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クリスマス商戦に期待は薄い

今年のクリスマス商戦に期待できるであろうか 小売業界の正念場 Keystone Archive

小売は不振だった上半期の売上が下半期でやや上向く見込み。クリスマスに向けての消費者動向に左右されよう。

経済省経済事務局(SECO)の調査では、消費者マインドは年末に向けて上昇する見込みである。

「売上は本年末のクリスマス商戦が功をなす。すでに10月は増加している」
スイス大手のイエルモリ百貨店のペーター・ロイマン社長は、これまで停滞していた売上は今年1年を通して全体で、増加すると期待している。同じ大手のグローブス百貨店のエルンスト・フェニンガー広報担当も、
「消費者は買い物をしたがっている」
と衣料、アクセサリー、食品ともに売上が伸びていると語った。

消費者は慎重

 昨年もクリスマスに向け、小売業界の売上の増加への期待感があったが、12月の売上は前年より2.2%減だった。今年は猛暑の影響もあり、家具、衣料、家電が不振で、8月の小売の売上は3.2%減少した。

 今回、経済省経済局(以下SECO)が消費者動向について1100世帯を対象に行った調査では、第3四半期の消費者マインド指数はマイナス28ポイントと第2四半期のマイナス35ポイントから大きく上昇した。SECOは経済環境はやや良くなっているものの、失業への不安度はいまだ高く、消費は引き続き控えられると見ている。調査の対象になった1100世帯は、物価が高くなった気がしており、今後も高くなりつづけると懸念している人が多いことも分かった。

小売業界の期待感も慎重

 マーケットリサーチのIHA GfKのトマス・ホーホロイトナー社長は、
「ノン・フード分野での転機は見られない。市場は飽和状態で、消費を強く促すような革新的な新製品がない」
と指摘し、本年末までの小売の総売上は840億フラン(およそ6兆7200億円)にとどまると算出している。

 スイス小売協会のクラウス・フク理事長は、失業と年金に対する不安があるため、楽観はできないと慎重で、
「これまでの低迷した消費を年末商戦で取り戻せるとは思えない」
と語った。

 チューリヒ市内の百貨店ではすでにクリスマス特別会場を設け、ツリーに飾るガラス球が所狭しと並べられている。ツリーが放す色とりどりのまぶしい光が、消費者の心を照らすのは、いつのことだろうか。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

SECO発表の消費者マインド

10月 マイナス28ポイント

7月 マイナス35ポイント

小売の多くが、クリスマス商戦に期待をかけている。
本年上半期は景気の不安や猛暑で小売の売上は落ちた。
経済省経済局(SECO)の発表によると、第3四半期の消費者マインド指数はやや上向く。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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