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もぐもぐスイス味 その3 — モモヨ隊員とベルン風皿 —

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ベルンのクマ公園を横目に、今日のお目当ては「旧路面電車車庫 ( Altes Tramdepot )」。その名の通り、路面電車が運行開始された19世紀後半に建てられたベルエポック調の車庫をレストランに改築しているので、建物は縦長で巨大だ。

食べるのは「ベルン風皿 ( BernertellerもしくはBernerplatte ) 」 。ベーコン、牛タン、あばら肉、ウィンーナーソーセージなど多種の肉が全部入っている、肉好きなら気に入るはずの、じっくり煮込みあげた肉の盛り合わせ料理である。

 日曜日の昼だが、予約はわたしたちともう1グループだけ。ほとんどが予約なしで席がどんどん埋まっていく。かつて、路面電車が縦に6車両ほどは納まっていたらしく、奥行がずっとあるのが印象的。奥まった2人掛けに案内された。アクセントの飾りはクマの木彫りの置き物。220フラン ( 約2万円 ) とシールが貼ってあり、売り物。壁にはクマの毛皮が2枚、5本指もつめの先まではっきり見える。自家製のビールと肉料理が合う、モダンな内装のレストランである。

クマ公園には肉料理

 クマ公園に子どもを連れて来たついでらしい家族連れが、レストランに和やかな雰囲気を与える。観光客のグループも騒がしくない。遠くに見えるベルン大聖堂を眺めながらビールを飲む若者も多い。

 肉の量230グラムのベルン風皿のほか、メニューは肉を中心にサラダの盛り合わせなどもある。スターターとメインと2皿必ず注文する必要はなく、隣の老夫婦はスープと温めたパンのブレッツエル。

 モモヨ隊員と注文したのはベルン風皿と、小麦粉とタマゴを練って熱湯に落として茹でたシュペッツリ ( Späzli ) を1皿ずつ。お互い頼んだ料理を半分ずつという食べ方はあまりしないスイスだが、このレストランでなら何も言われそうにない。おなかいっぱい食べる郷土料理のイメージに反して、肉はそれぞれ小ぶりだ。すべてカラシをつけて食べる。付け合せのザワークラウトは漬物のような役割と思えばよい。うまみが日本人の舌にも合うはずだが、ここのは酸味がやや強め。
 
 大型レストランだが、注文してから料理が来るまで客を待たせることなくスピーディー。グリーンのタブリエに黒皮のパースを腰に斜めにかけたウエートレスの親切な対応のおかげで、心地よく食事のできる明るいレストランだった。

…でモモヨ隊員は

 「ここ自家醸造ですねっ。バリっバリの生ビールじゃないですか」
モモヨ隊員のコーフンをよそにサトー隊長は飲めぬ口。「まかして下さい。私、隊長の分もお味見しますっ」

 隊長の手前もあるので、取りあえず2デシリットルという小さいサイズを2種類だけ選ぶ。

 薄い色のグビビッ。イイっ。茶色いのグビグビッ。「マルツのコクがあってフレッシュ。甘すぎないとこが実にうまいっ。です。プハッ」( ああ、もう半分になっちゃった。ほかのも飲んでみるって聞いてくれないかなあ )

 そうそう、メインのお料理。肉肉なベルンの一皿。田舎料理にもオシャレをという姿勢のうかがえる(スイスにしては)軽やかな盛り付け。スイス名物ディープな塩味もさほどでもない。煮込んであるからかしらん。ベーコン・ソーセージなどの煮込み盛り合わせの中で、特にスジのある肉の軟らか煮込みがなんとも舌にとろりとおいしいかった。
主観塩度3

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) & モモヨ

旧路面電車車庫 ( Alte Tram Depot )

住所 :  Grosser Muristalden 6 3006 Bern
電話 :  +41 31 368 14 15 ファクス : +41 31 368 14 16 
時間 : 月〜日曜まで営業 夏季 10〜0時30分 冬季 11〜0時30分
 温かい料理は11〜23時半まで。

メニュー : ベルン風皿 31.50フラン ( 約3000円 ) 、野菜シュペッツリ16.50フラン ( 約1600円 ) 。このほか週2〜3回レストラン内で醸造される自家製の淡色ビール ( Helles ) 、黒ビール( Märzen ) 、ヴァイツェン ( Weizen ) の3種類の生ビール ( 2デシリットルで3.40フラン( 約320円) から) がお勧め 。
予算 : 2人で、ベルン風皿1皿、野菜シュペッツリ1皿、ビール2デシリットル2杯、ミネラルウオーター1本、アイスクリーム2個、ブレッツエルとチリソース1皿、紅茶、コーヒーで80フラン ( 約7700円 )

行き方 : ベルン駅から路面電車12番で約10分、クマ公園 ( Berngraben ) 下車。

タマネギ、月桂樹の葉、グローブ、細切りのニンジン、根セロリなどを、塩を入れた2.5リットルの水を沸かし、牛肉のネックや肩ロースと2時間煮込む。その後バターを加え牛タンソーセージをブイヨンと一緒に20分煮た後、ベーコン、あばら肉を加えゆでる。乾燥インゲンの煮込みとザワークラウト、ポテトなどを添えて出す。

1 普通
2 濃い味好み
3 血圧注意
4 チャレンジャー
5 死海風

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