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英EU離脱決定 スイスの反応

英国はEUに背を向ける決定を下した Keystone

昨日の国民投票の結果24日朝、英国の欧州連合(EU)からの離脱が決定した。この歴史的な決定を受け、スイスでもフラン高が進み、スイス国立銀行の市場介入や関係者・企業向けに政府がヘルプラインを設置するなど、即座の対応も取られた。長期的には、これまでスイスがEUとの間で進めてきた「人の移動の自由」に関する二国間協定をめぐる交渉が、当面はEUの優先事項でなくなるという影響も出てくる。

 24日早朝に発表された投票結果は、EUからの離脱票が51.89%、残留票が48.11%となり、英国のEU離脱が決定した。

 この結果を受けスイス外務省は、EU離脱の影響を受けるスイス人や企業向けに、情報提供をするヘルプラインを即座に設置すると発表した(国内からは0080-247-365、国外から0041-800-247-365)。だが、「スイス人や企業に対する現行法規や規制は当分の間継続され、今すぐに変更されるものは何もない」としている。

 市場では、EU離脱のニュースが入るとスイスでは株価が急落し、フラン高になった。

 スイスのヨハン・シュナイダー・アマン大統領は記者会見で、英国のEU離脱は「政治・経済面でスイスに直接、間接的に影響をもたらす」とする声明を発表。特別作業部会を設置して、今後の英国とEU間の交渉に関し情報を収集しながら、スイスが英国とどのような関係を築いていくべきか助言を受けていくとした。

 同氏は、移民規制案をめぐるこれまでのスイスとEUの交渉が先送りにされる可能性にも言及し、懸念を示した。

 スイスの日刊紙NZZは「EUを離脱し再び主権を取り戻すことで、英国は移民問題を独自に管理できるようになると同時に、EU圏外の世界のビジネスチャンスを活用できるようになる」と書く一方で、「EUにしてみれば、ユーロ危機、移民危機という最悪のときに英国の離脱が決まった(中略)。EUは非常に困難な問題に突き当たっており、スイスはEUとの交渉が中断されるという余波に直面するだろう」としている。

 一方、反EUを掲げるスイスの右派・国民党は「今回の投票結果と、投票前のキャンペーンで繰り広げられた激しい議論を見ると、EUに関する問題では政界エリートと一般市民の考えの間に大きな隔たりがあることが改めて浮き彫りになった」とするコメントを発表している。

(英語からの翻訳&編集・由比かおり)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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