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難民収容施設


難民申請者の収容施設としての「イケア・ハウス」使用中止が決定




スイスが難民申請者数の増加に直面する中で、アールガウ州は10月、申請者の一時収容施設として仮設住宅「イケア・ハウス」の導入を決定。それにならい、チューリヒ市も同じ目的で同仮設住宅の購入を決定していた。しかし、これらの計画は急きょ中止された。「イケア・ハウス」がスイスの防火基準を満たしていないことが判明したためだ。

 チューリヒ州は2016年に、政府から割り当てられた780人の難民申請者を受け入れなければならない。そのうちの250人は、普段は見本市の展示会場として使われている、チューリヒ市内のエリコンにあるホールに収容される予定だ。

 このためにチューリヒ市は今月18日、ホームページのプレスリリースで、同会場に「イケア・ハウス」とも呼ばれる仮設住宅を設置すると発表。仮設住宅は大きなホールでの共同生活において、プライベート空間を確保してくれるはずだった。だがその後、この仮設住宅を屋内で使用した場合に火災時の安全性が保障されないとの理由から、当局はその決定を撤回した。

防火基準を満たしていない

 使用計画中止の理由は、チューリヒ州の防災機関による試験で、同仮設住宅がスイスの防火基準を満たしていないことが判明したからだという。

「イケア・ハウス」

通称「イケア・ハウス」は、世界中の難民キャンプで生活をする人々の暮らしの改善を目的に、スウェーデンのベター・シェルター社によって開発された仮設住宅。開発のために国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とイケア基金が資金援助を行った。同仮設住宅は数年前にイラクとエチオピアの難民キャンプで試験的に導入され、今年より大量生産が行われている。

 これまでチューリヒ市当局は、「イケア・ハウス」を開発したベター・シェルター社の拠点である、スウェーデンの安全性に関する認定書をもとに仮設住宅の導入を決定していた。しかし、12月中旬にドイツから新たな検証結果が報告され、安全面で疑わしい点がみられた。

 この情報を受け、同州の防災機関が新たに防火試験を行った。アールガウアー・ツァイトゥング紙はその結果について、仮設住宅は火災時に火炎が急激に燃え広がり、毒性の強い煙が出る危険性があると報じている。ベター・シェルター社は自社のホームページで、仮設住宅はヨーロッパの安全基準を満たしており安全だと主張しているが、チューリヒ州当局は使用中止を決定した。

アールガウ州も「イケア・ハウス」の使用を中止

 難民申請者の一時的な収容施設に、この仮設住宅を使用するというアイデアは、元々アールガウ州から出たものだった(過去記事参照)。同州は10月にはすでに200軒の購入を決定しており、100軒が納品済みだ。2016年春には、州内の自治体フリックの工場跡地に50軒の仮設住宅が設置され、約300人の難民申請者が住む予定だった。

 しかしチューリヒ州の検証結果を受けて、アールガウ州の保健・社会問題当局も仮設住宅の使用中止を発表した。

 だが一方で、この仮設住宅は屋外での使用には問題がないため、冬季以外の時期に、屋外で難民の一時収容施設や火災時における住民の避難施設として使用される予定だという。

代替案の用意

 「イケア・ハウス」の使用計画を中止にしたことで、チューリヒ州とアールガウ州は、代替案を迫られている。来年から新たに難民申請者を受け入れることに変わりはないからだ。

 チューリヒ市は急きょ、木製のプレハブ住宅の委託生産を決定。新しい簡易住宅の大きさは「イケア・ハウス」とほぼ同じだという。難民申請者の入居が決まっている2016年1月4日に間に合うよう、メーカーはクリスマスとお正月休暇返上で生産しなければならない。

swissinfo.ch

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