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もぐもぐスイス味 その4 — モモヨ隊員とレマン湖畔でフォンデュ—

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「毛皮コートのご婦人も、ジーンズの学生も一緒にフォンデュをつついている。しかも「シャンパンのフォンデュ」と聞いた。場所はジュネーブっ子の心のオアシス「バン・デ・パキ ( Bains des Pâquis ) 」。レマン湖畔の1920年代の屋外プールである。

代表的フォンデュは、エメンタールとグリエールチーズをすりおろし、白ワインを混ぜ、弱火で溶かしたもの。これを長いフォークの先につけた小さなパンにからめて食べる。

 寒風の中たどりついたプールサイドのレストランとは、9月から4月末まで仮設された小屋風の建物だった。入り口は厚手のカーテンがドア代わり。しかし中に入ると薪ストーブのお陰で暖かい。赤や黄色のバラ柄のビニール製テーブル掛けと、同色でコーディネイトされた椅子が並びちょっとおシャレ。突然、「あなたのファーストネームは?」と聞かれた。ここはファーストネームで予約しなければいけないレストランである。

大勢で食べるもの

 予約席にコートなどを置き、また外に出て料理場兼レジでフォンデュと飲み物、欲しければ乾燥肉やサラダなどを注文しお金を払う。中で待っているとフォンデュが運ばれてくる仕組み。

 「シックな銀行マンから学生まであらゆる客層です」とウエーターの説明。隣のテーブルを見ると子供を含めた3家族合同グループ。向こうのテーブルは正装の中年カップル3組。スイスドイツ語での会話が弾んでいる。 

 さてお目当てのフォンデュ。白く柔らかく溶けたチーズがほんのりワイン味でおいしい。グリエールチーズとヴァシュランチーズを使っているからだという。後者がこのトロリとしたまろやかさを醸し出す。パンも素朴な味で、上品なフォンデュとよく合う。

 通称「シャンパンのフォンデュ」という、ここの名物フォンデュに使われているシャンパンとは、「クレマン・ドゥ・ダルダニ ( Créman de Dardagny )」という発泡性ワインのこと。ダルダニはジュネーブ州の人口1300人ほどの村。ここは小規模だがジュネーブ州で一番のワイン生産量で質においても名が通っている。

 次々にグループ客が席を埋めていく。フォンデュとはやはり大勢で鍋を囲むようにして食べるのが流儀の料理である。

・・・でモモヨ隊員は

 「本日は、おしゃれなレマン湖畔でシャンパンフォンデュよ」とサトノブ隊長。おおっ、トキメキ感じてもいいですか。湖畔の風にハナミズ吹き飛ばされそうになりながらやっとたどり着いた。ええっ、この昔の駅の待合室のようなのがレストラン?

 席で待機しているとセーターの若いお兄さんがぐつぐつフォンデュを運んできた。「クニコ! 」「はーい」とサトノブ隊長。「いいなあ・・・モモヨ隊員も名前をお兄ちゃんに大声で呼ばれてみたい・・・」 

 頂きます。んーっイケルっ。本当。チーズの組み合わせがいい。コクもパンチもあるのに食べやすい。どんどこフォークが進む。底に残ったこんがりチーズ。オマケのように当たったニンニクのかけらのおいしさよ。グリークサラダ、ワインなどとついに完食。ああ満足。

 発泡性白ワインでこのチーズの組み合わせ、ここを思い出しながらおうちでやったらこんな味になるだろか。また行きたい。

swissinfo、もぐもぐスイス味探検隊 里信邦子( さとのぶ くにこ )& モモヨ

バン・デ・パキのレストラン

住所 : 30、Quai du Mont-Blanc 1201 GENEVE

電話 : 022 738 1616 ( 電話予約はしたほうがよい。ファーストネームで )

時間 : 18時から24時

メニュー :  フォンデュ・オ・クレマン ( Fondue au Créman ) は20フラン ( 約1900円 ) 、グリークサラダ (トマト、キュウリ、玉ねぎ、オリーブ、巨大フェタチーズの塊入り) は12フラン ( 約1100円 )、乾燥肉、野菜スープなど

予算 : 2人でフォンデュにワインを1杯飲んで、サラダなども食べて約60フラン ( 約5700円 )

行き方 : コルナバン駅 ( Cornavin ) から歩いてレマン湖まで行き、湖畔をローザンヌ側に向かって歩いて、約10分

フリブールのグリエールチーズ ( gruyère fribourgeois ) を、フリブールのヴァシュランチーズ ( vacherin fribourgeois ) と2対1の割合で混ぜ、コニャック少々とにんにくをたっぷり入れ、そこにダルダニの発泡性ワインを入れる。

バン・デ・パキが使うパンも、このフォンデュに合うよう全粒粉の小麦粉を普通の小麦粉に混ぜたもの。提携するパン屋に特注している。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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