は限られていると発表。「脱原発は可能であり、計画経済でなくとも実現可能だ」と述べた。

 「スイスは二つの課題に直面している。一つは、エネルギー需要を徐々に下げること。もう一つは脱原発で無くなった電気を再生可能エネルギーで埋め合わせることだ」

 これらの課題をクリアするためには「多額の資金と発想の転換が必要」だ。当面は新しい税金などの抜本的な対策は取らないが、「今回の対策だけでは2050年まで目標の半分しか達成できないため、いずれさらなる対策を取ることになる」とロイタルト環境・エネルギー相はみている。

 現在はまず、建物、電化製品、産業と交通における効率化を進めることが第一だ。連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK/DETEC)の発表によると、2050年までにエネルギーの総消費量を予測より700億キロワット/時減らされなければならない。電力だけでも210億キロワット/時の削減が必要だ。エネルギー消費量全体では3分の1の減少を目標としている。

2020年までに1基のコンバインドサイクル発電を

 それと並行して、再生可能エネルギーを使った電力生産も約3割増やす。その支援策として、固定価格買い取り制度(KEV/RPC)に基づく特別手当を引き上げる。饋電費用補償制度とは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによって作られる高額の電気と従来の発電による電気の市場価格の差額を国が支払う制度だ。また、揚水発電所では昨年を上回る拡充率が期待されている。

 スイスではとりわけ冬季に電力の需要が高まるが、その備えとしては当面の間、熱供給火力発電とガスを利用したコンバインドサイクル発電で乗り切る意向だ。

 しかし、スイスの3大電力会社、アクスポ(Axpo)、アルピック(Alpiq)、BKWのコンバインドサイクル発電に関する関心は低い。ドイツ語圏に電力を供給しているこれらのコンツェルンは、ガス発電で採算が取れるかどうか疑問視している。

 それに対しフランス語圏では、具体案がすでに二つ出ている。ウンターヴァリス地方では、石油火力発電所を発電能力40万キロワット/時のガス発電所に改築する計画が持ち上がっている。ヌーシャテル州に計画されているガス発電建設プロジェクトも同規模だ。各々100万人に電気を供給できる。

 ロイタルト環境・エネルギー相は記者会見で、コンバインドサイクル発電が何基必要になるかには言及せず、2020年までに1基を稼働させたいと述べるにとどまった。しかしその翌日、スイス国営ラジオ・ドイツ語放送DRSの番組で、「節電が進まず、再生可能エネルギーを得るためのプロジェクトの多くが反対にあうという最悪の事態になれば、2050年までに4基から6基が必要になる」と多少詳細に及ぶ発言をした。

CO2税の引き上げ

 コンバインドサイクル発電は多量の二酸化炭素(CO2)を排出するが、スイス政府は2020年までのCO2削減目標は達成できると見込んでいる。燃料に課しているCO2税も増税する計画だ。

 今回の調査では、「エネルギー戦略2050」が国民経済に与える影響もより詳しく分析された。エネルギー効率の向上には莫大な資金が投入されているが、エネルギー輸入の大幅な制限で相殺されるため、国民経済への影響はある程度の枠内に収まるという。

 電力需要は電力効率の向上によって減少しており、このまま効率が向上すれば、2050年までには発電所への投資も減少するという予測だ。

脱原発に数百億フラン

 新しい原発を建設しない場合、2050年までにかかる超過出費は推計約300億フラン(約2兆7000億円)。これには電力供給網の拡充費は含まれていない。

 建物対策や再生可能エネルギー促進に関しては、助成金として年間最高17億フラン(約1500億円)を見積もった。これらは前出のCO2税や固定価格買い取り制度から捻出する予定だ。国の負担分は年間4200万フラン(約38億円)から8200万フラン(約74億円)になると見込んでいる。

 スイス政府はこの新しいモデルを含む今後の方針を基本的に承諾。環境・運輸・エネルギー・通信省はこれを元に、今夏の終わりまでに審議案を練り上げる予定だ。

電力の単位

1キロワット=1000ワット

1メガワット=1000キロワット

1ギガワット=1000メガワット=100万キロワット

1テラワット=1000ギガワット=100万メガワット=10億キロワット

swissinfo.ch



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