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もう1つのダボス会議 007の悪役が活躍

「ポジティブ賞」もあり、今回は石炭採掘の環境破壊に対して立ち上がったコロンビアの団体「ジャイロ・キロズ・デルガド( Jairo Quiroz Delgado ) 」に贈られた Keystone

1月27日、ダボス会議と平行して、同じダボス市内で「パブリック・アイ賞」の受賞式が行われた。これはスイスのNGO 「ベルン宣言」とスイス・グリンピースが、環境破壊など不名誉な行為を行なった企業などを「たたえる」賞だ。

授与式でホスト役を務めたのは、最新のボンド映画で悪玉を演じたスイス人俳優アナトール・トウブマン氏。しかしこの日は不名誉をたたえて「善玉」を演じることになった。

不名誉賞に輝いたアメリカの企業 

 不名誉な賞に輝いたのは、ガーナで金の採掘を行なうアメリカの「ニューモント・マイニング ( Newmont Mining ) 」社。受賞理由は金山周囲の環境とコミュニティー破壊したからだという。

 もう1つの、スイスの企業に贈られる不名誉な「スイス賞」は、ベルンの電気公共事業会社「ベルニシェ・クラフトベルケ ( Bernische Kraftwerke ) 」に授与された。ドイツに石炭の発電所を建設した「努力」が報われた。

 授与式でホストとして活躍したトウブマン氏は、ボンド映画の最新作「クォンタム・オブ・ソラス」で、水源などの天然資源の完全支配を企てる悪玉の子分を演じたスイス人俳優だ。

 「企業は、環境と地域社会に対する責任を持つべきなのに多くの企業がそれを怠っている」
 とトウブマン氏は述べ、今回は「善玉」の役を演じた。

 ダボス会議に関しては、多くの「パブリック・アイ賞 ( Public Eye ) 」参加者の態度とは対象的に、会議の存在を否定しない立場で、今回の金融危機対策について、
 「私はラジカルではない。資本主義を崩壊させることは、現実的ではないし、また良い変化をもたらさないと思う」
 と語った。

swissinfo、外電 

同賞はグローバル化を批判する催し物。

ダボス会議と平行して、毎年ダボスで開催される。

開発援助に関わる政治組織「ベルン宣言」とスイス・グリーンピースの共同プロジェクト。

「パブリック・アイ」は世界社会フォーラム ( WSF ) と密接な関係がある。

1971年クラウス・シュヴァブ氏が創立した。本部はジュネーブ州コロニー ( Cologny ) にある。
民間会社約1000社の会費で賄われる。年次総会は毎年スイスのリゾート地ダボス市で開催されているが、2002年は2001年に発生した9.11米多発テロの影響で例外的にニューヨークで開催された。

これと平行して、非政府組織(NGO) などによって以下の世界フォーラムが開催されている。
<オープン・フォーラム>
ダボスで開催されるスイス・プロテスタント教会が中心となった会議。今年はコフィ・アナン前国連事務総長も参加する予定。
<パブリック・アイ賞>
スイスのNGO「ベルン宣言」、スイス・グリンピースがダボス会議と平行して贈る。
<世界社会フォーラム>
ブラジルのベレム市 ( Belém ) で1月27日から開催。グローバル化に反対する、ダボス会議に代わる会議として始まった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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