キノコ狩りで秋の味 毒キノコにはご用心
キノコ狩りの季節がスイスにもやってきた。
首都ベルンは毒キノコの鑑定を無料で提供。「キノコを採った方は必ず鑑定に訪れてください」と呼びかけている。
スイスでは毎年、毒キノコによる食中毒が起きている。ベルン市キノコ鑑定課は、採取した中に毒キノコが混ざっている可能性もあるため、採ったキノコは全て持ってくるように、と話している。
無料で鑑定
「何よりも経験がものを言うよ」と話すのは、ベルン市で26年間キノコの鑑定をしてきた職員のヴァルター・ハルドルンさん。「キノコが入ったバスケットを一目見れば、採った人にキノコの知識があるかすぐにわかるさ。毎年最低1人の命は鑑定で救っているよ」と笑う。
採取したキノコをベルン市の鑑定課に持っていくと、専門知識を持った職員が食用と毒キノコに分けてくれる。「食用キノコが毒キノコと混ざった場合は、全部処分してしまった方がいい」とハルドルンさんは助言する。
毒キノコを誤って食べてしまったら?
「すぐに医者に見せること。早ければ早いほどいい。それと、手をつけたキノコ料理も捨てずに取っておくこと。原因解明の役に立つからね」とハルドルンさんは答える。昨年、ハルドルンさんは毒キノコの特定のため病院から3回応援を頼まれた。
「森の恵み」キノコ
キノコは動物でも植物でもなく、菌類の一種。菌類は、鹿やリスなどの動物の餌になるだけでなく、枯葉や動物の死骸などを分解して土に戻すため、生態系で重要な役割を担う。
このため、スイスには各州ごとにキノコの生育保護を定めた注意事項がある。例えば、キノコ狩りのシーズン中、ベルン州では1日1人当たりの採取量が2キロまでと決められている。
「キノコのこんもりとした株立ちを見かける機会があれば、踏み潰すようなことはしないで下さいね。キノコも大切な森の恵みだから」。ベルン市のキノコ鑑定職員ディーター・レッチャーさんはそう言ってウインクして見せた。
スイス国際放送 ジュリー・ハント 安達聡子(あだちさとこ)意訳
主な毒キノコ:
● ドクツルタケ
英名「天使殺し」。テングタケ属。傘、ひだ、柄全てが白く、マッシュルームが大きくなったようなキノコ。
● ベニテングダケ
英名「ハエ殺し」。テングタケ属。傘の中心部が球形で裾に広がるほど偏平し、白い小さなイボが付着。
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