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新型コロナ拡大 自治体が高齢者を支援するサービス開始

Zwei Junge beladen ein Auto
新型コロナウイルスが急速に拡大する中、普段の買い物でさえ高齢者や高リスクの人にとっては命がけになりつつある。ベリンツォーナ市ではこういった人々を対象に宅配サービスが始まった swissinfo.ch

スイス南部のベリンツォーナでは、高齢者や高リスクの人々に代わって買い物に行くサービスが始まった。新型コロナウイルスのために自宅に留まるよう指示された人々が、孤独に陥ることなく身を守れるようにするのが狙いだ。

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ベリンツォーナ市の買い物代行サービス

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リスクが高い人の家に購入品を持ち込むときは必ず、感染防止のため衛生上の注意事項を厳守しなければならない。大げさに聞こえるかもしれないが、ウイルスが世界的に流行する今、決して甘く見てはいけないことだ。そして、リスクグループの中には、頼れる人が身近にいないケースもある。

Children and their parents at a playgroup
他の欧州諸国と異なり、スイスでは公園は閉鎖されていない。ただし、少人数グループに限られ、親は子供たちが互いに近づきすぎないように気を付けなければならない © Keystone / Gaetan Bally

ベリンツォーナではそのため、自治体が専用のホットラインを開設。住民は手軽に無料で代行サービスを受けられるようになった。

ターゲットを絞ったサポート

「ベリンツォーナ市議会は一丸となって、高齢者や困難に直面している人々をサポートしたいと考えている。自治体がこの代行サービスを提供することは我々にとって重要だった」。社会奉仕部門を担当するジョルジオ・ソルディーニ氏は、swissinfo.chに対しそう説明する。

ホットラインは3月16日に開設。食料や生活必需品を供給するだけでなく、身寄りのないお年寄りや健康上の理由で自宅待機しなくてはならない人に情報を提供する役割も担う。また、電話サービスはウイルスの流行で困惑している人々の不安を取り除き、落ち着きを取り戻すのにも役立っている。

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スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし

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ホットラインの開設後、不安な気持ちを聞いてほしいという要望がとりわけ高いことが明らかになった。「初日に入った電話60件のうち、買い物の代行依頼は3件だけだった。他は全て、新型コロナウイルスに関する恐怖や疑問、または日常生活における具体的なアドバイスに関する問い合わせだった」とソルディーニ氏は言う。ホットラインは、自治体の社会奉仕部門が全て協力して運用している。電話が通話中でつながらないことがないように、緊急の問い合わせに対して即座にレスポンスが得られるよう体制を万全に整えている。

業界のプロに白羽の矢

買い物を代行する際、必ず守らなければならないことがある。それは「感染を防ぐために、州およびスイス政府が定めた健康・衛生上の規制を厳守することだ」とソルディーニ氏は強調する。危険を避けるために外出を控えている人の家に、他人が注意を怠ったばかりに危険なウイルスが持ち込まれては意味がない。

そんな事態を避けるため、ベリンツォーナ市議会はこの分野のプロを採用。衛生と健康管理に欠かせない厳格なルールを熟知し、高齢者や高リスクな人々との経験が豊富なのが理由だとソルディーニ氏は言う。

まず、市の従業員がプロジェクトに協力するスーパーから商品を受け取り、2つの仕分けセンターに運ぶ。次にこの業務の訓練を受けた非営利団体スイス在宅ケア協会(シュピテックス)の実習生が商品を受け取り、委託人に配達する。ここからが最も神経を使う任務だ。健康に関するガイドラインを必ず守り、相手と一定距離を保つことも忘れない。

Personen stehen mit grossem Abstand zueinander
訪問看護・介護サービスを行う非営利団体スイス在宅ケア協会(シュピテックス)のベリンツォーナ支部では、いつも以上に緊迫した空気が漂う。新型コロナ危機のため、ロベルト・モラ支部長(右から1人目)と従業員は、会議中も衛生ガイドラインを徹底する。「距離は空けても、心は近くにいます!」 swissinfo.ch

現金はお断り

現金での支払いは受け付けていない。「現金は感染源となる恐れがあるため、必ずお断りしている。請求書を発行し、サービスを利用した人が後日支払えるようにしている」とソルディーニ氏。

商品の受け渡しはまた、高リスク患者の生活状況を知る重要な機会でもある。薬の受け取り手配はできているか?ほかに特別な要望や気がかりなことはないか?
 
また、新型コロナウイルスから身を守るために州の医師が推奨する重要項目を再確認し、それに関するフライヤーを渡す良い機会でもある。高リスク患者の場合、シュピテックスのスタッフが2、3日おきに電話で健康状態をチェックすべきかどうかも確認している。

我々は17日午後、2人の実習生(もちろん十分な距離を置いて)に同行した。アリンさんは「健康の専門家」の研修を始めて2年目、アレッサンドロさんは看護アシスタントの研修1年目だ。

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(独語からの翻訳・シュミット一恵)

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